親は子の責任をいつまで背負うべきか --- 岡本 裕明

アゴラ

このタイトルで誰の話をしているのかお分かりになる方は多いかと思います。

みのもんた、本名御法川法男氏。

私のブログで芸能関係を取り上げるのは珍しいのですが、個人的にみのもんたという人に長年興味を持っていました。そして、今回の騒動でまたいろいろな面が見えてきましたのでみのもんたの「30過ぎの息子に親の責任はあるのか」という発言を含め考えてみたいと思います。


みの氏はニッコクという水道メーターの会社の社長をしているというのはあまり知られていない事実だと思います。ニッコクはみのもんたのお父様が設立した日国工業にみのもんた氏の芸能事務所を吸収合併した会社であり、現在売り上げは両部門併せて年間40億円程度とされています。水道メーターと芸能部門のセグメント情報はありません。

水道メーター関係でもうひとつ有名な話はみの氏が東証一部上場の愛知時計電機という会社の株式を7%弱(360万株強、時価約10億円)保有する第二位株主であるということでしょうか? 同社は国内では有数の水道メーター会社でありますが、戦前、九九式艦上爆撃機など海軍向け爆撃機などを作っていた有名な会社であったことはほとんど知られていないと思います。戦前、同社の子会社の愛知航空機がそれを担当していたものの親会社の愛知時計から分離し、愛知機械工業として戦後は民需転換、現在は日産の100%子会社になっています。

みのもんた氏はニッコクの水道ビジネスにおいて以前談合問題で告発された際、右翼からその標的にされ、その揉み消しをしかるべき筋に頼んだのではないかとされ、最近、週刊誌がすっぱ抜きました。いわゆる黒い噂もここに及んで出てきており、絶体絶命と評する記事も見られます。

さて、その富豪、御法川法男氏の次男、御法川雄斗、31歳が逮捕されたことを受け、みのもんた氏の芸能ビジネス引退の声も聞こえてきました。ご本人は当初は頭を下げていたもののその後、30過ぎになった子供の責任を親が取らなくてならないのか、という発言が物議をかもし出しています。みの氏は「海外の友人は不思議な話だ」と言うのですが、さてこのあたりはどうなのでしょうか?

私は個人的な意見として子供が成人すれば親の責任から解放されるというのは法律上の話であって、育てた親としての道徳的、道義的立場は一生消えないのではないかと思っています。つまり、成人まで育てひとり立ちさせる段階で不作法はともかく、社会の正義に反することや犯罪をする子供に育ったとすれば親の教育が十分ではなかったという論理もあるのではないでしょうか? 親の道義的責任は多少なりともある、ということであります。

では、みの氏はTBSの番組から引退すべきか、について、これも個人的意見ですが、本人のためにそうすべきではないか、と思っています。理由は単純明快、犯罪を犯した息子を持つ親がTBSの天皇と祭り上げられ、テレビで果てしない影響力を及ぼすことが日本にとってすっきりしているのだろうか、という疑問であります。

確かに海外では例えば韓国の朴大統領の親戚が先日逮捕されました。韓国ではこの手の事件は日常茶飯事でありますが本人が辞めることはあまりないでしょう。アメリカでもその手の芸能事件は時々聞きますが親の仕事に影響は及ぼしていないケースがほとんどだと思います。

しかしながらみのもんた氏は「みのもんた教」とも言われる圧倒的影響力を持っている人であり、相撲で言う「横綱」であるのです。ご存知の通り、横綱になれば成績不振の場合大関に下がるという選択肢はなく、辞めるしかありません。つまり、ほとぼりが冷めるまで静かにしているより、ずばっと辞めることにその花道があるように見えます。

ご本人の法律的責任は無論ないでしょう。ですが、TBSとしてそれでもみのもんたを使わざるを得ないとすればせっかく「半沢直樹」で株が上がったのに打ち消しになってしまいます。またみの氏ももう69歳です。そろそろ後進に道を譲ってもよさそうな気がします。

仕事をしたいのなら水道会社の社長、御法川法男として頑張ればよいのではないでしょうか? それとも芸能界とTBSの天皇は一般会社の社長に比べおいしいポジションなのでしょうか?このあたりは私には想像もつきませんね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年10月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。