6月17日に孫さんと池田先生の討論がUSTで行われました。私は海外にいた為に見逃したのですが、後でビデオを見ました。
孫さんは、事前にこれまでに池田先生が言ってこられたことを全てチェックして、それに対するコメントを逐一用意していましたし、現実に、電波問題以外では、池田先生のUSTでの発言が極端に少なかったのは、衆目の一致するところでした。
事後のUSTのアンケートでも、
1)全て光にすべき(仮にコンテンツが今のままでも)
2)NTTを構造分離すべき
3)電波の再編成をすべき
の3点の全てについて、80-90%の賛成票が投じられたことが分かったので、「もうこの問題については、私がアゴラでこれ以上書く必要はないだろう」と、私自身も実はホッとしていました。
ところが、その後の池田先生のアゴラ上での「まとめ」を読むと、ちょっと話が変なので、もう一度だけ、この件についての私なりの「まとめ」を寄稿させて頂きます。
なお、アゴラのコメント欄に投稿して下さる方の中には、ソフトバンクの事業についてご心配頂く方が多いのですが、ソフトバンクの事業自体は、国の通信インフラのグランドデザインが健全で効率的なものになっている限りは、きちんとやっていける自信があります。特に私自身の担当分野であるモバイルについては、周波数割当についてはなお懸念があるものの、それ以外の殆どの問題は、経営努力で解決出来る問題だと思っています。
私は、いつも、固定環境を「陸地」に、移動環境を「海」に例えていますが、人間は通常は「陸地」にいるので、自分の担当の「海軍」のことだけを考えているわけにはいきません。最近は「海兵隊」(携帯無線端末)が「陸地」でも大活躍ですが、「海」と違って「陸地」には昔からの施設が色々あり、現状ではこれが歪んだ形になっているので、ここにきちんとしたグランドデザインが確立していないと、とても不安なのです。
それでは、本題に入ります。
先ず、「光の道」「NTTの構造分離問題」「NTTの既存交換網のIP化」「電波再編問題」の四つの関係ですが、この四つの全てが重要な問題であることは明らかです。全てが重要なのですから、「こっちがあれば、あっちは要らない」という議論は成立しません。
先ず、池田先生が情熱を傾けて下さっている「電波の再編」ですが、これが極めて重要な問題であることは言うまでもありません。ですから、今後、あらゆる分野でこの議論がどんどん進められるべきは当然です。しかし、これまでも何度も申し上げているように、無線だけでは、今後必要となる「高速大容量通信」の全てをサポートすることは全く不可能ですから、「これさえやれば『光の道』も『NTTの構造分離』も不必要だ」ということには勿論なりません。
次に、池田先生が最近持ち出された「交換網(Connection Network)からIP網(connectionless Network)への転換」の問題ですが、これは今後の当然の流れであり、あらためて論じるまでもないことです。NTTがタイミング的にこれを思い切って前倒しするというのであれば、それは誠に結構なことですから、是非おやりになればよいと思いますが、それはNTTのネットワークの「合理化」の問題であって、ユーザーのニーズとは特に関係はありません。また、「光の道」や「NTTの構造分離問題」で論じられている「伝送路」の問題とは異なるレイヤの問題ですから、これらの議論とも全く関係はありません。
「生産性の向上」「国民生活の質の向上」「地方の活性化」「教育と医療の変革」等を目標とした「光の道」と、「公正競争環境の実現」を主たる目標とした「NTTの構造分離問題」も、元来は別次元の話なのですが、「光の道を実現しようとすれば、NTTの構造分離は不可欠」という考えがあるからには(正しいかどうかは別として)、先ずは一緒に論じるのが妥当でしょう。
「『光の道』を実現する為にも、『NTTの構造分離』は必須である」というソフトバンクの主張は、「『光の道』を『国民の税負担ナシ』で実現するためには、『メタル回線の全面撤去』を同時に行うことが必須であり、その為には、『NTTの構造分離』が必須である」という三段論法によるものです。
その後段の論拠は
1)NTTが、現在のように「営利追求を目的とする普通の会社」という側面と「公益的な役割を果たす国策会社」という側面を、渾然一体として併せ持っている限りは、このような「計画経済的な手法」は導入できない。(従って、性格の異なるこの両部門を、この際、明確に分離すべきである。)
2)地域によっては自然独占に近くならざるを得ない「伝送路」を、NTTが「他の通信会社に貸し出す(卸売り)」一方で、それを利用する通信サービス(小売り)も「他の通信会社と競争して」行っている状況下では、「光回線サービスでの公正競争」は全く保証され得ない。その事自体がそもそも極めて本質的な問題であるわけだが、「メタル回線の撤去」についても、この様な状況が変わらぬ限りは、既存ADSL事業者は「絶対反対」を唱え続けるしかなくなる。
ということです。
次に、池田先生は、毎回繰り返して「NTTの分離・分割など今更出来るわけはない」と極めて断定的におっしゃっておられますが、これは「消費税の導入など今更出来るわけはない」と言うのと同じ位に、ドグマチックで根拠に乏しい議論だと思います。
1996年の時点では、NTTの分離・分割はまさに実現しようとしていたわけで、最終段階で政治力によって「持ち株会社」という「骨抜き決着」になっただけです。しかし、さすがにこの「骨抜き決着」を永久に適用するのは無理だろうという判断から、「10年後の見直し」が決められました。そして、10年後の時点では、また政治力が働いて「2010年での見直し」となり、今日に至っています。池田先生の「出来るわけがない」という議論は、「日本はそういう国なのだから、NTTの分離・分割は永久に後送りされる宿命であり、それを変える事など不可能だ」と言っておられるかのように聞えますが、これは著名な学者先生のお言葉とはとても思えません。
NTTの分離・分割は、少なくとも法制的には何の問題もない筈です。(もし法制的にみて基本的な問題があるのなら、何故1990年の時点からこの問題が延々と議論されているのでしょうか?) 英国には「男を女にする以外は、国会は何でも出来る」という言葉があるそうですが、現在のNTTはNTT法によって規定されているのですから、このNTT法を国会で改正すれば、NTTのあり方などは如何様にも変えることは出来るのです。
