日本の飲食店業界が、中国で飲食店を開きたいというニーズが高まっています。個人的な話ですが、5年ほど前に、上海で飲食店を開業したことがありました。
日本のある投資家の方からの依頼があり、『上海で日本式のラーメン屋さんを開店したいので、是非、手伝って欲しい。』と言われて、上海市内で3店舗、店をOPENさせた経験があります。
初めて上海で飲食店をOPENさせることもあり、手探り飲食店の開業準備を行ないました。上海で飲食店を開くために、まず行なうことは、会社登記です。外資の場合は、資本金は、14万USドルが必要となります。会社登記を行なう場所は、実際のレストランを開業する場所と違っても問題がありません。開業方法としては、レストラン管理会社をどこか上海市内のオフィスのある場所で登記した後に、実際にレストランを開業する場所に支店登記を行なって営業を開始します。
上海でレストランを開く上で、一番困ることは、レストラン営業ができるテナント探しです。上海市は、非常に環境基準や消防に対する基準が厳しく、どのテナントでもレストランが経営できるかと言えば、そうではなく、ごく一部の決められた場所以外では、レストランが開業できないようになっています。人口密集している上海で、飲食店が開業できるテナントでいい場所を探すのは至難の業と言えます。
地の利のいいテナントで空き物権がでれば、数時間以内に、仲介業者に現金を支払って、物件を押さえなければ、借りられない現状があります。決断のスピードが要求されます。
上海で飲食店の開業準備をしている業者で、テナント探しだけで、半年以上かかるということは、結構ざらにあります。
テナントが見つかっても、テナントの家賃や保証金だけ支払えば、テナントが借りることが出来るのかと言えば、そうではなく、前のオーナーからテナントを譲ってもらうために『譲渡費用』を請求されることが一般的で、その金額も相当高額な場合があります。
上海などの大都市で、飲食店ビジネスをするには、初期投資が結構かかること言えます。上海市内の中心地で、一般的な50坪程度の飲食店を新規でOPENするにあたり、開業資金(テナント賃貸料・内装代等)、運転資金などを含めて、一般的に3000万円(日本円)程度の資本を準備しておかなければ、新規開業ができていないことが言えます。従業員、料理人の給料は、一般的に日本円で、2万円~6万円程度です。ホールスタッフなどは、地方からの出稼ぎ労働者がほとんどで、地元の上海人がホールスタッフを勤めていることは、めったにありません。職業で、地域性がでるのも中国の特徴です。
上海で、飲食店を開く上で、もっとも大きな固定費になるのが、家賃です。上海市内の繁華街で飲食店テナントを借りようと思えば、東京の一等地とかわらないくらいテナント料が高いことが言えます。
何れにしろ、日本から多くの飲食店を開業したいと考える企業が、上海を目指していることは事実です。その現状を考えても、もっと中国の真の事情を伝えるメディアが必要かと思っています。
■小谷まなぶのオフィシャルブログ