「体罰問題」をどうやって根治するか?

山口 巌

学校関係者が「体罰」と称する教師による生徒に対する暴力傷害事件は何も大阪に限った話ではあるまいと以前より考えていた。ここに来て案の定、愛知県の不祥事が大きく報道されている。


学校関係者が「体罰」と称する教師による生徒に対する恒常的且つ一方的な暴力傷害事件が、何故日本では許容されないか私なりに考えてみた。

先ず第一は、生徒の人権が暴力教師により蹂躙されている事実と思う。

日本国憲法は「公務員による拷問・残虐な刑罰の絶対禁止(第36条) 」を定めている。

公務員である教師が無抵抗な生徒に対し恒常的に殴る、蹴るの如き野蛮極まりない暴行を加えるというのは実質「拷問」に等しいと思う。現に大阪では被害に遭った高校生がこれを苦にして自殺しているではないか。

教師の行為は憲法違反。これを黙認した学校幹部、教育委員会も同罪と考える。

今一つは、日本は言うまでもなく「法治国家」であり、学校と言えども「法の支配」を受けねばならないという原則である。同様、無抵抗な生徒に対し恒常的に殴る、蹴るの如き野蛮極まりない暴行を加えるというのは、決して「体罰」ではなく、「暴行傷害罪」であると思う。

従って、起きてしまった事件については、議論は止めて、さっさと警察は刑事責任を問うべき客観的な証拠を集め、送検し、検察は刑事訴訟法に照らし立件し、「刑事司法」の判断を仰ぐべきと思う。

学校を治外法権にしてはいけない。何故なら弱い立場の生徒が犠牲になってしまうから。

本題の「体罰問題」をどうやって根治するか?に移る。

暴力教師の各学校への供給を遮断し、現状、実質「管理者不在」状態で暴力教師が好き放題に暴れている学校に適正な「管理」によるあるべき「秩序」を取り戻す事に尽きると思う。

従って、先ずやるべきは、決して学校や教育委員会に任せず、文科省主体で生徒の聞き取り調査を実施し、過去に暴力を振るった教師のブラックリストを作成する事である。

飽く迄推測であるが、暴力教師の出身校には大きな偏りがあるはずだ。

この結果を受け、文科省は問題大学に「改善計画」の提出を命令すると共に、「改善計画」が実施され、顕著な効果が確認されるまでは卒業生の教師採用を凍結すべきである。

今一つは、学校の実質管理者不在や学校を管理すべき教育委員会の機能不全の問題である。これは、「公務員」という恵まれた「身分」に安住し、「事なかれ主義」、「問題先送り主義」、「隠匿主義」に陥った結果と思う。

従って、問題解決のためには「管理者」として全く機能していない「校長」、「教頭」を客観的正当性の下に更迭出来る仕組み造りを急ぐべきと思う。その際、「教育委員会」のあり方も抜本的に見直す事になるはずである。

更には、「公務員」という恵まれ過ぎた「身分」にもこの際メスを入れる必要があるのかも知れない。

問題解決に向けての安倍政権の積極的なリーダーシップを期待する。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役