政府の被害想定によれば、最悪の場合、死者は9200人に達する。放射能による死者の出ていない福島原発事故より3万人近い死者の出た津波のほうが重大であるように、静岡県でも津波で死ぬ人のほうが原発事故よりはるかに多いだろう。原発を止めた以上は、静岡県全域に15mの防潮堤を建設しなければ辻褄が合わない。
そもそも東海地震は、本当に来るのだろうか。これは東大の石橋克彦氏が1976年に提唱した説で、その基本的な考え方は「東海地震は1944年の東南海地震の割れ残りなので、数年以内に起こる」というものだ。一般的な可能性ではなく、すぐにも大地震が起こるという説だったため、これを根拠にして1978年に大規模地震対策特別措置法が制定された。
しかし石橋氏自身も認めるように、その後30年以上も何も起こらなかったのだから、この「割れ残り」説は明らかに誤りである。一般論としてはプレートの境界で大きな地震が起こりやすいことは事実で、東日本大震災もプレート型地震だったが、この種の地震は予知が困難である。
今回の震災も、政府はまったく予知できなかった。片山さつき氏も指摘するように、今年1月に国の予測した地震確率は福島第一原発で0.0%、第二原発で0.6%だった。東大のロバート・ゲラ-氏は、『ネイチャー』で次のように指摘している:
しばらくの間大きな地震が発生していない「地震空白域」では大地震の発生が差し迫っている、という地震空白域仮説は実証されなかった。何万年もしくはそれ以上の時間スケールにおいて、地震や非地震の総すべり量とプレート間の相対運動の量は一致しなければならない。しかし、現在では、このプロセスは、定期的でも周期的でもないことが判明しており、3月11日の地震はこれを確認させるものであった。
過去30年以上の間、政府の報道官および推進本部(またその設立前の関連組織)に所属する研究者は、「東海地震」という単語を頻繁に使ってきた。その結果、時計が時を刻むように、あらかじめ決まっているマグニチュード8の地震が、近い将来東海地域を確実に襲うと国民に思い込ませてしまった。「東海地震」および「東南海地震」と「南海地震」という言葉は、現実として起こっていない以上、使用すべきでない。
つまり最新の科学の成果によれば、東海地震そのものが幻想かもしれないのだ。少なくとも、それが他の地域より切迫しているとする科学的根拠は(石橋氏も認めるように)まったくない。このような疑問の多い学説にもとづいて、政府が「地震の危険が切迫している」と宣言するのは軽率であり、それにともなう対策なしに無責任な「要請」を行なうべきではない。
コメント
この記事を読んでいると、地震というのは本質的に予知が困難であり、何十メートルの堤防を作るとか、原発を止めるとかいった「大艦巨砲主義」的な予防策よりも、あらかじめ様々な状況を想定した自衛隊派遣計画や消防計画、医療計画を充実させるなどの事後的な対処を充実させる方が、被害を効率的に減らせる気がします。
しかし本質的な問題は・・・実は国民に「被害を効率的に減らす」ということに対する興味が薄い、ということではないでしょうか。多くの人びとが事前に求めるのは「安心」であり、事後の悲劇の減少ではないように思えます。
私としては、原発の被害は最小限に抑えられるようにすべきだと思います。今回の福島の原発事故では死者は出ていないものの、多くの人のQOL(Quality of Life)が低下しました。日本の国土は狭いにも関わらず、これ以上立ち入り禁止区域ができるのは勘弁してもらいたいと思うのは当然でしょう。浜岡原発でも放射能漏れなど起きたら、それこそ原発に対する不信感が増長し、コスト意識など薄らいですぐにも原発は日本から無くなるかもしれません。
東海地震が起きるか起きないかは分かりませんが、放射能漏れが起きるよりは、暫くの間、自ら原発を止めて安全に努め、満を持して再開するのが正しい有り方だと、私は考えます。一部の人が発生すると言っていて、今安全対策をしないのは、それこそ愚の骨頂ではないかと思います。
ただ、コスト対効果を考えることも必要なことだと思いますが。
直ちに浜岡へ15mの津波が押し寄せても、既に防水工事等は済んでいる為
80%程度の確率で放射能汚染は無いでしょう。
一方それ以外の静岡県では、100%の確率で数万人どころか数十万人が死に、
交通インフラも含め数百兆円の被害が出るでしょう。