逆に、むしろ正反対の見方も出来ます。仮に色々な検討の結果「NTTの構造分離はやはり必要だ」という結論が出たとしたら、NTTの「組織防衛派」は、これを覆すことが果たして出来るでしょうか? これを覆すためには、そのデメリットを国民の視点から具体的に訴えなければならないのですが、これはとても難しそうです。1996年の時点では、「国際競争力」「技術開発力」「株主の利益」「ユニバーサルサービスの確保」の4点セットがポイントになったのですが、今回は、この全てが簡単に論駁されてしまいそうです。
考えてみると、「光の道」の方には、色々な異論や反論、代替案などが数多く出そうですが、「NTTの構造分理論」の方は、「イエス」か「ノー」かの二者択一の問題であり、明確に「ノー」と言える根拠は、どう考えてみてもあまり見当たらないので、むしろ簡単に「イエス」の結論が出てしまう可能性すらあるように思えてなりません。
さて、次の問題に移ります。
かつて、池田先生は私に、「ソフトバンクの案は、実現に至るまでの手続き面と、新会社のガバナンスの点で穴だらけだ。これを明らかにせよ」と求められました。そして、孫さんとのUST討論に関しても、「この問題については孫さんからも明確な返答はなかった」という指摘がありました。
しかし、この問題についての私の結論は、「具体的な考えがないわけではないが、それをソフトバンクが提案するのは不適切だ」ということです。以下にその理由を述べます。
そもそも、「光の道」は、原口総務大臣が提案され、この実現方法の検討を総務省と「タスクフォース」に指示されたものです。ソフトバンクの孫社長は、これに呼応して、「こういう方法をとれば、『光の道』は『国民の税負担ナシ』で実現できるのではないか」という具体案を、「関係する事業者の代表」という立場で招かれた「タスクフォースの第一、第二合同部会」の席上で披露しました。
何故ソフトバンクがこの様な具体的な提案を出したかと言えば、「この様な『アイディア』や、それに基づいた『具体的な提案』は、他の人達からは恐らく出てこないだろう」と考えたからに他なりません。
本当は、この様なことは、NTT自身が提案してくれれば一番よいのですが、常に「組織防衛」を第一義に考えているかのようなNTTには、そんなことはとても期待出来ませんでした。また、職権でNTTの実態を詳細に知ることが出来る総務省も、本気になればこの様な提案が出せないではなかったと思うのですが、現在の状況下では、それに期待するのも無理だと思われました。
ソフトバンクやKDDIのような通信事業者は、顧客に対してエンド・トゥ・エンドのサービスを提供するに当たって、NTTの伝送路を使わせてもらっており、毎年その対価を払っています。その対価の根拠についても、極めて不満足ではありますが、ある程度の内訳は聞いております。ということは、ソフトバンクのような会社は、NTTのネットワーク運営の実態を、ある程度は分かっている立場にあるということです。
学者先生や評論家、ジャーナリストの方々も、本気で取材をされれば、同じような立場になられることも可能だとは思いますが、実際には、厳しい競争関係にある事業者とは緊迫感が全く違うので、それだけのインセンティブは働かないでしょう。
こういう背景があったので、ソフトバンクは、兎に角、勇気を奮ってこの様な提案を出しました。「根拠となる数字がなければ信用できない。思い付きの無責任な提案なのではないか?」と言われる方が多かったので、詳細の数字も提出しました。「間違いがあれば訂正しますから、具体的に指摘してください」とも申し上げました。しかし、現時点では、相変わらずの「数字を伴わない抽象的な批判」以外には、何等「具体的な反論」や「逆提案」はなされていないのが現状です。
ここまで来れば、これからなされるべきことは明らかです。折角ソフトバンクの具体的提案(叩き台)があるのですから、総務省がNTTに命じて、「具体的な問題点の指摘」と「具体的な逆提案」を出させればよいのではないでしょうか? どう考えても、NTT自身以外には、その事がやれる適任者はいないようですから。
さて、それでは、仮にこの提案が現実的と判断された時には、実現の為の実際の手順は如何にあるべきなのでしょうか? 池田先生は盛んに「ソフトバンクがその案を出せ」とおっしゃいますが、それはどうかと思います。
ビジネスモデル(基本的な事業計画)については、「通信事業を実際にやっている(従って、NTTのネットワークの状況についてもある程度分かっている)我々にしか、こういう具体案は出せないのではないか」という自負がありましたから、実際に提案しました。しかし、その「実現の手続き」や「NTT法の改正のあり方」等については、総務省の官僚の方々の方が余程よく分かっておられると、我々は思っています。従って、こういう方々を差しおいて、一事業者に過ぎない我々が、そういった分野に関することについてまで「具体案」を具申するのは、僭越であると思っています。
新会社のガバナンスについては、それを「国営」「公営」「民営」の何れと呼ぶかはともかくとして、色々な案があって然るべきです。それぞれの案には当然「プロ」と「コン」があるでしょうから、それについても公の場で大いに議論すればよいでしょう。
「計画が当初のプラン通りには行かず、赤字になったらどうするのか」という問い掛けも、これまた極めて常識的な議論です。国の事業であれ民間の事業であれ、先ず「事業として成立する(赤字にはならない)」という十分な成算がなければ、踏みきれないのは当然です。そして、それで踏み切ったとしても、「結果が思うに任せない可能性は根絶できない」というのも、これまた当然のことです。
先ず「踏み切れるかどうか」は、ソフトバンクが提出したプランに限らず、全てのプランを精査して判断すればよいだけのことです。(具体的な精査もしないであれこれ言うのは、元々筋違いで、何の意味もありません。) 「結果が思い通りにいかなかったらどうするか」は、その時点で、その事業の株主が(それが「国」になるのか、「一般の法人や個人」になるのか、或いは「その混合」になるのかは、これから大いに議論するとして)決めればよいことです。
自分は何も具体案を出さず、折角出てきた「叩き台」も、ただ抽象論だけで「出来るはずはない」とこき下ろしている人達だけでは、もはや何も前には進みません。もう相当時間がたっているのですから、今は一日も早く、総務省のリーダーシップの下に、「数字を伴った具体案」での議論を進めて頂きたいものです。
「FTTHとDSLと無線の比較」も、「コストとパーフォーマンスを同じベースで比較した具体的且つプロフェッショナルなもの」以外は、池田先生からはもう持ち出されない方がよいと思います。どなたかからのインプットがベースになっているのだとは思いますが、今後は、そういうインプットをした方の口から直接言って貰った方がよいでしょう。失礼ながら、技術的には殆どが的外れなものなので、先生の発言とされると、先生の権威がそこなわれるだけです。
