生活保護は「第二国民年金」:老人医療を無料にするモラルハザードの温床

生活保護というと、現金を支給される生活扶助のイメージが強いが、実際には医療費をすべて無料にする医療扶助が半分以上を占め、生活扶助よりはるかに大きい。

生活保護の受給者が大病院を直接受診する場合に(普通の保険受診者と同じく)特別料金を取る制度改正は、この医療扶助のタブーを破る第一歩である。

なぜ医療扶助はタブーなのか

生活扶助費が13万円しかもらえない生活保護受給者が、何百万円もかかる抗癌剤を無料で使える医療扶助は異常な制度である。これまでも批判が強かったが、医師会と保団連(共産党系)がこの利権を守ってきた。税金で無限に医療費を取れるからである。

こういうとき医療扶助の擁護派から必ず出てくるのが「憲法25条は健康で文化的な最低限度の生活を保障している」という建て前論だ。生活扶助は最低限度なのだから、そこから医療費を払うと最低限度の生活ができなくなるという。

医療扶助は「老人医療の無料化」

それでは生活保護の半分以下の国民年金の受給者は最低限度以下で暮らしているのかときくと、「国民年金は他に貯蓄があることが前提だ」というが、そんな前提はない。実際には、生活保護受給者の53%は65歳以上の老人なのだ。

もともと生活保護は、事情があって働けない人を救済する「救貧制度」だったが、最近はそれがすっかり変質し、国民年金と「二重取り」になっている。生活保護は、国民年金の足りない分を税金で穴埋めする第二国民年金になっているのだ。

しかも生活保護の受給者の中で国民年金の平均受給額は月額3~5万円。つまり年金保険料の未納分を生活保護で補っているのだ。

社会保険料を払わないモラルハザードの温床になる

だから受給額を最大化するには、年金保険料を払わないで生活保護をもらうことが合理的だ。保険料の支払いゼロでは審査に落ちるだろうが、「生活が苦しくて未納が多かったので年金が3万円しかもらえない」といえば、差額の10万円は生活扶助で支払われ、しかも医療費はゼロだ。

このように生活保護は、社会保険料を払わないで老人医療を無料で受けるモラルハザードの温床になっている。まず医療扶助は国民健康保険に吸収し、窓口負担は1~3割取る。最終的には生活保護を廃止し、ベーシックインカムのような非裁量的なセーフティネットに置き換える必要がある。

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