国民は、厚労省の行政処分による「冤罪」に抗議せよ!

北村 隆司

22日の読売電子版は、「厚生労働省関東信越厚生局は21日、総合病院『東京医科大茨城医療センター』が診療報酬約8285万円を不正請求していたとして、同病院の保険医療機関指定を取り消す処分を発表した。」と報じた。

これは、厚労省の役人が、自分の身分を守る為に、不正請求とは無関係な患者や善良な医療関係者を処分した、重大な「冤罪事件」である。

罪に関係の無い人物が、罪の責任を負わされることを「冤罪」と呼ぶ。これが冤罪で無くて何を冤罪と言うのか!


医者と患者の関係は信頼で結ばれ、法的にも守秘義務を課されている特殊な関係である。患者と主治医や担当の看護師との信頼関係が、医療行為の重要な部分である事は常識だが、保険給付の請求が認められなければ、外来患者はもちろん、重篤な入院患者も、新たな医療関係者を求めて右往左往しなければならない姿を想像するだけで胸が痛む。

医療関係者の必死の努力で築いて来た患者との信頼関係を一挙に破壊し、患者の命や容態に重大な悪影響を与える事を知りながら、一片の書類で、この様な冷淡な処分をする役人が、国民の健康を預かる役所に勤務している事を考えるだけで悪寒が走る。

一々外国の例を出すのは避けたいが、私の知る先進国ではこの様な劣悪な行政処分は「想定外」であり、仮にこの様な非常識な処分をすれば、国民は勿論、議会、マスコミは黙っていないし、この様な決定を下した官僚幹部が馘首又は左遷される事は間違いない。

5年間も保険医療機関指定を取り消されたのでは、この病院の再起は不能であり、大袈裟に言えば、厚生労働省の官僚の独断専行による施設と命の破壊行為でもある。

読売電子版は「同病院は501床、29診療科を擁し、外来患者は1日平均1000人。県の地域がん診療連携拠点病院などに指定され、救急車も年間約3300台を受け入れるなど地域医療の中核を担っている。」とも報じている。

先進国の中では、医療における患者の地位を異常に低く見る日本行政だけあり、厚労省から見ると患者は組織の付属物程度にしか見えないのかも知れない。

村木元局長の検察の手による「冤罪」事件では、組織を挙げて「冤罪」を追求した厚生労働省も、患者や善良な医療従事者の様な組織外の人間は虫けら扱いだ。

村木氏の場合の様な一過性の問題と異なり、今回は役人の裁量権が多数の患者や善良なる医師を被害に巻き込む普遍的な問題で、我々も、うかうか出来ない重大な冤罪事件である。

これだけの規模の医療施設には数百億の投資がされた筈であり、私立と言えども多額の公金が投じられた事も間違い無い。これも官僚制度の生んだ巨大な無駄使いである。

県は対策を検討すると言うがこれだけの暴挙と無駄を官庁の出先が決める制度の存在は容認すべきではない。

国民、マスコミは、村木冤罪事件より遥かに身近で普遍的な冤罪事件を起こした、厚生労働省関東信越厚生局が出した処分の即時撤回を求めて行動を起こすべきである。

2012年9月23日 北村隆司