また、池田先生のお話には、「NTTの役員はソフトバンクの案は滅茶苦茶だと言っている」等々、NTTの方々のコメントが間接的にしばしば出てきますが、その方々には、「そんなことは自分に言うのではなく、公の場で言ってください」と、是非お伝え頂きたく存じます。「NTTが受け入れない」とか、「NTTの社員はソフトバンクが嫌いだ」という類のコメントも、「国策の履行」には何ら関係のないことですから、差し控えられた方がよいのではないでしょうか? NTT法をどうするかは、国民に選ばれた国会議員が決めることであり、NTTの役員や社員が決めることではありません。
以上が、池田先生の本件についての「まとめ」に対するコメントを兼ねた、私の本件についての「まとめ」です。
最後に、蛇足ではありますが、「米国のAT&Tの分割は失敗だった」という池田先生のコメントについても、前回の「財産権」についてのコメント同様、一般の読者をミスリードする恐れが多分にあるので、「失敗と断ずるのは正しくない」ということを、以下に簡単な解説と共にお伝えしておきたいと思います。長くなりますが、ご興味のある方はお読み下さい。
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米国では、グラハム・ベルによる電話システムの発明以来の伝統を引き継いできた巨大な垂直統合型の「AT&T」が、長距離ネットワークの運営と研究開発・機器製造を行う「新AT&T」と、7つの「地域電話会社」の計8社に、1984年に分割されました。そして、その後、「新AT&T」は、研究開発・機器製造部門を「Lucent Technology」として自主的に分離しました。
ところが、その後、8社に分割された電話会社は、複雑な合併と吸収を繰り返し、現在は「Verizon」と「AT&T」の2社に概ね再編された形になっています。このことをもって、「ほら見ろ。結局元に戻ったじゃあないか。分割は失敗だったのだ」と言っている人が結構居ます。しかし、果たしてそうでしょうか?
アメリカでは、先ず「分割」によって「動かし難い山のように見えたAT&Tの圧倒的な独占状態」を打ち崩し、その後「各社それぞれの自由意思」によって、即ち「競争環境の中で生きていく為のそれぞれの経営戦略」によって、合併・統合が繰り返されたのです。もし最初の「分割」がなかったら、その後の動きもなく、現在のような状況にはならなかったでしょう。
「真の『建設』は『破壊』の後でしか出来ない」という言葉がありますが、アメリカがやった事はまさにこれでした。それに対し、「身内に甘く、正邪の区別を曖昧にしたままで、『マアマア』とお互いを庇い合う」傾向の強い日本では、通常このような「破壊」は出来ず、従って「真の建設」もなかなか出来ないようです。
ちなみに、現在の「Verizon」と「AT&T」は下記のような経緯で形成されました。
「Verizon」は、7つの地域電話会社のうち東部に位置した2社、NynexとBell Atlanticが中核になり、これに中西部のAmeritechと西海岸のPacific Telesisの一部が、漸次吸収されて形成されました。「固定通信サービス」と「携帯(無線)通信サービス」の二部門から成り立っていますが、「携帯通信サービス」の方はもともと地域電話会社系と独立無線通信会社系の二系統に免許が与えられた経緯がありますので、前者の大部分を引き継いだ「Verizon」は、ごく自然に一大勢力を形成するに至ったのです。
これに対して、「AT&T」の方はもっと複雑です。前述のように、全国の携帯通信サービスの約半分は、当初はMcCaw CellularやLin Broadcasting等に代表される独立系無線通信会社が行っていたのですが、これらの会社が合併・吸収を繰り返した挙句、最終的に、事業的には殆ど関係のなかった「AT&T」と合併、ブランドとしてより価値のある「AT&T」を会社名にしました。一方、「Verizon」系とは別の地域電話会社を糾合した「Cingular」(南部のBell Southと南西部のSouth Western Bellが中核)も、最終的にここに吸収されたので、ここに、「全ての部門でVerizonと拮抗する力を持つ新しい会社」が、昔ながらの「AT&T」の名の下に誕生したわけです。
(なお、「Verizon」と「AT&T」に次ぐ第三位の通信会社は、元々「旧AT&T」と対抗する立場だった独立電話会社系の「Sprint」であり、第四位はドイツテレコム系の「T-Mobile」ですが、今回の議論とは直接関係がないので、ここでは説明を省きます。)
さて、このように複雑な合併・統合によって二大勢力が誕生したのですが、その経過においては、もともと同じ釜の飯を食っていた旧AT&Tの各社の間には激しい競争がありました。繰り返しますが、このような競争がなければ、合併も吸収も何も起こらなかったのです。
そもそも、当初の「AT&T分割」の条件自体が、日本の「見せかけのNTT分割」とは似ても似つかぬ厳しいものでした。私はまさにその現場に居合わせていたのでよく知っていますが、「経営の分離」を確実に担保する為に、昔の友達にちょっと電話して情報交換をしたり、意見を求めたりする事すらもが禁止されていた程です。「持ち株会社」の支配下で、グループ各社で頻繁に人事交流が行われているNTTの現状とは、全く比較になりません。
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コメント
「先ず「踏み切れるかどうか」は、ソフトバンクが提出したプランに限らず、全てのプランを精査して判断すればよいだけのことです。」
精査して赤字になるか黒字になるか判るのなら、赤字になって潰れる企業などないでしょう。重要なのは計画ではなく、「結果的に赤字になったときに誰がその穴埋めをするのか」という話です。
「自分は何も具体案を出さず、折角出てきた「叩き台」も、ただ抽象論だけで「出来るはずはない」とこき下ろしている人達だけでは、もはや何も前には進みません。」
自分たちは何らリスクを負わず、「試算では黒字になるはずだから、リスクはそちら持ちで実行すべきだ。」と調子のいいこと言っているだけでは何も前には進みません。「NTTの構造分離」に関しては、政府・NTT・NTTの株主がリスクを負います。では、SBはどのようなリスクを負うのでしょうか?
