反省して振り返る2012年の番付表 --- 岡本 裕明

アゴラ

2012年を振り返ってみて経済、政治、経営で失敗だったと思われることはどんなことだったでしょうか? 個人的に印象に残っているものを書き出してみました。


横綱
民主党に騙されて。

大関に二つ
みんなで行ってだめだった中国、
インフレ恐怖症で踏み込めない日本銀行。

関脇
さよならテレビ、さよなら家電御三家。

小結に二つ
飛ぶ鳥は落とされた。 コンプガチャに泣くグリー。
吉野家よ、君は価格を何だと思っているのか?

横綱、大関はやはり日本全体に影響が大きかったもの、そして関脇、小結は企業ベースで強く印象に残ったことを記させてもらいました。

横綱については異論はさほどないと思います。谷垣さんはどじょうを捕まえようとしたもののつかみ損ね、最後、首相のチャンスであった党首まで泣く泣くギブアップ。年末最後の夢は希望した法務大臣でどうにか、年を越せる、という感じでしょうか?

一方の野田さんは哀れな結末で官邸からのお引越しの最後は目が腫れぼったいとのことでしたが夜更かしという理由に一応、そういうことにしておきましょう。でも、「あなたの声ももう、しばらくは聞けないかもしれない」と思うと蛍の光を自然と頭の中で奏でてしまいました。

大関の中国ですが、島の問題はともかく、それまで「中国に行けば夢がある、13億の民が財布を開けて待っている」と勘違いした多くの日本企業がワンツーパンチを食らってしまいました。中国がだめならインドネシアがあるさ、と今から航空券の行き先変更をしても間に合うのでしょうか?

インフレになったら制御不能というのは日銀総裁の引継ぎ書を通じて脈々と伝えれらたマインドコントロール。日本が石油ショックの頃と同じ経済体質かどうか頭脳集団ならもう少し踏み込んで研究しても良かったのにと思います。それとも日銀総裁も人の子、責任は取りたくないのでしょうか。

ソニー、パナソニック、シャープ。あの頃はもう戻ってこないかもしれませんね。体質が合わないオリンパスと医療機器ビジネスに賭けるソニー。ビジネスの核が見えなくなってまずは身辺整理からスタートのパナソニック。お見合いしてからこれだけ時間がたってしまっては浮気もしたくなるシャープというのが私の印象。

こういうのにはあまり縁がなかった私はコンプガチャという言葉をその時初めて覚えました。そして携帯ゲーム業界の中でも一番勢いのあったグリーが狙い打ちに近い形となりました。田中良和社長の顔もそれからはやや小さく見えるのは気のせいでしょうか? ライバルDeNAの株価は堅調なのにグリーだけはピークの半分ではやりきれないでしょうね。

私は吉野家というのは不思議な会社だと思います。そして牛丼を価格調整だけで魅力的に見せようとする奥行きのなさにこういう会社でも生きていけるのかと思うと私の会社も大丈夫かもしれないと奇妙な希望すら感じてしまいます。牛丼専門店「極」の価格は衝撃デビューの250円が思った以上に流行らないので年末になって30円の値上げを発表しました。ライバルたちが忘年会の酒の肴にするにはもってこいの話題となるのではないかと思います。

新聞に出ている今年の10大ニュースはそれでも例年に比べると明るいものが多いような気がしました。2013年のキーワードはずばり、「Re-born(リボーン=生まれ変わり)」というのが私の直感です。今年の失敗は来年取り戻すつもりで頑張りたいものです。

今日はこのぐらいにしましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年12月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。