つまり、政府は東海地方の被害を考えて浜岡を止めた訳ではないということです。
要するに津波を理由にしたのは方便で、結局は東京に死の灰が降るか否か、です。
つまり、地震の確率も津波の確率もメルトダウンの確率も、無意味です。
全ての原発は福島になるかもしれない。だから東京の近くには置かない。
これなら、辻褄は合います。
賛同します。
原発のリスクを事故発生時の死者数だけで測るべきではないと思っていますが、直下型地震発生と原発事故の想定被害を比較したら、あきらかに地震・津波発生による被害の方が甚大になる。
地震が明日来るかもしれないという妄想に取りつかれているなら、すぐに近隣住民を避難させるべきです。
30年の内に来るだろうという程度の妄想に取りつかれているなら、池田先生が言う様に堤防着工に入るべきです。
併せて、まだまだ人類は地震を予知するだけの知恵をもってはいないということを認識すべきだと思います。東日本大震災だって同じ規模の地震が1000年前に起こっていたという記録を持ち出して来て「1000年に1度の大地震」と騒いでます。結果出てからいうなら誰でもできますよ。
いきなり「東海地震が起こるかもしれない」という根拠のない妄想を垂れ流すことは、国家単位でデマを流しているのと何も違わないと思いますよ。
福島原発の事故発生時にJCがCM流してましたよ。「デマに惑わされない様にしよう」って
歴史的事実を見ると東海・東南海地震は684年の白鳳地震以来100-150年周期で確実に繰り返している。ご指摘の東海地震に関しては記録上単独で起ったことは無く、必ず東南海・南海地震と連動していることが解っている。
よって、石橋説には修正が入り東海地震は次回の東南海地震と連動する可能性が高い。1854年の安政地震から1944年の昭和地震までの間隔は90年。昭和地震から90年後は2034年である。
ゲラー氏の指摘は断層型地震に関するもので、東海地震のような海溝型(プレート型)地震が周期的に起る事は地震学の常識です。
放射能による死者は出なかったとしても、放射能によって捜索が出来なかった人たちはたくさんいるのではないでしょうか?
被害は死人の数だけでは計れません。
個人的には備えあればの方が望ましいです。
割れ残りがどうなったのかも誰にも分からないですし。
もし民意もそうであるのならば、電気料金をその分値上げできるようにすれば良いだけだと思いますし。
法律や安全基準も後から修正すれば良い。
法治国家だからといって、法がないからと言って、手を拱いて為す術無しのあり方もどうかと思います。
ただ要請したのなら、要請したことの責任は取るべきだと思います。
東海地震が来るのかどうか素人の私では予測できませんが
何故原発だけに過剰な心配をされるのかわかりません。
福島では津波で多くの方々がお亡くなりになりました、原発は避難ですみました。
どちらの被害が大きいのかは比較するまでもありません。
だからと言って原発の安全対策をおろそかにしろと言っているのではありません。
東海地震を本当に心配してのことなら原発施設、それ以外の地域に関わらず対応しなければならないはずです、むしろ優先すべきは防災対策です、避難経路の整備、避難先の確保、津波警報の精度、高層ビルや橋脚等の耐震性の見直し等々しなければなりません。
そのことに言及せず東海地震が心配だから原発を止めよというのはパフォーマンスのための方便にしか聞こえません。
福島第一原発も同じです、多くの方が想定されていたと結果論で述べていますが想定されていたなら1万5000人は国や自治体による人災で犠牲になったことになります。
当時としては誰も15メートルの津波なんて来ると思っていなかったと思います。本当に来ると信じていたのなら国会追及されていた方は原発は警告したが地域住民には警告せず見殺しにしたといったら言いすぎでしょうか。
最後に念のために申し上げますが私は原発の安全対策は不要と言っているわけではありません。
だから浜岡を止めるべきではない、という結論には全くならないのではないでしょうか。
今のところ地震は正確に予知できない。でも起こらない保証はない。
過去、ある程度の周期で確実に起こってきている。
だから、万一起こっても良いように十分に対策する。
「万一」の可能性が高そうなのが東海。
首都圏に最も悪影響を及ぼすおそれがあるのが浜岡。だから、最初に対策する。
十分に合理的と考えます。
