スパイ事件にみる日本の脇の甘さ --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

読売新聞のすっぱ抜きで在日中国大使館の一等書記官にスパイ容疑がかかっているようです。本人は帰国しているので多分事実関係の裏づけはわからずじまいでしょう。

スパイ=諜報活動とも言いますが、戦前はごく普通に行われていました。また、特に第二次世界大戦の頃は諜報合戦だったですし、そのあとの米ソ冷戦時代はまさに007シリーズのような話があったとされています。

では日本ではどうかといえばあえて言えば公安なのでしょうか?その活動はあまり明らかになっていないようです。


戦前の日本の諜報活動としては陸軍中野学校が有名だったと思います。市川雷蔵主演の映画「陸軍中野学校シリーズ」(1966年から68年)というのがあり、何故だかわからないのですがそのビデオが今でも家にあります。映画は大変面白い内容でした。

最近話題になったスパイ活動はアンナチャップマンではないかと思います。記憶が定かではないのでウィキに頼ると2010年にアメリカ核弾頭開発計画の情報収集のためロシアの対外情報庁(SVR)(=昔のKGB)のスパイとして渡米。IQ162の辣腕女性社長を演じながら諜報活動を続けた「驚くほど美しすぎるスパイ」で007を地でいく話でした。

日本は諜報に対しては無頓着になりすぎている気がいたします。それは「そんなの何時の時代の話?」という意識のなさからくるものだと思います。しかし、今回は農水省の機密情報を奪い取った疑いがかかっていますが、民間ベースではかなり情報が漏れているのではないでしょうか? そして漏れても企業が黙っているか、気がついていないかのどちらかです。更に企業を退職した人が外国企業に雇われて頭と体で覚えた秘密をいとも簡単に流出されているのが現状です。これも情報を得るという意味では一種の諜報です。

そういう点で日本は極めてわきの下が甘い国だと思います。今回、疑惑の中国書記官は農水副大臣の部屋に出入りしていたと報道があります。覚えている方もいらっしゃると思いますが西山事件、小説では山崎豊子の「運命の人」で主人公が外務省の審議官つき事務官から肉体関係を持って資料を持ち出した事件が思い出されます(逆ハニートラップケースですね)。

外国に長くいると日本人は顔パス的な甘さがいたるところにあるように感じます。今回もその延長線上だと思いますし、これが氷山の一角でなければよいと思っております。

今日はこのぐらいにしておきましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年5月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。