上海は、日本人が多い街で有名である。一説には、日本人が、駐在者、長期滞在者などのビジネス滞在している日本人が8万人から10万人いるといわれる。そのような状況下で、近年、日本のサービス業が上海へ多く進出している。
その中でも、日本の飲食店が、上海で出店するという案件が、ここ数年で急激に増えている。世界一人口の多い中国では、『食』のビジネスは、チャンスは非常に大きい。しかし、日系のレストラン、居酒屋チェーン店、中小の飲食店の出店が、多数行なわれているが、大きな成功を収めた日本企業が少ないことは、現地の日本人の間ではよく知られていることである。厳密に言えば、中国において、日本人経営で、飲食店を多店舗経営して、成功している事例をほとんど見ることがないのである。
『味千ラーメン』などの日系ラーメンチェーン店があるが、中国展開をしている実際のオーナーは、香港人であることは有名である。
日本人が、中国でビジネスを成功させるには、やはり、一番に障壁になるのが、言葉の問題である。中国語が出来なければ、従業員との業務連絡も出来ず、社内が混乱したとしても、収拾が付けられないのである。日本からの投資者の中で、考えられるビジネスで、割合、参入障壁が少ないと思われるのが、飲食店の出店である。個人投資家の方も、参入したがる業界は、『飲食店』である。
日本から退職金を全額持ってきて、中国ビジネスに投資してみたいと思う個人投資家も結構いる。そのような方と会って話をする機会があるが、皆、口を揃えて言うことは、『日本で投資して行なうビジネスがないから、上海で事業を行なってみたいと思った・・・』
しかし、そのような多くの投資者が、まったく中国語が出来ない状況で、中国でビジネスを行なおうとしている現状がある。
パターンを言えば、『信用できる中国人の友人がいるので、私は、彼に頼って、この街でビジネスをすることにした。』と話し、中国ビジネスを展開する場合が非常に多い。
しかし、このような投資者の多くは、『2,3年もすれば、上海の街から居なくなっている。』 結果から言えば、ほとんどの方が失敗をしているということになる。
中国で事業投資を失敗した人の多くは、『中国で騙された。信用していた現地の友人から裏切られた。』と言うのである。私から見れば、『中国でビジネスするのに、現地の法律、現地の慣習、そして、現地の言葉がまったく理解できないで、中国ビジネスができるわけがないのである。中国人も、上海ビジネスについて話をするときは、このように語る。『中国人にとって、一番ビジネスが難しい街は、上海である。上海で成功できれば、中国全土で成功できる。上海は、中国最大の経済都市で、中国全土からビジネスで自信がある奴が集まってくる。だから、この街でのビジネスは難しいのである。』
私は、中国進出のアドバイザーとして仕事をしているが、そのような無謀な投資者が後を絶たない。その種の投資者の事後処理相談をうけることが多い。しかし、失敗してしまってから相談をされても、まったく後の祭りである。
日本では、中国ビジネスに対する熱が、高まっている。中国のことを知ろうと努力しないで、日本の常識、日本の感覚だけで、中国ビジネスを行ないたいと思っても、成功する確率は、ほぼないのである。
中国でビジネスをするならば、中国ビジネスについての基本を学ぶこと。そして、語学を学び、そして、現地、中国人の利益を考えることが、中国ビジネスを成功させるための鍵になる。
コメント
本当に大事なことを平易に的確につたえてくださる。言葉ですよね。私の住む「田舎町」にも諸外国人が飲食店を構える時代です。全員日本語が達者。こちらは当たり前と思ってますがよく考えれば大変なこと。日本人は隣国語に興味もち、アンニョンとかニンハオ、マブハイから口に出しそれからそろばんはじいてもらいたいですね。