技術的な「宝の山」超小型車と周辺インフラ --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

8月15日の日経一面に「超小型車、半額を補助 政府、企業など対象」という記事が出ています。政府は2013年から軽自動車と原付バイクの中間的存在になる1~2人乗りの自動車を普及させるために補助金を出しながらその活路を見出すようです。

私はちょっと違う気がしております。


まず、この自動車の利用者が高齢者などの足を想定しているという点で安全確保などの問題がまだ残されているように思えます。イメージとしてはゴルフ場の電動カートですからこれが道路で気軽に運転できるのは確かに便利ですが、必ず普通の自動車と歩行者の間の中間的存在となり両方から邪魔者扱いされると想定すべきなのです。

更に運転マナーが十分周知されるのでしょうか? 警察はそれなりに交通ルールを設定するのでしょうけど自転車と同じでどの程度それが守られるか私にはかなり疑問を感じます。また、今後普及するあろう超小型車のカーシェアリングなどにおいて無謀運転や違法駐車も必ず増えるでしょう。

実は私は小さいとき、テレビか本で未来の交通というのを見た記憶があり、車が自動運転されていたり、空を飛んだりするシーンが鮮明に焼きついています。事実、「空を飛ぶ車」はアメリカのTerrafugia社が既に作り上げておりこちらのニュースでその奇抜な格好の「物体」を見たことがあります。ですが、車の自動運転というのは今、開発途上にありますが、まだ技術的に完成されていないようです。

私はもちろん素人ですからこんなことを言っても仕方がないかもしれませんが、この超小型自動車は自動運転できる車として開発し、それを地方都市から普及させるほうが理にかなっていると思うのです。つまり、今政府が後押ししようとする車は技術的に特に優れているわけでもなく、さまざまな影響を十分に考慮しているとは思えないのです。

では自動運転するのは難しいのでしょうか? 多分ですが、自走型で道路に埋め込んだ電磁信号読み取り方式用いて目的方向とスピード、衝突防止などを図る仕組みにすればインフラとしてもさほど面倒くさくないのではないでしょうか?

最近のニュースで良く見かけるように高齢者が運転する車がコンビニ突っ込む事件が多発していますが理由はブレーキとアクセルを間違えるわけです。ならばこの超小型自動車でも同じことは当然起きるわけでそれを防止する対策をとらないまま見切り発車し、しかも補助金まで出すというのは政策的に間違っていないでしょうか?

技術大国日本からソフトとサービスを創造出来る日本に変わらなくてはいけません。それを主導すべき政府がもうちょっとアイディアを出すぐらいの努力は出来ないのかと思うと残念でなりません。弱体化する日本を象徴しているような気がいたします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年8月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。