映画「ソーシャルネットワーク」のヒットがあり、中東でのジャスミン革命もあって、FaceBookが日本でも知名度を一挙に上げ、またネット上だけでなく、マスコミでもなにかと話題となっています。
企業によるFaceBookの活用についても関心が高まってきているようです。しかし、日本でのFaceBookの普及率は低く、企業が利用するソーシャルメディアとしては、まだまだ利用価値は低いというのが正直なところだと感じます。
さて、世界で6億人を超えるユーザーを抱え、しかも伸びているFaceBookですが、このまま伸び続け、世界標準のSNSとなるのでしょうか。微妙です。
FaceBookの利用動向の統計を取っているsocialbakersによると、インドネシアがアメリカに続きFaceBookのユーザー数が多く3520万人、三位が英国の2900万人、第四位のトルコが2600万人、フィリピンが2300万人、インドが2200万人と続いていますが、ネット利用が高い韓国のユーザー数は400万人、日本255万人、政府の規制もあって中国は66万人に過ぎません。
そして、共通しているのは日本にも、韓国にも、中国にも競合するSNSがあることです。
日本で強いのはTwitterとmixiです。登録ユーザー数ではなく、PC経由の月間利用者数では、ニールセンNetViewサービスによると、2011年1月時点で、Twitterがトップで、1400万人、mixiがそれに続いて1100万人、FaceBookも利用者が急増しているとはいえ460万人とまだ差がかなりあります。
いずれのサイトも、この数には含まれていない携帯での利用が多く、実際の利用者数はもっと多く、またTwitterに関しては、専用クライアント・ソフト(TweetDeck, Hootsuite等)経由の利用が含まれておらず、実態は、もっとTwitterの利用数は多いはずです。
mixi, Twitter, Facebook 2011年1月最新ニールセン調査 ~ Facebook急増450万人超え、Twitter、mixiも増加。国内ソーシャルメディア普及が加速:In the looop:ITmedia オルタナティブ・ブログ :
人口4800万人の韓国にも、ユーザー数2500万人を抱えるサイワールドが存在します。またTwitterも韓国語対応がスタートし、ユーザーが急増してきているようです。
人口が多く、ネット利用の伸びが大きい中国ですが、昨年の12月に創始者マーク・ザッカーバーグ氏が中国を訪れ、またインドに続いて香港にアジアの拠点を置くと発表し、中国への本格的な進出も視野にいれているように感じますが、政府の規制に協力したとしても、中国にはFaceBookのコピーだといわれる「人人網」が1億6000万人の圧倒的なユーザー数を抱えています。
第二位の開心網も、9300万人のユーザー数だそうですが、さらにForbesの記事によると、急成長が著しいのは、ツイッターに似た新浪の「微博(ウェイボ)」です。まだ誕生して18ヶ月にもかかわらず、利用者がもうすぐ1億人に達しようという勢いで伸びているようです。
中国版ツイッターの実力
たしかに人気のある人のページを見てみると、Twitterで言うリツイート数らしきものも、またFacebookのようにコメントが書き込めるのですが、その数も中途半端ではありません。
FaceBookがネット人口の40%以上に普及した国は30カ国に達しています。そのなかで、この3ヶ月のユーザーの伸び率が二桁を超えているのは、モナコ、モンテネグロ、台湾など5カ国程度であり、ほぼ5割に浸透したアメリカでは4.7%、英国ではすでに0.6%と、伸び悩み状態に入っている国が目立つのも気になるところです。そろそろ普及の限界に近付いているのかもしれません。だから、FaceBookとしては、普及率の低い国で広げたいところでしょう。
さて、企業サイドに立ってみると、普通に考えるなら、FaceBookを企業が活用すべき対象国は、普及率がまだネットユーザーの一桁に過ぎない日本ではなく、すでに普及した国であるはずです。
しかし、先に触れたsocialbakersに、ファン数でブランドランキングがでていますが、日本と関連しているブランドで、100位以内でみつけたのは、PlayStationの14位、Sony Ericssonの42位の2ブランドだけです。
その後は、128位の Nintendo Wii、129位の7-ELEVEN、133位の.Nintendo64、hondaがやっと152位に来る程度で、あまり日本企業は、海外でのFacebook利用は熱心でないようです。韓国企業も同様です。
Facebook Brands Statistics
SNSを活用したマーケティングもブランディングも、それぞれの国のソーシャルメディア事情にあわせて利用を考える方が健全ではないかと感じます。
企業と、ユーザーで絆を広げ、深めたければ、郷に入れば郷に従うのが当然であり、冷静に考えたほうがいいようです。ブームを煽り、それに踊らされたセカンドライフの二の舞にならないように気をつけたいところです。