インターネットはいまやマスメディアを超える最大の情報インフラになりました。そのインターネットを利用するうえで、Webはメールとともに最も重要なプログラムだといえます。インターネットの黎明期において最初に受入れられたのはメールでしたが、自動車が「馬のない馬車」と表現されることで民衆に歓迎されたように、メールもファックスや手紙の代替手段として認識されることによって、スムーズに普及しました。
そしてWebもまた、新聞や雑誌のようなメディアとして語られることで一気に普及したわけですが、それがゆえに受動的な情報源としてとらえられることが一般的だったといえます。メディアであるならば、通常作り手には特殊な環境と設備が必要になり、一般ユーザーは受動的な情報の受け手にすぎません。
この状況が変わったのはBlogやFacebookなどのソーシャルネットワークサービスのように、それほど高い知識を必要とせずに、好きな情報をWeb上にアップロードして記載することができるプログラムの普及が進んだおかげです(感謝!)。
現代のインターネットは、ブロードバンドの整備によって、Web上に流通する各種の情報もリッチ化したし、テキストだけではなく画像や動画、音楽ファイルもまた、Webから入手したり、ユーザー自ら一般公開することも簡単になりました。そのおかげで誰にでもWeb上に情報を配信できる側に回ることが可能になったわけです。いまやWebは一般ユーザーのモノであり、世界中の消費者に対して、単なる受動的な情報の受け手から、情報の作り手としてWebに参加するための道が開かれました。このパワーシフトがWeb2.0としてブームとなったのは2006年のことです(覚えてるでしょうか?)。
2004年に入る頃から、ブロガーを軸としてIT業界の間で急に取りざたされるようになったキーワード、それがWeb2.0です。一時は市場機会を生むためのマーケティング用語(あるいはバズ)にすぎないとか、IT業界にはよくある新たな造語の一つであり、すぐに廃れてしまう流行語であるという ような批判めいた物言いが多くみられたものです。
しかし、Web2.0はバズではなく、その後登場したTwitterやFacebook、Grouponなどの巨大ソーシャルメディアの急成長によって、社会全体を変革させてしまうほどの強力なトレンドであることが証明されました。Web2.0という呼び方は既に廃れましたが、現在ではソーシャルメディアという呼称のもとに、その進化を加速させています。
1990年代後半から現在にかけて、世界中のありとあらゆる情報がデジタル化され、Webに流れ込み始めたが、呼吸や食事のような生理的な活動以外の、ありとあらゆる日常の社会活動の履歴がWeb上に反映されつつあるのは、ソーシャルメディアの普及ゆえのことです。この動きはますます加速して、われわれのWeb依存度はどんどん向上していくのは間違いありません。これまでのWebが、「あると便利」という存在であったとすれば、ソーシャルメディア時代のWebは、「なくてはならない」存在になりました。Webを、ソーシャルメディアを使わなければ生活できない、という段階にまで普及するのも時間の問題でしょう。Webを使うことは現代社会で生きていくうえでは呼吸をすることと同じくらい自然で、大切なこととなっています。呼吸をしなければ死にますが、Webを活用しないで生きていくことは、ビジネスパーソンにとってみれば、数百倍もの収入格差につながってしまう怖れがあるのです。