米中間選挙の直前情勢:民主党の圧勝でトランプは「ミスター拒否権」に

日本時間で今夜から投票の始まるアメリカの中間選挙は、トランプ政権への審判となる。現在の予測では民主党の下院奪還は確実で、上院でも多数派を取り戻す見通しだ。しかしトランプ大統領は拒否権を最大限に駆使し、議会と対決するだろう。

下院は民主党が過半数、上院には不確実性

選挙予測機関Decision Desk HQの11月2日更新モデルは、民主党の下院多数派獲得確率を84%、予測議席を241としている。定数435の過半数218を上回る数字だ。上院では民主党の多数派獲得確率は65%、予測議席は52である。

世論調査にも、共和党への逆風が表れている。10月27日公表のNPR・PBS・Marist調査では、投票する可能性が高い有権者の議会選挙の投票意向は民主党52%、共和党44%。44%は投票を主に「トランプへの反対票」と位置づけ、支持票とする21%を大きく上回った。

Silver Bulletinの11月2日の世論調査平均でも民主党が8.9ポイント先行する。ただし、全国の支持率をそのまま議席に換算することはできない。下院は選挙区ごと、上院は州ごとに勝敗が決まる。

共和党が53議席を持つ上院では、民主党側は純増4議席が必要だ。ロイターの11月2日の整理では、ノースカロライナに加え、メーン、オハイオ、カンザスなどの共和党議席が争奪戦になっている。一方で民主党は自党議席も守らなければならない。下院の大勝が、そのまま上院の大勝につながるわけではない。

トランプ大統領は議会と対決

トランプ自身も敗北への備えを隠していない。ロイターによると、公開されたインタビューで「ミスター拒否権になるのだろう」と述べ、その後はいずれ民主党と取引する可能性を示した。政権は議会の承認を必要としない行政措置も検討している。

民主党が両院を制しても、大統領が議会の可決した法案に拒否権を発動した場合、それをくつがえすには両院それぞれで投票者の3分の2の賛成が必要になる。全議員が賛否を投じるなら下院290票、上院67票だ。予測される民主党の議席だけでは届かない。

さらに上院では、通常の法案の議事妨害(フィリバスター)を打ち切るために60票が必要になる。過半数を取れば、民主党の政策が次々と成立するわけではない。

勝敗の先にあるのは「デッドロック」か

それでも多数派交代の意味は大きい。民主党は下院を取れば、調査や公聴会を通じて政権を追及できる。上院まで取れば、裁判官や閣僚などの人事承認にも強い制約をかけられる。拒否権で自分の政策を守れても、トランプが新しい法律や予算を自由に通せるわけではない。

ここから予想されるのは、議会と大統領が互いの政策を止め合うデッドロックである。民主党は生活費や医療費を争点に政権を攻め、トランプは拒否権を交渉材料にする。予算協議が決裂すれば、政府閉鎖などの混乱につながる可能性もある。

トランプにとって「ミスター拒否権」は、強さの誇示であると同時に、政策を実現する力が衰えることの裏返しでもある。開票で見るべきは、民主党が下院を何議席取るか、そして上院で51議席に届くかである。民主党の大勝が現実になれば、トランプの残り任期は「何を実現したか」とともに、「何を拒否したか」を問われる2年間になる。

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