日本国債はバブルではなく、ずっと割安だった。

小幡 績

補足である。

ただし、これからは日本国債は今の価格が割安であり続けるかどうかは分からない。ファンダメンタルズのリスクが現実的に高まってきたからだ。しかし、このリスクというのは、池尾氏が指摘するように、実はそれほど大きなものではない。ハイパーインフレーションは起きないし、政府債務は100%デフォルトになることはほとんど無く、リスケジュールなどにより大半は返済されることになるからだ。またインフレになる場合に備えての代替資産は限定的で、世界的に国債デフォルトリスクが同時に高まっているとすると、他へ資金逃避を一気にすることにもならないので、もう一つの価格下落リスクも高まるとは言え、動き始めてから、部分的にリスクが実現してから対応しても遅くないと思われている部分もあるだろう。

さて、この不思議な結論は、おまえの最初の議論と矛盾するではないか、と指摘されるだろう。主張に一貫性がないと非難されるに違いない。

全く違う。

私は、池尾批判に答えるために、必死で考え、この1週間で進歩したのだ。

だから、妥当な批判の可能性は、池尾氏が、またさらに後退したのではないか、と指摘することだけだ。