松本様
>「計画が当初のプラン通りには行かず、赤字になったらどうするのか」
>という問い掛けも、これまた極めて常識的な議論です。
>国の事業であれ民間の事業であれ、先ず「事業として成立する
>(赤字にはならない)」という十分な成算がなければ、踏みきれないのは当然です。
その論理が通用すれば無駄な高速道路なんてひとつも建設されていないでしょう。
しかし、実際にはどうでしょうか?根拠の曖昧な需要予測を元に「黒字になる」と
結論づけて結果が伴わないのを何度も経験してきています。
あくまでも「予測」で判断するしかないのですから、赤字になったときどうするのか?
この点を明確にしなければならないのは当然です。
松本様は長々と文章を書くわりに肝心なことにはいつまでたっても答えられずにいます。
それは孫社長も同じです。
ソフトバンクは事業を始めるとき、リスクマネジメントとして、
事業計画が失敗したり、赤字になった場合の対応方法は考えないのですか?
そんな三流企業でないと思っていますが。
数字の妥当性とは関係のない話をしているのですが。
どれほど精密に計画しても、赤字の補填方法は当然考慮すべきものです。
松本さんはこれまで何度か反対派に対して、「それはこの業界の実態を理解していない間違った意見だ」と切り捨てられていましたよね。実際、松本さんよりも通信事業に詳しい人間など数えるほどしか居ないのですから、それはそれで構いませんが、ではUSTで賛成したと云う大多数の視聴者は、本当にこの問題の本質をすっかり理解した上で賛成票を投じたとお考えでしょうか?
ついでに、反対派がこれまで何度も何度も問いかけて来た「日本より遥かに通信インフラが遅れている米国で画期的なwebサービスが次々生まれるのは何故か?」と云う疑問に対して一度もお答え頂いていないと思いますが、良ければこの点についてのお考えをお聞かせ下さい。
forcasa3さん
教えてください。
「日本より遥かに通信インフラが遅れている米国で画期的なwebサービスが次々生まれるのは何故か?」
でイメージされている画期的なWebサービスとはたとえば何をイメージされていますか?
いくつか、列挙していただけませんか?
そうですね、やはり筆頭としてはgoogleとその傘下の各種サービスでしょうか。その他にぱっと思いつく物としてはiTMSやPandora、Skype(厳密には欧州の企業ですが)、flickrにtwitter、Zohoあたりですね。
確かに、爆発的にトラフィックは増えています。
ですが、それは、人口密集地である都心が
牽引しているのではないでしょうか?
そもそも、何故トラフィックがこれだけ増えたか。
ユーザ数、1アプリあたりのトラフィックが増加したから
ですよね。
使っているユーザが多ければ多いほど、
階乗的にトラフィックは増加します。
人口が密集しているからこそ、このような
爆発的なトラフィックを生んでいるのです。
そもそもユーザ数の少ない過疎地/離島では、
数学の階乗によるトラフィック増加の「恩恵」は
さほど発生しない。
これは数学による「定性的」な指摘です。
結論として、本当に需要増加によるトラフィックを
支えるのであれば、
「階乗の恩恵を蒙る」都心部を更に強化すべきなのでは
ないかと考えます。
それは利活用の強化にもなると思われます。
利活用の激しいところのインフラを集中的に整備する、
というのがインフラの本道でしょう。
これは水道管であれ電線であれ、同じ事です。
都心ではなく、ロングテール的に、人口過疎地が
トラフィックを牽引する、という理論は私は存じ上げません。
各ユーザが全員、ハブ的な役割を持ち、端末を
利用するからこそ、このように階乗的にトラフィックが
増えているのではないでしょうか?
異論あります事は予期しておりますため、
このあたりで文を綴じます。
国に求められる責任のひとつに、どこに住む国民にも
「人間的で文化的な生活を保障する」というものがあります。
なにをもって人間的で文化的か、というのは議論の
分かれるところですが、インターネットが新たな文化であるならば
そのアクセスを国が責任をもって行うというのはひとつの考え方です。
また、現在、多くの国が抱える問題のひとつに
「人口密集のさらなる過密化」というものがあります。
日本でも抱えています。
東京に暮らしてらっしゃる方は実感されておられる事でしょう。
例としては
道路、配線などのインフラが高くつく点。
道路などは道路特定財源という税を元にしており、東京都民も
払っているのだから問題ないとお考えかも知れませんが
道路の場合、地方の道路特定財源を東京で使っているのが
現状です。原口総務大臣も野党時代、問題にされていたはずです。
新たな配線なども屋内部分では、マンション等の場合、不可能な事もありVDSLが発展したことは言うまでもありません。
電柱を撤去し、地中に埋めるというのもコストは高くなります。
移動に関しても、渋滞が多いとロスになる。
電車も満員。フレックスタイムの実施を大手企業に求めるのは
その解消策のひとつと認識しております。
大雨対策に地下に貯水施設が必要だ、
というのも都市部ならでわのコストです。
高層ビルについても解体のコストは不明です。
鹿島建設さんが自社ビルをダルマ落し工法で解体された
実績がある程度で、今後の大きな課題であることは明白です。
また日本国民ではないものの外国人労働者が六畳一間に
4人で生活している、等の報道も見受けられます。
日本人ではないとはいえ、人間が、人間的で文化的ではない
状態を看過するのはいかがでしょうか。
まとめると、人口過密を助長するのは問題があるという事です。
長文失礼しました。
ここ数日忙しくて遅れてしまいましたが、コメントを頂いた方に一応お答えをしておきます。
bobbobさんへ
どんな事業も当然思い通りに行かない事があることは既に申し上げています。その時は株主に選ばれた取締役が対策を練ります。どうにもなら無いときには、先の金融危機のときのように、国が救済するか倒産させるかを決めます。
最終的に出てきた事業計画を見て、その危険が多いと判断したときには、ローンを供与する金融機関も出てこないし、国も推進を躊躇しますから、事業は成立せず、bobbobさんが心配する必要もなくなります。
全ては、事業計画をつくることが先決で、それもしないうちに「うまくいかないかもしれないから、やめろ」と言っていては、世界中から全ての事業(民間の事業であれ、公共事業であれ)がなくなってしまいます。
