原発が動かなかったら関西は大停電になった

池田 信夫

ゆうべの記事の補足。驚いたのは、福島みずほ氏が「関西は大飯原発が動かなくても電力は足りる。再稼働しないと足りないというのは脅しだ」と、関西電力の需給状況を出して主張したことだ。この図は、その逆を示しているからである。


7月27日のピーク需要は2650万kW、供給は3003万kWで、その差は353万kW。「大飯3・4号機は240万kWだから、動かさなくても足りる」と彼女は主張したが、それは間違いである。原発の電力は揚水にも使われるので、次の関電資料の図のように原発がなければ供給力は2542万kWしかない。おまけに27日には赤穂火力がクラゲで停止して60万kW減ったので、供給力は2482万kWしかなく、168万kWも足りない。原発が動いていなかったら、関西では大停電が起きていた。

「結果として足りたから問題ない」というなら、原発も「結果として地震は起きなかったから動かすべきだ」ということになる。電力は社会全体のインフラであり、それが不足するリスクが少しでもあると企業は関西から出て行く。大停電が起こったら、自家発のない中小の病院などで多くの生命が失われる。そのリスクを無視して「電力は足りる」と主張していた飯田哲也氏古賀茂明氏は、原発以外の原因なら何人死んでもかまわないのだろう。

そもそも電力が足りればいいのか。原発の停止による燃料費の増加でGDPが毎年3兆円減り、経産省の試算によれば、このまますべての原発を廃炉にしたら電力4社が債務超過になる。しかし電力会社は困らない。総括原価方式では、コスト増はすべて利用者に転嫁できるからだ。つまり原発の停止によって消費税1%以上の国民負担が増えるのだ。

こうした責任をまったく負わない社民党が「何でも反対」するのは今さら驚かないが、「ぬくぬくと高給とって原発推進しているあんたらを殺すからね」と公言しているMisao Redwolfなる人物の指導する官邸デモは放置できない。首相はこんなテロリストと面会するのか。