池田先生は、東海地震が起こらないことを保証できるとでも仰るのでしょうか。
起こったら、運が悪かったと諦めろということでしょうか。
浜岡事故により首都圏が影響を受けたら、経済的にもものすごく悪影響が出ると思われますが……。
「すぐにも起こるぞ」と断言するのは、確かに問題あります。でも「起こるかどうかわからないから大丈夫」と太鼓判を押すのもどうかと。
科学と政治はトレードオフではない。
原発事故と交通事故もトレードオフできない。
交通事故に原発事故がプラスされるから問題なのだ。
池田さんにはこの視点が欠け故意に混同しているから胡散臭い。
100年200年に一度のような戦争と原発事故はトレードオフを考えるべきであろう。
池田さんの書かれる内容は論理ゲームのようで、たまに斜め読みさせていただいております。
浜岡原発を止める最大かつ唯一の根拠である地震の切迫性という論理そのものを根幹から覆そうというのが面白かったです。
東海地震の最初の提唱者である石橋氏を出して、その人が間違っていたのだから、東海地震は起こらない。割れ残りなんだから30年たってるし、もうありえないと。
ただ、最初にタイトルを読んだときは、てっきり政府の出した87パーセントについて、その数字の科学的根拠に直接反論するものだと思いましたが、そうではありませんでした。さらに、いくら初めて東海地震を提唱した学者の根拠が間違っていたとしても、30年前の話となると反論根拠としていまいち古すぎじゃないかなと残念に思いました。
論理そのものへの反論ではなく、イグザンプルの出し合いになってるのが惜しいと思いました。論点を絞っているのは素晴らしいと思いました。
仙台に少しでも、住まれた方ならわかると思うが、あのアラハマやユリアゲに津波がくると思った方は何人いるのだろうか?現地は延々と砂浜が続き、海岸堤防はあったけど、所詮税金の無駄遣いと思っていた。前から予想されていた北部のリアス式海岸とは全然違う風景である。あの日、やすやすとせり上がった海は海岸堤防を粉々にし、後背地の大きな農家や田畑をずるずると飲み込んでいった映像をみてショックを受けた方は多いのではないか?タガジョウは自衛隊の初期の中心地で有名になったが、重要なのはほとんど海に接していない。わずかに数m仙台港の人工的な切り込みで海に接しているだけである。結果は仙台港後背地を越波して甚大な被害を出したのだが、通常なら海のない所で津波防災を声を大にしても、なかなか理解されなかった自治体関係者の苦労が今になってわかる。怖いのは史上四位の地震がおき、一枚プレートなので一発はあっても群発はないだろうと言われていた三陸沖で群発になり、尋常ではない状況であったと思うが原発が臨界を起こしてしまったことだ。原発なんかは韓国に追いつき追い越せで、つい年初まで世界への売り込みは国策のようになっていた事だ。甚大な災害は終わってしまってから、つくづく思う、人間の愚かさと自然の圧倒的なパワーである。東日本大震災で学んだことはひとつ、Xデーは特に日本はどこであれ必ずくる。できることはせいぜいが減災であり、間違っても自然の力に挑戦しようとすることではないように思う。
地震予知に頼るのはやめるべきだというのが昔からの持論です.
1. 本当に予知できるのか?
地震予知の成績を私たちは知りません. 今まで当たっているのか, 予知は統計的に有意かなど, さっぱりわかりません.
そんな状態で地震予知に頼った政策判断をするのはおかしいと思っています. もちろん, 学者が研究するのは自由です.
2. 想定域外の地震対策がなおざりになる.
東日本大震災もそうでしたが, ここずっと想定域外の地震で大きな被害が出ています. 地震予知があるせいで, 逆に一般地域の地震対策がなおざりになっているのではないかと思っています.
——
だから地震予知に頼るのをやめ, 日本のどこで地震が起きるかわからない前提で政策を決めるべきだと思っています.
原発の件では, 誰でも考えるはずの対策を菅直人は全くやっていません. それは, 津波を想定した安全基準を新たに策定し, 全国の原発施設に対策を命じることです. 結果, 対策が十分であれば稼動させ, 不十分であれば代替電力を用意しつつ, 程度に応じて停止させたり廃炉にしたりする必要があるでしょう.
浜岡原発を止めたことで日本が安全になったかを考えると, 全く変わっていないと思っています.
