米国時間の2012年9月12日(日本時間の9月13日早朝)に、iPhone5と、iOS6が発表になりました。
iPhone5自体は、NFCの搭載が見送られたこと以外は、ほぼ噂通りのフォルムと機能であり、期待以上でも期待以下でもない、という結果になりました。とはいえ、史上最大のヒット作と言われるiPhone4Sも発売当初は「新奇性がない」「iPhone4と比べてもぱっとしない」などと酷評されたものです。今回のiPhone5も、まずは相当に売れるものと思います。少なくとも僕は買います。
さて、今回は iPhone5に先駆けてダウンロード提供が開始されるiOS6について話をします。この新型モバイルOSは、モバイルインターネットの使い方を一新することになるかもしれないと僕は思っています。
iOS6の機能についてはAppleのサイトをチェックしてください。僕が注目しているのは、iOSがFacebookとの機能統合を果たしている点と、標準ブラウザーであるSafari経由での画像のアップロードをサポートした点です。
まずFacebookですが、わざわざFacebookアプリやInstagramなどを使わなくても、標準搭載のカメラで撮影した写真をFacebookに直接アップできるようになり、今回からGoogle製からApple制に変更になったマップアプリを使って現在地をFacebookに対して”チェックイン”することも可能になりました。Siriにも対応したので音声によって投稿もできます。またSafariで閲覧しているWebページのリンク投稿も直にできるようになっています。これだけ密接にOSと統合していれば、Facebookの閲覧自体はSafari上で行う人も増えそうです。もちろん機能的にはネイティブアプリの方が上かもしれませんが、Webでニュースなどをみたり、Facebookアプリ以外のアプリを使いながら投稿自体ができるなら、徐々にSafari上でFacebookを使う人が増えてきそうに思います。
また、Safariが画像アップロードをサポートしたおかげで、Webアプリ|Webサイトから直接カメラロールにアクセスして写真を選んだり、その場で写真を撮影してからアップロードすることができるようになりました。これまでは iPhone/iPad上でWebアプリから画像やファイルのアップができないからこそネイティブアプリを作らざるをえなかったわけです。この変化は、Webアプリがネイティブアプリをキャッチアップする大きなきっかけとなりそうです。
現在のモバイルインターネットはネイティブアプリ全盛時代なわけですが、あらゆるプラットフォームに対して均一のサービスを提供し、ユーザーの環境に関係なく必要なコミュニケーションの場を構築できるのはWebだけです。マーク・ザッカーバーグは先日HTML5(次世代Webの標準となることが期待される技術)への偏重が、自社のモバイル戦略の徒にとなったことを反省する弁を述べましたが、それほど先の未来ではなく、2-3年の間にモバイルインターネットのトラフィックの主役はやはりWebに立ち返るのではないか、と僕は考えています。
– 小川浩( @ogawakazuhiro )