ソフトバンクは自分の事業については全責任を負っており、経営者の能力を信じていただいている株主の期待に沿うよう頑張っていますが、「光の道」のような事業は、ソフトバンクのような事業者が出来るものではなく、国民のために国がやるべき仕事だと思っています。
従って、「このようにしてはどうか」という提案はしておりますが、「自分にやらせろ」等と言っていません。
bobbobさんのような方が国民の大半を占めようのなら、「光の道」は結局実現しないでしょう。しかし、国民の生活のあり方についてもっと前向きの将来像を描き、「この為には旧態依然たる現在の業界構造を変えるべきだ」と考える人達が多ければ、実現するでしょう。
現在の経営者でそのような国の考えに与さない人は、その時点で辞めればよく、同じような考えの株主は、その時点で自分の持ち株を売ればよいだけのことです。国の考えに賛同した人があたら悪しい経営者になり、新しい株主になるでしょう。
shuu0522
bobbobさんへの答えをご参照下さい。しかし、「うまくいかなかったらどうして赤字を補填するのか?」という質問の仕方は何だか変ですね。「赤字補填」などというコンセプトは民間の事業経営にはありませんよ。うまくいかない場合は、「経営者を代える」「抜本的な経営合理化行う」「価格政策を見直す」「一部を損切りして、方向転換する」「金融機関の支援を要請して、より長期での投資回収を考える」等々の方策を先ず講じるのが普通です。その後は、bobbobさんへの答と同じになります。
ちなみに、当初の思惑通りに事業が進まないことはしょっちゅうあるのですから、まさかそんなことを考えないで事業をしている人gこの世の中にいるとは思えません。(普通の会社なら課長もつとまらないでしょうから、とっくのビジネスの世界から消えています。)
しかし、どこまでのリスクを取るかは、民間の場合は経営者、国の場合は政治家の、「志」の如何によって決まります。経営者は株主と従業員に、政治家は国民に対して全責任を負うのですから、必死に思いつめて決断するのです。そういう決断をした人達によって、世の中は動いているといって良いでしょう。評論家によっては世の中は動きません。
国の事業の多くがずさんに計画され、ずさんに運営されてきたのは事実です。しかし、だからと言って「公共事業などというものは全廃しろ」という人はいないでしょう。或る分野では、公共事業はどうしても必要なのですから、「どうすれば、もっと緻密に計画を選別し、もっと厳格に運営を監督できるか」を考えるべきでしょう。それこそが、今国民に求められていることだと思います。
松本様
ご回答ありがとうございます。
当初の思惑通りに事業が進まない場合は、予定を変更する。
当然ですよね。
ただし、FTTH100%は義務化。事業は継続。
つまり、さんざん国民負担はないと美味い話をして、新会社まで
設立させておいて、赤字だったら税金を投入するわけですね。
「予定と違った。軌道修正するのは当然だ。」と言って。
松本様や孫社長は美味い話だけしています。
立案した内容のメリットだけでなく、デメリットやリスクについて、
明確に説明できない案なんて採用する気にはなれません。
美味い話だけ聞いてGoサインを出すバカな経営者はいないと思います。
ソフトバンクは提案のメリットだけ聞いて事業判断するんですか?
リスクを質問したら
「当初の思惑通りに事業が進まないことは多々ある」
なんて回答する者の話をまともに聞くでしょうか?
>従って、「このようにしてはどうか」という提案はしておりますが、「自分にやらせろ」等と言っていません。
たしかに自分でやる気はありませんよね。
「お前がやって、俺に使わせろ」がソフトバンクのスタンスです。
ソフトバンクにとってはノーリスクな素晴らしい案です。
forcasa3さんへのお答えです。
先ずUSTで80-90%の人が賛同したからと言って、それが世論だなどとは私も思っていません。USTで夜遅くまで孫さんと池田先生の討論を聞いている人等は、もともと「一般の人」ではないからです。敢えてこの事に触れたのは、以前にアゴラのコメントで「世の中の殆どの人がソフトバンクの提案など実現するわけがないと思っている」ということを言った人がいたので、そういう人に対する反論の為に引用したまでです。
さて、「米国人は次々とネット関連の新サービスを打ち出してくるのに、日本からは新しいものが出てこないのは何故か」という問いは、「モンゴルからは強い相撲取りが次々に出てくるのに、日本からは出てこないのは何故か」いう問いのに似ています。
「インフラの実態」と「アプリケーションの開発能力」には、かなりの「相関関係」はありますが、お互いに絶対的な「必要条件」でも「十分条件」でもありません。但し、日本がせめて「圧倒的に進んだインフラ」を整えれば、「大きな構想力」や「発想の飛躍」の欠如を、ある程度カバーしてくれるのではないかという思いがあります。
「光の道」が実現すれば、「大きな通信容量を必要とするようなアプリの分野では、何だか日本が強いね」という事に持っていける気がします。
松本徹三氏の主張は危険と感じる。それは「NTT法を国会で改正すれば、NTTのあり方などは如何様にも変えることは出来る」、「NTT法をどうするかは、国民に選ばれた国会議員が決めることであり、 NTTの役員や社員が決めることではありません。」さらに「男を女にする以外は、国会は何でも出来る」と述べていることです。日本国の国会は憲法で最高の議決機関であると述べられているが、はたして現代の日本国の国会は「男を女にする以外は、国会は何でも出来る」のであろうか、
公権力に対して個人の優位を主張したジョン・ロック(John Locke)はこう述べている。
政府が権力を行使するのは国民の信託 (trust) によるものであるとし、もし政府が国民の意向に反して生命、財産や自由を奪うことがあれば抵抗権をもって政府を変更することができると考えた。抵抗権の考え方はのちにヴァージニア権利章典に受け継がれていく。
我が国の憲法、米国憲法に表されているように、現代の自由主義経済を標榜する先進国に共有するこの価値観はこのジョン・ロックの言う社会契約説によってなりたっつと考えられる。 故にわが国の国会では民間の個人や法人の生存権や財産権、自由権は議論はできても蓋することはできない。これはテルストラ社を有する豪州でも同様である。 しかしながら松本徹三氏はどうどうと「光の道」は最高の議決機関である日本国の国会が議決すれば、「光の道(NTT構造分離)」は誕生すると情熱的に語っている。
