イーロン・マスク「ソフトバンクがタービン注文をデフォルトしている」とXに投稿

東 慎太郎

イーロン・マスクは11月6日、Xに「ソフトバンクがタービン注文をデフォルトしている」と投稿した。これは債権者が約5億ドル規模のデータセンター向け債権を一括で競売にかけようとしているというBloombergの情報に反応したものだ。Bloomberg

Stargateのデータセンター債権を売却

この債権者はのちにINGと報じられ、約12件のローンを一括売却しようとしている。この中には、OpenAI・ソフトバンク・Oracleの共同プロジェクトStargateのニューメキシコ大規模サイトに関する2500万ドルの融資部分が含まれるが、ソフトバンクがデフォルトするわけではない。

Oracleはこのサイトの開発業者にforce majeure(不可抗力)通知を出しており、制御不能な事象により義務の履行を免除できる可能性があると主張している。OracleのCDSスプレッドは300を超え、ソフトバンクは466になった。これはジャンク債のスプレッドである。

ニューメキシコのProject Jupiterは、以前から地域住民の反対や電力・パイプライン許認可の問題で注目されており、関連ローンが額面割れで取引される動きも報じられていた。選挙後の政治的不確実性(民主党の中間選挙での優勢とデータセンター建設への規制懸念)が、こうした売却を後押ししたとみられる。

マスクとOpenAIとの過去の対立

マスクの指摘は、2025年1月のStargate発表時の発言を想起させる。当時、トランプ政権下でOpenAIらが最大5000億ドル規模のAIインフラ投資を発表した直後、マスクは「彼らは実際には資金を持っていない」「ソフトバンクが確保したのは100億ドルを大きく下回る。確かな筋から聞いた」と投稿。

サム・アルトマンが反論し、両者の確執が表面化した。ソフトバンクはStargateの主要な財務パートナーとして位置づけられていたが、資金調達の詳細や実現可能性をめぐる疑問は当初からあった。トランプ政権が死に体になった今は、その完成が危ぶまれる。Bloomberg

ソフトバンク傘下のSB Energyは、オハイオの大規模キャンパスなど複数のAIデータセンタープロジェクトを推進しており、契約収益は巨額に上るとされるが、IPOの遅延や評価額への市場の慎重姿勢、債務コストの上昇といった課題も指摘されている。

タービンが示す電力ボトルネック

マスクが言及した「タービン」は、AIデータセンターの急増する電力需要を賄うためのガスタービンを指すとみられる。データセンターの電力消費は急拡大しており、ガスタービンメーカー(GE Vernovaなど)は数年先まで受注が埋まる状況だ。

マスク自身も、xAI/SpaceXのデータセンター向けにモバイルガスタービン企業APR Energyを約10億ドル規模で買収したほか、SpaceXでタービンブレード・ベーンの自社鋳造を進めるなど、電力供給の垂直統合に注力している。Latitudemedia

タービン注文のキャンセルやデフォルトは、退出コストの低い部分から調整が始まるシグナルとなりうる。チップ注文は後回しになる傾向がある一方、タービンは比較的早期に影響が出やすいと指摘する声もある。ただしマスクの主張に具体的な証拠はなく、ソフトバンク側からの公式コメントもない。Officechai

市場と業界への影響

この発言は、AI関連株の調整局面と重なる。ソフトバンクグループの信用リスクへの警戒も強まっている。データセンター融資の売却は、プロジェクトの実行可能性や政治・規制リスクが市場で再評価されていることを示している。一方で、電力需要自体は根強く、キャンセルされたタービン枠は他の需要家がすぐに埋める可能性が高いとの見方もある。Yahoo!Finance

マスクの投稿は、Stargateの資金力や実行力への懐疑を再確認したものだ。AIインフラの計算需要–電力・ハードウェア–資金の連関が試される局面で、タービンや融資の動きは今後の進捗を占う重要な指標である。ソフトバンクやOracle、OpenAI側からの追加説明や、タービンメーカーからの受注状況の確認が、今後の焦点となる。

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