まだ見込みある太陽光パネルビジネス --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

太陽光パネルビジネスはひと時の盛り上がりから戦国時代に突入した感があります。今回飛び込んできたニュースはドイツのQセルズの破綻。同社はそれまでのシャープの快進撃をたやすく抜き去り、2008年には世界シェアトップの快挙を達成していました。それゆえにあまりにも早い栄枯盛衰に私も驚いています。

アメリカでもソリンドラという太陽光パネルの会社が昨年倒産しましたが、同社もオバマ大統領の鳴り物入りだったことを考えれば如何にこの業界が厳しい戦いをしているか感じ取ることができると思います。


この業界の問題点のひとつは業者が雨後のたけのこの如く増えてきていること。しかもその主流は中国でしょうか? 日本勢はシャープと京セラががんばっていますが、シェアはかなり下がってしまいました。また、ヤマダ電機が太陽光パネルを売り出していますが、同社が扱っている製品のひとつ、中国のサンテック社製のものは国内メーカーより安価というのが売り物。こうなってくると体力勝負だと思います。

一方で太陽光パネルは変換効率がひとつの性能チェックの大きなポイント。その変換率を1%でも上げようと各社必死の努力をしています。

さて、最近、ある日本の住宅設計の方と話をしていてふと思ったことは設置角度。陸屋根と称する屋上の平らなところに設置する場合、設置角度は10度ぐらいにしているそうです。理由は角度をつけると風が強い日等に風抵抗で危険だからということでした。

太陽光発電量変換効率は設置角度が30度程度がよいとされていますが、理由はパネルが太陽になるべく垂直になるためです。仮に水平に置いた場合と30度の変換効率は10数%相違するようです。10度と30度でも5%以上でしょうか?

つまり、メーカーが必死の努力で1%の効率に挑戦していても設置する状態が不完全であればその性能を充分に発揮できないわけです。ですが、メーカーはそんなことはお構いなし。私から見ればここが盲点かな、と感じました。

もしも私がこの業界なら太陽に対して自動的に角度が動くシステムを考えます。夏と冬の入射角はぜんぜん違います。朝と夕方は太陽の方向が全く違います。これを電動赤道儀のような仕組みで太陽を常に追うシステムがあれば効率は高まります。仮に一日中太陽を追うのが大変ならせめて、冬と夏の太陽の入射角ぐらいの調整はできたらどうでしょう。冬と夏では太陽は20度から80度ぐらいまで変化するようですから、パネルは夏至で10度の角度がベスト、一方、冬はかなり立てなくてはいけないことになります。また、変換するのに最適な時期は意外と2~4月の外気が冷たいときのようです。

風が強かったり雨の日は角度をつけない畳んだ状態にすればよいかと思います。

私にはこういうところに着目すればずいぶん違ったものができるのではないかと思います。太陽光パネル会社の差別化はいろいろ方法はあるような気がします。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年4月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。