日本国憲法を基準としたあらゆる現在の法体制の整合性を考えた場合はそんなことはありえないのである。
氏が「光の道」のためのNTT構造分離が採算性に問題なく、国益と考えるなら、粘り強くNTTの経営者、株主を説得するいがいに道はない。
「日本より遥かに通信インフラが遅れている米国で画期的なwebサービスが次々生まれるのは何故か?」の問いかけですが、ネットを検索する限り、Youtubeがネット上に公開された2005年時点で既に米国の方が日本よりブロードバンド利用者数が多いようです。またSkypeがebayに買収される以前にあたる2004年で、欧州ではADSLが普及していました。友人が欧州にいて当時からアパートでADSLを使っていました。速度メニューが豊富で最大速度に対して値段が安いという意味で日本は進んでいるようですが、利用者数や普及年度が日本が一番というわけではないようです
思えばDialUp環境でSkypeやYoutubeを思いつく人はいないのではないでしょうか。常時接続であった方が利便性が高いサービスは、定額通信サービスが売れていることを目にできるようになってから、同様に通信速度・通信帯域が必要なサービスはそれに合った高速通信が売れていることを目にできるようになってから、それらサービスがネット上に現れているということは、この問いを投げ掛け続けている人もわかっているのではないでしょうか。逆に検索エンジンはDialUp時代から普及していたことはご存知かと。
日本も捨てたものではないと思いますよ。
楽天市場はオリジナルといってよいと思います。楽天に買収された旅の窓口も(特に当時は)オリジナルといってよいのでは。iモードブラウザも海外に大きな影響を与え、海外の携帯電話のブラウザの規格(WAP2.0?)へ取り込まれていたようです。javaもしかり。また、世界に先駆けて日本の携帯電話にパケット通信が導入されたことで、PCのリッチコンテンツを自動変換し、同一ログインIDで同一コンテンツ(つまりカラーで)を携帯で利用できるようになったことも、通信インフラがもたらしたオリジナルな発想だと思います。
携帯基地局エリア内で、高速通信している人が一人いると、同時に高速通信できる人が減るだけでなく、通話できる人さえが減るそうですね。基地局がカバーできるエリアの面積自体が縮むイメージになるそうです。IMT-2000やWIMAXの説明をネットで検索すると書いてありました。
これが意味することは、田舎や最近報道でよく見るアフリカのように人が散逸であるところでは、現在のように基地局が散逸(10km毎など)であっても、通話やメールだけならば、問題にならならないが、日本やアメリカのように、携帯による高速通信を利用者が現れるとどんどん基地局がカバーできる面積が小さくなり、事実上のエリア外が増えるとの事。
また、電話局も、田舎は基地局同様に散逸なので、電話局から自宅まで3km以上離れているなんていうのはざらで、ADSLはスピードよりも常時接続目的で利用されている。
田舎なのだから・・・無線・ADSLでという論は、田舎は街や家が散逸である分電話局からの距離が遠くなり、メタル線が長くなくなり都市部より保全維持費がかかって大赤字⇒メタルを廃止し光へという論とも相まって、軌道修正が必要かと。
私は光も無線も両方進めるべきで適材適所と思っています。
無線方寄せは無線の特性を考えると無理があるかと。そういえば最近イーモバイルのエリア展開が止まったようにすら見えるほどゆっくりになりましたね。高速規格導入という深堀はしていても、面の広がりが遅くなっている。しかも田舎でもスピードが下りでも1M以上出ていない。田舎でのブロードバンドは携帯電話でという考えは、当初は私も投資効率がいいと良いアイディアだと盲目的に思っていたのですが、やってみたら難しいのでしょうね
失敗時のことを繰返し挙げられている方がいらっしゃいますが、正直なところその方の役職が知りたくなってきています。もし決裁権限をお持ちであるのであれば、その方の勤務先が私のお取引先や持ち株にないか正直なところ心配です・・・
何故かというと提案に対する自己の採用不採用判断がもたらした結果責任の所在を、提案者・分析者・起案者に一方的に求めている論法に読めるからです。怖いです
仕事の受発注や商取引、あるいは、改善の視点を持って組織に積極的に関わっていると、普通のことなのですが、提案はWellcomeその提案に対して採用(部分採用やエッセンスの採用含)・不採用の判断は提案を受けた者(権限を有する人や組織)が行い、その判断がもたらした結果責任は、判断者が取るというのが、社会の基盤です。そういうと長けた方は瑕疵担保のことを挙げられるかもしれませんがそれは請負契約の場合です、しかも有限責任。つまりこれは判断者を一方的に守るための仕組ではなく社会が成立つための折合を意味します。
SB提案自体は、携帯電話のデータ通信のオフロード(KDDI同様の視点)から始まってはいるものの、電話局が散逸して電話線の距離が長い地方のメタル維持費の赤字の垂流しに着目しメタルの維持費の削減に転じている点が(池田教授も)注目に値します。メタル工事技術を有する団塊世代の定年退職までにメタルを撤去し赤字を止め株主利益とブロードバンドの向上を図るという提案は非難されることなのでしょうか
余談ですがオリジナリティがある(=変な)案に対し、貶し、できない理由探しや無限責任を取らせるような発想の方は、私の身近にもいました。当人は、ヤバイにおいがするから、正したりや周りに教えてやっているとおっしゃっていましたが、彼がいる間は皆彼に調子は合わせるものの、誰もアイディアを出せず、前に進めず、結果業績が下がり凄く暗い時期でした。
我が意を得たりという記事を発見しましたので・・・。
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=2443
ユーストリームも、松本さんの記事も全て拝見しました。
私もこのURLの論者のように、問うてみたい。
「100万倍のトラフィックがどこに発生するのですか」
と。
仮説のように、トラフィックが100万倍になったとしましょう。
その場合、本当に、
「全国家庭にあまねく光回線を敷設する」
というソフトバンク案で、トラフィックの爆発を吸収
できるのですか?と。
電気や水道の例えも出されますが、
例えば現在でも、大工場などでは、電気や水道の使用量は、
一般家庭と比較すれば桁違いでしょう?
