あえて「愛国心」の旗印を利用できないか。

倉本 圭造

現代日本人の、相当「右翼」「保守」な人以外にとって、「愛国心」という単語はなかなか難しい存在だと思います。

私も、本能的な意味で自分の生まれ育った国が好きだということはかなり自覚しているものの、それを「愛国心という言葉」に乗せるかどうか・・・・ということにはかなりの躊躇があるような文化の中で育って来ました。

しかし、むしろ逃げずにこの単語と向きあって、「新しい意味」を載せていこうとすることによって、どこにも共有できる軸のないまま混乱し続ける日本において、良い「コミュニケーションツール」となるのではないかと、最近私は考えるようになりました。


経営コンサルタントとしての経験の中で、どうも、「本当に大事なこと」が実現しづらいな・・・と思うときに難しかったのは、今の時代、

「日本の今までのやり方ではダメだ。アメリカみたいになんでできないの?」という論調を強く打ち出さないと仕事が取れない

ような状況があるということでした。これは、コンサルに限らず、日本において、大企業以外の場所で、個人として噛みこんでいくような仕事をしようとすると、その「生命的必要性」から、

過剰なまでに、「過去の日本のやり方完全否定」といった方向性の言説を徹底しないと生き残れなくなってしまうような「状況」

があります。

いっそ、「威勢よく全否定する言論であればあるほど売れてしまう」と言ってよいようなところもあり、それは、もともとかなり理性的だった自然エネルギー推進論者が、売れ始めると陰謀論めいた極論しか言わなくなってしまう・・・・ような現状に似たものがあります。

また、それを避けようと思うなら、今度は逆に、

「日本の昔ながらの良さを見直しましょう」

という方向だけに純化してしまい、「日本ならではの良さ」をある程度提示することはできても、どうもグローバリズムや経済のマクロな風潮に合致しないので鳴かず飛ばずになってしまうことになる。

そういう、「両極端に吠えてないと仕事にならない」ような状況にあることが、私にとっては常に「なんとかしたい」対象でありました。

単純なことですが、

「グローバリズム的状況に対応し、新しい考え方を取り入れながら、自分たちのオリジナルな良さを世界に問うていく」

という、

「ど真ん中の論理」

を共有していくことが、我々日本人にとって一番大切なことは当然のことですよね。

しかし、そういう方向性で仕事をすることは、今の時代かなり外野のノイズが入りまくることになってしまい、「よほどの天才的経営者に率いられた組織」か、「昔からずっと安定した自分たちの文化が生きている組織」以外ではかなり難しい状況にあるのではないでしょうか。

そして、その「最後の萌芽」を「種火」レベルで守るためにこそ、昨今の日本企業の「内向きな雰囲気」や「改革への抵抗勢力」も存在するのだと思います。

そこを、「北風と太陽」の「北風」さん的にこじあけようとしても、永遠に「逆向きのアレルギー反応」は消えないので、だからこそ、「ど真ん中の論理」自体を「風潮」にまで引き上げて、その方向でのコンサルプロジェエクトが簡単に取れたり、その方向での企業内での新しい動きを起こした時にコンセンサスがとれやすいようにすることが、今の日本にとって「最も大事な課題」なのです。

そして私は、その「ど真ん中の風潮」を、「みんな」の感情を引き寄せる形で形成していくときに、「愛国心」という旗印が有効なのではないかと思っています。

「どちらの立場」の言葉でもない、価値中立的で、かつ「本来の最終目的」に人間の意識を向けることができる、そういう言葉として、「愛国心」を使えないかと思っています。

昨今の日本の混乱は、「自分と逆側の立場の人」を無視してゴリ押しすることが難しい(特に国政やエネルギー問題その他に関する場合)課題ばかりです。

それを超える「方向性」を出していくには、むしろ「愛国心」的な旗印こそが必要なのではないか?と思っています。

とはいっても、この国における「愛国心」という言葉が難しい状況にあることはご周知の通りですし、「伝統的な愛国心的価値観」が、「日本人の個の自然な感情」に対して抑圧的になってしまいがちなのも問題だと思います。

しかし、「一周回ってきた論理で定義した新しい愛国心」を提示していくことは、むしろ「日本の集団主義的傾向の中で居場所がないと感じている個人」にとっても、居心地が良くなる可能性がある方向性なのです。

また、日本の組織の中に、外国人にうまく活躍してもらえるように持っていく方法ですらあります。

そういう、新しい形の「愛国心」の事情について、特に日本のなかの「個性的人材」や「外国人」をうまく活用し、グローバルに開けた国に転換するための「新しいタイプの愛国心」の提案・・・について、詳しくはぜひ、私のブログ記事をお読みいただければと思います

倉本圭造
経済思想家・経営コンサルタント
公式ブログ「覚悟とは犠牲の心ではない」