国内最大級の浮島太陽光発電所を見学してきました。

藤沢 数希

苦し紛れの人気取りで浜岡原発に「停止要請」をした菅直人前首相や、日本を代表する企業家の孫正義氏があれほどエキサイトしていたメガソーラーだが、両者ともに最近はすっかり興味をなくしてしまったようだ。その間、ヨーロッパのソーラーパネル製造の雄、Q-セルズの株価はあの頃のさらに3分の1になりとうとう50セントになってしまった。ピークの200分の1である。また、アメリカのソーラーパネル製造メーカー第3位のソリンドラが破綻し、政府からの補助金を得る際に不正があったのではないかとFBIの捜査を受けている。金融危機が続く中、補助金だよりの欧米の再生可能エネルギー関連メーカーは非常に厳しい状況に置かれている。以上の展開は大方筆者の予測通りであった。

自然エネルギーの不都合な真実、アゴラ、2011年07月14日
次々と破綻する欧米の再生可能エネルギー関連企業、アゴラ、2011年09月21日

残念ながら菅直人氏も孫正義氏も関心がなくなってしまったようだが、筆者は先日、国内最大級の浮島太陽光発電施設の見学に行ってきた。


浮島太陽光発電所。(筆者撮影)


浮島太陽光発電所へはJR川崎駅からバスで30分ほどで行ける。川崎市の埋め立て地に、CO2削減技術の研究開発のために川崎市と東京電力のジョイント・プロジェクトとして建設された。パネルの設置面積は約11haにもなるメガソーラーである。昨年の8月に稼働を開始した。隣接する川崎市の埋め立て地に昨年の12月に稼働を開始した扇島太陽光発電所(こちらは約23ha)と合わせて、名実ともに浮島・扇島太陽光発電所は国内最大のメガソーラーになった


かわさきエコ暮らし未来館。ここで見学ツアーに申し込む。現在、見学できるのは浮島太陽光発電所のみである。(筆者撮影)

浮島太陽光発電所の最大出力は7000kW、年間約740万kWhの電力を生み出す。扇島太陽光発電所の最大出力は13000kW、年間約1370万kWhの電力を供給できる。浮島のソーラーパネルはシャープ、扇島の方は京セラ製である。発電所の施工は、浮島の方は東芝、扇島の方は日立製作所が担当している。日本のメーカーに平等に国民の税金が分配されているようだ。いかにも補助金ビジネスである。

最新の原発の出力は130万kW程度なので、菅直人前首相が止めた浜岡の5号基の改良型沸騰水型軽水炉が1基で、浮島と扇島の34haの敷地を占有し1年をかけて生み出す電力量を約16時間でまかなえることになる(写真の浮島だけなら5時間半)。原子力発電所には複数の原子炉が併設されるので、浜岡原子力発電所全体ではものの数時間で、この国内最大の浮島・扇島太陽光発電所が1年かけて生み出す電力量を作ってしまうことになる(写真の浮島だけなら小1時間)。太陽光発電所は夜は発電しないし、雨や曇りの日は発電量が大幅に減る。天気まかせの発電方法である。楽観的に見ても、太陽光発電が主要な電力の供給源となるのは前途多難だといえよう。