それとも、この視点は反論するにも値しない、
「素人評論家の戯言」なのでしょうか?
>余談ですがオリジナリティがある(=変な)案に対し、貶し、できない理由探しや無限責任を取らせるような発想の方は、私の身近にもいました。当人は、ヤバイにおいがするから、正したりや周りに教えてやっているとおっしゃっていましたが、彼がいる間は皆彼に調子は合わせるものの、誰もアイディアを出せず、前に進めず、結果業績が下がり凄く暗い時期でした。
この話は、この話題に限らずやめません?過去、私の周りには「ドコデモドアを開発すれば大儲けだ!」 級のビジョンを提示してつき進み、関わる人間の時間を無駄にしてくれた方もいます。
面白いことに、「出来ない理由探し」の場合と同じように、誰も何も言わなくなります。(というか、YESYESといいながら手を抜くしかなくなる) あくまで具体的な提案と制約条件の話をするしかありません。
shuuさんへ、
ソフトバンクのの案には見落としもあり、数々のデメリットもあるかもしれません。それは是非具体的に指摘して欲しいのです。Shuuさんご自身がそれを出来ないのは止むを得ないとしても、それが一番うまく出来る筈のNTTが沈黙を守っているのは何故なのでしょうか? Shuuさんのご不満はソフトバンクに向けられるべきものではなく、沈黙を守るNTTにこそ向けられるべきです。
otgさんへ、
確かに私の言い方は少し極端でしたが、「NTTが反対することなど出来るはずがない」という論調の議論が多かったので、ついきつい言い方になってしまったことをご理解ください。
はんてふさんへ
「近未来の100万倍のトラフィック」の話をする前に、目前に迫っている「数100倍のトラフィック」の話をしましょう。このことを理解する鍵は、「映像」と「大容量ファイルトランスファー」です。現在静止画で満足している人が、「Videoが普通」と考え出した途端に、トラフィックは簡単に100倍程度に跳ね上がります。ローカルに仕事をする為に先ず大容量のプログラムをダウンロードしようとすれば、余程の高速回線がなければ仕事になりません。モバイル回線やADSLだけではとても不可能で、どうしても「光+802.11n/ac」の固定/準固定環境の整備が必要です。インフラの整備というものは、一般の人達の目に見えるようになってから手を打つのでは手遅れであることを、是非ご理解ください。先を見る目を持った人がリードしなければなりません。
はんてふさんにもう一言
国民の基本的なライフラインとして、「水」、「エネルギー(電気)」、「交通(道路)」、「通信」があると考えられますが、前の三つについては、「ニーズ」の増加も「対応能力」の増加も、算術級数的である(例えば一人の人間が使う水の量は限られている)に対し、後者については、両者ともに幾何学級数的であることにご注目ください。
つまり、「通信」といえば電話やメール程度しかイメージが湧かない人が未だに多い中で、日常パソコンなどを使いこなしている人達にとっては、単位時間当たりこの数百万倍のビット数の情報伝達が必須であると、現時点でも考えられるに至っており、また技術的にその要求にこたえることは十分可能になっているのです。
今後格段に使いやすい機器類やアプリの開発が進むにつれて、一般の人達と先進的な人達の差が縮まっていくのは目に見えており、今こそこのことを視野に入れた施策が必要なときです。どうか近年のCPU能力の幾何学級数的な向上と、メモリー価格の急速な低下を考え、それが日常生活にもたらしている影響を考えてみてください。「通信」だけが旧態依然でよいわけは無いと思います。
>目前に迫っている「数100倍のトラフィック」の話
結論からして、少なくとも現在の私の知見から、
これ以上反論するポイントはありません。
(もっと高度な技術者の方からは異論あるでしょうが)
大変勉強になり、自説にも反映できそうです。
以下、追って述べます。
つまり、いわゆる業務用のトラフィック=トラフィック量の偏在、
に加えて、一般用のトラフィック=トラフィック量の分散化、
が問題になるという話ですね。
業務用のトラフィックについては、この「数100倍のトラフィック」
のユーザが複数集中するところですから、
勿論これ(偏在への対応)は必要となる。
だが、仮にP2P的な技術が発達した場合を考えると、
あまねく光の道が敷設された場合、
日本全体が大きなサーバ(にして、クラウド)にも
成り得る。結果としては、戦艦大和というより、
日本全体でネットワークゲリラ隊が複数活躍
しているイメージ(機能としてのゲリラ隊ですよ)。
現在は「クラウド」=「業務用サーバ群による雲」という
イメージですが、ユーザ端末の処理速度の上昇により、
そういう技術設計(前段の)は有り得なくもない、と
思う次第です。
実際、それに近いアプリもあるでしょう。
私も数年前、IBMのクラウドコンピューティングに
ボランティアで参加していた事を思い出しました。
自宅サーバなどもしていますため、松本さんの
事例以外にも、かように思う次第です。
端末の処理速度が高まっているから「光など不要」ではなく、
それに依拠したサービス展開をする、という反証も
存在する以上、私はこれ以上(技術に関して)
反論する術はありません・・・。
まとめ:私の今までの主張は、あくまで、
サーバ:クライアント型ネットワークが今後も続くであろう
という仮説に基づくものであり、
分散型ネットワーク(本当の意味での)が将来、実現しない
材料を持ちませんので、技術的には同意します。
松本さん
真摯なご回答ありがとうございます。
些細な事ですが1点。
もしUSTの視聴者が一般の人でないのなら、「世の中の殆どの人がソフトバンクの提案など実現するわけがないと思っている」と云う意見への反論にはならないのでは?
