生島氏のブラック企業のすすめを拝読。
感想は? というと「半端なく面白い!」、「本質をずばり突いている!」に尽きる。
そして、性質の悪い「就職コンサルタント」に取っては、頭上に高性能爆弾が落ちてきた様なもので、結果、全員即死ではないのか?
何故なら、彼らは就活問題の本質を考える事なく、表面的な事のみをこねくり回し、頭の悪い就活性を適当に騙し、金を稼いでいるからである。
私が生島氏を支持するのには、それなりの経緯、背景がある。
私は、1990年に三年半に及ぶ中東での駐在を終え、帰国し、ベトナムを含むアジア地域を担当した。そして、最初のベトナム出張は衝撃的であった。
何と言っても二十歳前後の若者が圧倒的に多い。男女とも眼がキラキラ輝いている。話をしても少しも日本人と変わらず利発である。何より、給料が安い。当時は普通の労働者の月給は千円程度ではなかったか?
その時、私は直感的に「これは大変な事になるな!」と感じた。日本企業の在り方や、企業に勤務する日本人の生活、ひいては日本社会そのものを大きく変えるに違いないと。
その時から、既に20年以上が経過している。日本のダイナミズムを犠牲にしながら現状維持をした来た訳である。
しかしながら、家電製造業の惨状が示す通り、最早日本には犠牲にしたくても材料たるダイナミズムが存在しない。変化は待ったなしという事である。
今一つの理由は、「正社員」という「身分」 で説明した通り、日本を代表する名門企業三菱商事であっても、中核部門がそっくりそのままシンガポールに移転してしまうという現実である。
日本に残るのは「ブラック企業」のみというのは、若者に取っては限りなく不都合な現実である。
それでは、どう対応すべきか? という事になる。
先ず、思い浮かぶのは民間企業を回避して公務員を選択するという結論である。
しかしながら、この選択は多分最悪の結果を招く事になるはずである。以前のアゴラ記事、地方公務員の将来は限りなく暗い で詳しく説明しているので、これを参照願いたい。
従って、若者に残された選択としては、海外に夢と可能性を求めるのか? 或いは、日本に留まり「ブラック企業」のシビアな環境を甘受するのか? 二者択一という結論となる。
とはいえ、昨日、若者が失ったものは「修行の場」では?で説明した通り、今のまゝでは若者が即海外で活躍可能と考えるのは余りに楽観的であろう。
「グローバル人材」に育つための訓練の場がない。従って、海外に出ても野垂れ死にしてしまうのではないのか?
大学は相変わらず職業訓練には消極的である。多分、将来も何もしないであろう。
一方、企業は疲弊しそれどころではない! 人事施策といえば、65歳定年延長への対応であるとか、バブル世代の企業からの引き剥がし(要はリストラ)で手一杯という所ではないのか?
若者に残された今一つの可能性、「飽く迄国内に留まり、敢えて「ブラック企業」に職を求める」 というのはどうだろうか?
私らの時代とは異なり、豊な日本に生まれ育った日本の若者が「ブラック企業」の厳しい環境に耐えられるとはとても思えない。結果、多くは挫折するはずである。
対処が悪ければ、生島氏が予想する様に精神を病み、更に重篤となえば自殺もあり得る。
従って、急ぎ準備せねばならない事は、国内で精神を病み、結果、追い詰められてしまった若者に取って環境が変わる「海外での逃げ場所を確保する事」。
そして、この場所で病んだ「若者の再生を図り」、「海外での生活の術を学び」、「自立を図る事」であると考える。
まだまだ始めかけたばかりであるが、私が主催する勉強会メンバーの協力もあり、ほんの少しだが具体化に向け動きつつある。
中身については、このアゴラの場をお借りして明日説明させて戴く予定だ。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役