光ファイバーのサービスに就いては、一年前に今更ながら「光の道」に就いてを書いた時と何も考えは変わっていない。結論を言ってしまえばこういう事である。
「光の道」への私の認識を総括すれば、今後の通信、表現変えれば、ネットへの繋がり方は家の中でも外でも使える無線対応PCとか携帯Deviceが主流と成りFTTHはネット経由動画を楽しみたいと言う、今の段階ではある種Geekとまでは言はないにしてもニッチな層の贅沢なサービスであり、決してユニバーサルサービスに等成り得ないし、国家主導で進める案件でも無いと言う事である。
それでは、何故改めて記事を書くかというと、この3連休に「自称」NTT東の社員と称する営業マンの来訪を受けたからである。
私は会う必要がないからと、インターホーン越に何度も断ったのであるが「自称」NTT東社員も中々の粘り腰で、少しで良いので話を聞いて欲しいと食い下がって来る。
そして、問題はNTT東の正社員が我が家に来る訳がないと思い、何度も本当に正社員かと確認したが、はっきりそうであると答えた事実である。
NTT東の正社員が我が家に来る訳がないと思ったのには理由がある。実は最初にマンションを購入した30年前に当時の電電公社から電話加入をし、その後昨年3月迄電話とフレッツ(光回線)のパッケージ契約を継続していたのであるが、私は別のキャリアーで主に無線通信を使い、二人の子供はHTC、テザリングなので、使わなくなり解約した。
解約後一ヶ月程して、「電話の権利」関連良く判らぬ葉書がNTT東より来たので、内容確認の為、指定された電話番号に電話したが要領を得ず、担当しているという部門と電話番号を紹介してくれたが、ここもらちがあかない。
相談に支店を訪問するので、何処へ行けば良いか紹介してくれと頼んでも、対人面談はしておらず電話のみの受付と。要は、昔の役所が得意とした、所謂「たらい回し」である。
30年もずっと顧客として月額料金を払い続け、しかも7万円程度の権利金が没収というのであるから、きちんとした説明を聞きたいというのは顧客の当然の権利と思ったが、余りの誠意のなさに呆れ果て、これ以上NTT東と話をしても時間の無駄と悟り、今後は二度と私には接触しない事を約束させ電話を終えた。
こういう経緯が少し前にあったので、NTT東の正社員が我が家に来る訳がないと確信していたのである。
訝しい気はしたが、私は長い事営業マンとして飯を食って来たので、基本、粘る営業マンには敬意を払う。という事で実際に会う事にした訳である。
本当にNTT東の正社員か否かというのが、最大の関心事なので先方の営業トークを遮って名刺を要求した。成程、ロゴ入りのNTT東の正規の名刺である。しかしながら、所属部門を示す、「営業部 ブロードバンド営業部門光化推進担当」の右隣に小さく(販売受託社員)とある。
当然、ここが突っ込み所となるので、正社員ではないのではないか?との当方質問となるが、先方はしどろもどろで要領を得ない。どうも、NTT東というのは肝心の所で要領を得ない会社である。きっと、誤魔化しているからこういう事になるのであろう。
それでは、代理店の人間かと聞くと最初は無言であったが、最後に切れて「販売受託会社」だという。そして、名刺にちゃんと書いてあるだろうと逆襲してくる。どうも、この会社の営業マニュアルでは、彼らからみて「地雷」である、私の様な人間に遭遇して問い詰められたら、NTT東の正社員か否かという肝心の点は「うやむや」にして、物的証拠となる「名刺」で戦えと刷り込まれている様である。
成程、名刺には大きく書かれた名前の下に、「<NTT東会社 神奈川支店 販売受託会社>」とあり、更にその下に、XX株式会社とある。
はっきり言う。最初のインターホンのやり取りでの、「NTT東から来ました」の自己紹介で、NTT東の社員が来たと思い込んだら終わりである。名刺のこんな些細な所など誰も注意して見ない。そしてそれが、彼らの付け目の筈である。
NTT東は禁断の果実を食べてしまったと思う。一般論であるが、この手の社員の報酬は歩合制のケースが多い。従って、勝手な条件で契約して短期間で荒稼ぎをし、クレームが顕在化する頃には既に退社し、どこかのケーブルテレビの拡販を担当する代理店に転職済みとかが過去の良くある話である。
それでは、NTT東ともあろうものが何故、「販売受託会社」という紛らわしい会社との提携に走ったかである。
従来は販売代理店に獲得を依頼していた筈である。
結果、毎日の様に郵便受けに加入勧誘のチラシが投函されたり、家電量販での活発な加入営業のシーンに遭遇したりする訳である。本来ニッチ層に向けてピンポイントにアプローチすべきをこういう効率の悪い方法で加入獲得している結果、獲得当たりのコストが極めて高く成って居ると聞いている。
別に、私の一年前の上記記事に啓蒙された訳ではないだろうが、「フレッツ」の獲得が予想通り日に日に難しくなって来た結果、代理店名でチラシを配布しても、思った様な獲得件数に至らず、結果代理店を救済する為、販売代理店に看板を掛け替え、NTT東の名刺の使用を認め、チラシ配布による獲得から、フレッツ導入マンションの未契約者への直接訪問というピンポイント営業に手法を切り替えたのだと推測する。
アゴラでも2年程前、「光ファーバーのサービスは日本国中が待ち望んでおり、国が先頭に立ってやるべきである」、の如き勇ましい意見を言われる方もおられた。しかしながら、矢張り実態はちっとも売れずに、当事者のNTT東は困り果てて居る、といった所ではないだろうか?これは、飽く迄も今回私が実際に体験した営業シーンからの推測であるが。
最後に、老婆心ながらNTTグループに忠告するとすれば、先ず第一に、フレッツの如きこれから世の中が左程必要としないサービスを、前のめりになってまで売る必要はない。主戦場は無線通信である。
従って、私の様な30年来の顧客で、電話の権利が宙ぶらりん、電話、FAX一体型の受信機が今でもインテリアとして自宅リビングに置いてある(契約が復活すれば何時でも使用可)状況の者からすると、NTTドコモがNTT東を吸収し、無線の回線契約を「主」に電話とフレッツを極めて廉価で、ある意味「おまけ」扱いで付与してくれるのが有難い。
無線でも何ら問題はないが、QOSを考えれば流石に自宅ではフレッツを使うと思う。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム 代表取締役