GRITとは歯ぎしりのギリギリ、という擬音から生まれた言葉です。
機械などに砂粒が入ってしまって軋むことがありますが、その砂粒のことをGRITと言います。
このGRITにはもう一つ、それは困難や苦難に遭っても決して挫けず、諦めない気概や根性という意味があるのです。今日はその話をしましょう。
雑誌『クーリエ』の最新号にもとりあげられていましたが(内容は数年前のものですが)、成功者に共通する最重要な資質とは、知性ではなく、実は根性だということが、世界中の心理学者や社会学者の研究によって分かってきています。
聞いてみると当たり前のような気がしないでもないですが、IQに対するEQ、といった議論とも少し異なっているように思います。そもそも機械(の歯車など)に挟まってギリギリと音を立てつつも潰れることなく、小さな砂粒が猛烈な圧力に耐え抜くところから、それがまるで歯を食いしばって耐える姿にも似ているので、「根性」というニュアンスが生まれたのです。
そこで改めてGRITの意味するところを明確に書きます。
・もうダメだと思いがちな酷い環境に陥っても
心が折れず、耐え抜く
・あれこれいろんなことに手を出すことをせず、
一つことに集中してやり抜く
・しかも短時間にエネルギーを最高度に集中を
するレーザーのようなものではなく、
長時間、長期間にわたって集中を途切らせない
継続力
・日本語で言えば「一所懸命」という鎌倉武士の
気概のような?
僕は昔から根性や気合いという言葉が嫌いでしたが、ここ5-6年はBlogやSNSに頻繁に「気合い」「気概」「根性」といった単語を書き入れています。
ベンチャー企業は非常に小さな組織です。一人雇うのにも、その年間コストは重くのしかかるし、一人辞めても、チーム全体の負担は非常に大きいものがあります。
優秀な人材は必要だし、頭の善し悪しで採用を決定することがよくあります。もちろんネット業界のような分野では、テクノロジーへの理解や応用を考えるためのスマートさが求められます。しかし、スマート(smart)は反面狐のようなずる賢さという意味でもあり、それはいざというときに危険を察知して逃げ出そうという選択肢を常に描いてしまう心の脆さにつながりやすいという両刃の剣的な資質でもあるのです。
大企業であれば、ここで辞めたらもったいない、と素直に社員に思われることができるし、同一企業内での出世をキャリアパスとして考えることが社会全体で共通価値として認められているので、スマートな社員を多く抱えていけます。しかしベンチャーでは潰れたらどうしよう、頑張っても報いられないかもしれない、というリスクを頭のいい人は考えてしまうのかもしれない。
そこで、GRITを持つ人材を雇う、というより仲間になってもらうことが重要になります。起業家にとって必要なことは、GRITを持つチームを作り上げることに尽きるのかもしれません。
逆に言えば、起業家だけでなく、成功をしたいと思う人ならば誰でも、自分がGRITを持っているかどうかを自問自答することが必要でしょう。アインシュタインは「天才とは1%の閃きと99%の汗」と言いましたが、これは1%の閃きがあれば99%の汗は不要になるという意味で話したそうです。しかし、本当のところは、1%の閃きを生む才能を信じているからこそ99%の汗を厭わないでいられるのです。つまり、必ず成功すると信じて、あきらめない。心が折れそうなときでも倒れない。いや、倒れてもまた立ち上がってやり直す。そういう強さの源泉、それがGRITです。
あなたはGRITを持っていますか?