仕事を楽しくする三つの秘訣 - 小川浩( @ogawakazuhiro )

僕はもともと商社マンとして、工作機械の輸出や高層建築プロジェクト、発電プラントなどに関わってきました。国際入札への参加も数回あります。
一見、まったくITとは関係ない世界にいたわけですが、実はリアルな建物や設備の建設などの仕事はソフトウェアを開発するステップとよく似ており、僕はなんの違和感もなくこの業界に移ってきました。
この世界は意外にもシンプルな理屈どおりに動いているところがおおく、単にそれらが多重構造になっているからこそ、理屈が見えなくなっているだけなのです。だから、少なくとも自分自身の動き方について言えば、一見まったく異なる分野のことであっても、一つの真理に精通していれば、わりと応用がきくのです。

その意味で、僕が商社マンとしてキャリアをスタートしたときから常に心に刻んでいる、ビジネスパーソンとしての3つの”秘訣”をご紹介します。
この秘訣は、少なくとも僕にとっては今でも変わらず重要なノウハウであり続けています。だから、僕以外の、そして僕とは違うキャリアを進む人にも通じることのように思うからです。


まず一つ目です。

それは、常にお客さまの隣に座ること、です。これはなにも、ほんとに隣に座れというわけではなく、隣りに座っているような気分を作れということです。
リアルの交渉や接待の場でもいいですが、お客さまの対面で座ることはあまりよくないとはよく言われることです。しかし、実際には相対して着席することは、ほぼ避けられないので、例えば提案資料をお客さまと自分の真ん中の卓上に置くのではなく、お客様と自分が同じ方向を見られるような位置(例:自分にとって右手に置けばお客様にとっての左手になります)に置いて、二人が同じ方向を向いて話せるようにするのです。
売り手と買い手の利害はそもそも相反しています。自分が多くとればお客様が少なくなります。
それは分かっていますが互いに膠着することなく、同じ方向をみれば一種の仲間意識が生まれることになります。

二つ目は、決してNoと言わないことです。
なんでもYesと言えと言っているわけではありませんが、否定から入らず、とりあえずお客さまのメリットも考えてみる姿勢をつくるために、すぐにNoと言わないことを常に自分に強いることは大切なことだと思います。

三つ目は、10分に一回ジョークを言う、相手を笑わせることです。
ジョークというよりユーモアと言った方がいいかもしれません。
笑えば場が和みます。心から笑ってしまえば、人は頑なな態度を取り続けることができません。笑えば心がほぐれます。これはお客さまの心だけでなく、自分自身の心も頭も柔らかくなる効果があります。
10分に一度の爆笑。これは、ほんとに心がけていないと難しい。狙っていないとダメだし、そればかりに気をとられていると交渉自体に身が入らなくなります。
自然に気のきいたジョークを会話に挟めるようになるには練習というか、とにかく常に意識していなければならないでしょう。
これは例えば就活でも応用できます。大事な場面でジョークをいうというのは、日本人的には不謹慎と映るかもしれませんが、実際に僕はそうしてきたし、その小さな勇気は相手に通じると思います。

この三つの秘訣を唯一の武器に(笑)、僕は異なる業界でも自然と仕事に溶け込んできました。
みなさんにもオリジナルの秘訣やノウハウがあると思います。シンプルな自分だけの武器があることで、複雑にみえる世界を自由に気楽に生きていける。そんなものではないでしょうか。