地震調査研究推進本部が『今後30年以内に震度6以上の地震が来る確率は87%』と算出したその根拠、計算式等々を公開して、複数の客観的な立場から検証するというようになっていかないとだめですね。
そういう風にしていかないと、今後も訳の分からない調査研究推進本部が出した訳の分からない数値によって日本の政治が左右されてしまいます。
確率が8割だったとしても、どうせ起きてしまえばそれは100%になってしまう。予測の確率、天気予報の確率、利息や利率のパーセント、これらは全て異なるように思います。そんな事に思いを馳せていた筈の人たちが、8割以上だと大騒ぎしている。
一部の呑気な人は「これを機に電気に頼らない生活を」などと言っております。あなたがまず頼らなければ宜しい。今時ペットボトルを用意しない会議、手ぬぐいで鼻を噛む社会人がいるでしょうか?自販機を止めたところで、都議会や都の部会ではじゃあ会議でペットボトルは使わない?それは絶対にない。
私はどうせ諦めるのであれば、これから来る震災を諦めたいですね。天災も人災も繰り返すからこそ災厄なのですから。そもそもエコノミック・アニマルである事に負い目を感じている日本人など幻想。それよりも震災前・震災後というエポック作りは、こうして電力不足の大義になってしまう。節電とは「百姓は生かさぬよう殺さぬよう」と同義ですね。
先日から、原発推進派、というより原発反対に否定的な考えを持つ方の意見に興味を持ちこちらも拝見しております。
原発についての一番の問題点は、地震が起こるとかおこらないとか、安全対策ができているかどうかとか、経済的に、とかでは無いと考えております。
では何か。
原子力というものが今の段階では人の手に追えていないという状況。
これが今回の福島の事故により明らかであるという事実です。
“こう対策すれば起こらなかった”で次の策を考える事は重要ですが、万が一問題が起こった時に対処できる技術が確立されているのかという事に目を向ける必要性が有るのではないでしょうか。
先述のコメントにもありましたが原発は決して”効率の良い発電手段”とは言いがたい状況の中、推進してゆくには何を解決する必要があるのか。
単純に耐震性、電源確保、防波堤、地震の震源地上かどうか、という本当に小さな部分だけを見て”うん、これでダイジョブネ”なんて事は言えないはずです。
経済的な点で考えたとしても、今回の福島の事故を経験した上で、”今の経済を維持するためには原発は不可欠”なんて話はあり得ないかと思います。
浜岡停止に至る経緯にはいろんな憶測や批判もありますが、浜岡に限らず原発というものがどういう物なのか、日本の経済、生活にどう影響しているのか又どう影響するのか、という事を見直す良いきっかけになったのではないでしょうか。
様々な点から検証して、なおかつ推進してゆく道理があるのであれば、それこそ科学的な観点で実証が必要になると思います。
(私個人の感覚だと、この期に及んで原発を推進・維持してゆく必要性がある、デメリットよりメリットが大きい、と考える事は根拠が欠落しているとしか思えませんが)
もちろん、”原子力”の科学的分野での研究は必要だと思いますが。
失礼しました。
池田先生やゲラー氏の仰るように、この件はゲラー論文的に考えさせられます。
その上で申し上げます。以下コピーで恐れ入りますが、
世界的な地震連鎖が止まらず… :
①予言半ば的中とか http://bit.ly/iAD9yO http://bit.ly/lR2B5o http://amba.to/eU2TON
②太陽の黒点活動の重要性 >下の方の資料2のみか、資料1&2のダブルパンチの可能性有> http://bit.ly/fdWXGB
気候変動も地震も太陽活動で決まると思います。
ちなみに東京大学地震研究所教授ではミューオンによる火山噴火の研究が進んでいます。 http://bit.ly/gbX8FP
PS 今回の地震対策の有意義な情報を流せる様に心がけてます。
http://togetter.com/id/dotcom07 http://twitter.com/dotcom07 http://www.facebook.com/dotcom07
浜岡原発に限らず全国の原発の稼動を見直すべだ。
代替エネルギー策を早急に検討し危険度の高い地域の
原発から停止・廃炉することだ。
安全・安心第一。
地震については、地球規模の暦と人間の推論では、
まず当たらないと思ったほうが良い。
マグニチュード9.0が予測できなくて・・・・・