中国一の雑貨問屋の街『義烏』

小谷 まなぶ

 日本のメディアでも何度か取り上げられたことがある浙江省の義烏、義烏は、1980年代から雑貨の街として発展してきた。日本の雑貨製品、日用品の多くが、浙江省の南部で製造されている。義烏は、それらの商品を販売する問屋街として発展してきた。


本来、義烏は、浙江省の山間の町で、農業をするにも適していないということで、家内制手工業を各家庭で行っていた。貧しい山間の町を地場産業で維持してきた。浙江省は、中国でも有数の商人が居る街として有名である。義烏の周辺で製造された商品を中国全土、また、世界へと売り歩いた。私の知人でも80年代後半に、義烏で商品を買い付け、ロシアに商品を売りに行ったという中国人がいる。当時は、国際貿易のルールが確立していない時代であったので、国境線を超えるには、税関に賄賂を渡し、闇市で販売するようなやり方だった。国境を渡るときには、上海出身の行商や、他の省出身の行商が、自分達の縄張りを守るために小競り合いがよくあったということである。
 しかし、中国の浙江省にある山間の小さな街は、そのような中国商人の手によって世界中に名を売るまで発展した。
 義烏の問屋市場をすべて見て廻ろうとすると、一つ一つの店に、一秒間たって見て行っても、3ヶ月以上かかるという話を聞いたことがある。実際に何軒の問屋が存在するのか分からないが、少なくとも、町中に何十万軒という問屋があることは事実である。
 それでは、義烏の問屋街にて、どのようにして商品を買い付ければ良いのか?そのことについて少し書いて見たいと思う。
 義烏の問屋街には、2種類の問屋が存在する。一つは、製造工場が直営で経営しているショップである。もう一つは、製造工場が直営で経営しておらず、代理店契約をして、販売しているショップとの2種類がある。
 直営店には、『直銷』という文字がお店に書かれていることが多い。代理店との区別をするためであろう。
 直銷と書かれた問屋の場合は、店員に、『御社の製造工場を見学させて欲しい』というと『OK』が出る場合が多いが、代理店の場合には、『拒否』される場合が多い。理由は、代理店の場合、工場に直接行かれると、経営者が違うので、実際に発注されたかどうか分からなくなるからである。
 大量発注を中国の工場にする場合には、問屋などで、発注したい商品を品定めしてから、工場に行って、製造工程、製造技術、経営者の品格などを先に、見極めてから発注することをお勧めする。そういう点でも、義烏の問屋街で、商品を選定する場合には、直銷の問屋をまずは、検索するメリットがある。
 10年以上、中国に住み中国貿易を行なってきた筆者だが、中国のメーカーは、どんな小さなチャンスにも耳を傾けてくれる。はじめての方でも、中国のメーカーとの以外と簡単に実現できる。
 但し、直接取引をするには、中国貿易の基本的な知識が必要になることは、付け加えておく。

■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(オフィシャルブログ)