自分としては、実のところUSTの視聴者の多くは多少先進的ではあるもののやっぱり一般の人であり、そして孫さんの見事なプレゼンにかなり心を動かされたのではないかと思っています。
それと比喩された意図をきちんと理解出来ているか自信がありませんが、その例えで言うなら先ず一番に考えなければならないのは如何に相撲の人気を高めるのか、と云う事なのだと思います。その上で強い日本人力士が必要不可欠なのであれば、モンゴル人力士との強さの差の生み出す原因を調べるべきかと。
今日本に「光の道」を敷こうとするのは、そう言った手順をすっ飛ばした上で、そうすればきっとまた相撲人気が回復するのだとばかりに闇雲に土俵や相撲部屋を建てようとしている事に他ならないのではないでしょうか?
全くの余談ですが、外部から指摘されている数々のリスクからは目を背け、自分達の思い描くばら色の未来だけを信じて無理やり強行した挙句に大失敗したプロジェクトを数多く知ってます。そして当然のように首謀者達が責任を取る事は一切無く、そのつけを背負わされる事になった某国民の多くは先行きの暗い人生を送る羽目になっているとの事です(勿論これは孫さんや松本さんの事ではありません)。
卑近な例えでスミマセン(笑)。
松本様
>アゴラの私の記事「光の道と…(まとめ)」のコメント欄をご参照ください。
はんてふさんに引用して頂いたMutterawayブログ著者の石水です。しばしばコメントさせて頂いております。事後のUSTアンケートの結果ですが、孫氏のオーラに当てられた為だと理解しています。何故なら、孫氏による光ファイバ利活用提案は電子教科書と電子カルテだけですが、これは冷静に考えれば、学校と病院へ光ファイバを引けば十分だからです。池田氏の発言がなかったのは、利活用という課題にあまり興味がなかったからではないでしょうか。それを裏付けるように、電波については積極的に賛意を表明していますね。
>目前に迫っている「数100倍のトラフィック」の話
これも言葉上のトリックと理解できます。ADSLの数百倍(8M x 数百倍)といえば、家庭用光ファイバの速度を超えているのではないですか?それにyoutubeやニコ動を家族全員が家庭内で見るだけなら、ソフトバンクの12Mか26Mbpsのプランで十分ではないでしょうか。一般論ばかりでは何ですので、現実の話(経験談)を下記に示します。
私は日本にSlingboxを置き、週末は香港の自宅にいながら、日本の番組を32インチテレビ(パソコンからVGAケーブルで接続)で、リアルタイムで見ていますが、必要なトラフィックは300Kから1Mbps程度で十分です。
私は中国に月-金で単身赴任していますが、東莞氏にあるアパートのADSL(3Mbps)で、日本のドラマやアニメ(誰かがアップした画像)をyoukuやku6で見ています。中国では誰かがアップロードしたテレビ番組をネットで見るユーザーが爆発的に普及していますが、日本のADSLインフラより進んでいるという話は聞いたことがありません。
回線会社を孫氏が経営する事には大変興味がありますが、そもそも論である「光の道」の必然性については、まだ納得できておりませんし、議論が尽くされたとも考えておりません。
松本徹三様
私は、FTTP(日本でいうFTTH)に賛成です。
それは、今後のネットワークの進化とバランスにおいて、不可欠であると理解しているからです。
その理由は3つあります。
(1)通信における基礎哲学は、N.ネグロポンテ氏の、Being Digital(1995年)を読んだ
(2)米国のNBPを、全体を通して読んだ
(3)日本の通信環境の現状の声を、Twitterを通じて読んでいる
(1)私は、ネグロポンテ・スイッチ(放送と通信のメイン伝送路の入替)の概念に同意しています。そして、世界の通信戦略は、これがベースになっていると思っています。
尚、彼は、光ファイバーが必要になる、とも当時から言及しています。そして、古い伝送路が、その足を妨げる可能性についても、充分に指摘しています。
(2)U.SのNational Broadband Planを、全体を通して読みました。
日本では、Exective Summaryだけが独り歩きしていると感じます。
そして、Key Issueの電波解放の部分だけが、クローズアップされていると感じます。
しかしながら、彼らは、充分に有線網の拡充の必要性を訴えています。
この目的とは、少なくとも、
Chapter 1: Introduction
http://bit.ly/d4iRqI
Chapter 2: Goals For A High-Performance America
http://bit.ly/dlWVN9
Chapter 3: Current State Of The Ecosystem
http://bit.ly/b4oXEz
を読まないと、理解できないと思っております。
(特に、Chapter 1)
その中では、「Innovation」「Inclusion」「Adoption」に対し、説明を多く取っています。
そして、copper(メタル回線)の終わりについても、示唆しています。
Potential future issues for fixed broadband competition
http://bit.ly/bkiLRJ
なお、オーストラリアのNBN、シンガポールNextGen-NBNの等、他国の戦略を見ても、彼らがその目的としている内容には、共通点が多いと思います。
(3)私は、当初は、日本のブロードバンド環境に対して、楽観的でした。
http://bit.ly/9UirMa
しかしながら、地方の通信の現状の声が見えるようになってから、それは間違っていたと認識しました。
http://bit.ly/aOHRvo
私は、貴社案については、現時点で最も優れた叩き台だと思っています。
なぜならば、「いつまでに、誰が、どのように、いくらで」といった5W2Hに基いた内容が提示されているからです。
そして、他社からも、より良い提案(2015年までに、こうやってやる)や、鋭い指摘(科学的根拠に基いた、数値や方法)があるべきだと思っています。
それが、日本の通信環境を担う事業者としての、責任ではないだろうか???と思っています。
BLOGやTwitterでは、多くの人達が、賛成意見と反対意見を述べ、その実現に対する希望と課題を、こんなにも真剣に考えているのに・・・。