ブラック企業のすすめ - やりがい搾取

生島 勘富

ブラック企業について書いてきましたが、ある程度のポジションで経験のある方には評価して頂けるのですが、分かって欲しい若者からは、反感の方が多いように思うのが残念です。

反感を持つ人達は、ネバーランドを探すピーターパンになってないですか?


■自ら望んでやってるは、やりがい搾取か?

「やりがい搾取」という言葉は知らなかったのですが(苦笑)、やりがい搾取とは、

企業風土が、従業員に“やりがい”報酬を意識させて、金銭報酬を抑制する搾取構造になっていること。賃金抑制が常態化したり、無償の長時間労働が奨励されたりすること。働きすぎの問題として、本田由紀が名付けた概念。

より

ということらしい。

その定義で考えれば、私が「ブラック企業も悪くないですよ」というのは「やりがい搾取」と言えるでしょう。

■私の考える「やりがい搾取」は恐らく逆

そもそも論で、何をもって「搾取」とするのでしょう。

私は成果に対して報酬が低いことを「搾取」と思うのですが、若者や本田由紀氏がいう「搾取」は、何のことを言ってるのか分からない。

ほとんどの企業で多少割合が異なっても、2:8の法則(パレートの法則)が成り立ちますが、報酬がその比率になることは、ほぼありません。

2割側の人は、「完全歩合制になれば得をする」と思える人です。このタイプの人達は、大きく出世することか、どこかに引き抜かれたり、独立することを狙っています。それを企業としても把握していますが、8割側の人(組合など)に遠慮して、極端な大抜擢も、報酬の差を付けることもできません。(ブラック企業ほどそれをやりますが)

企業としては、2割側の人に逃げられるのが一番困るので、裏でイロイロ気を遣い、様々な「やりがい」を与えて搾取します(苦笑)。

というのが、私の考える「やりがい搾取」なのですが、本田由紀氏や若者がいう「やりがい搾取」は、恐らく8割側の主張でしょう。

しかし、企業が8割側の人に「やりがい」を与えようとするのは、搾取などでありません。2割側の人から搾取しながら「搾取されている」と文句を言う8割側の人に、「もうちょっとがんばれよ!」ということをマイルドに表現した当たり前の教育と言えるでしょう。

■どうやって報酬を上げるの?

あなたの報酬に不満があって、それを解消するために報酬を上げるには、その原資をどこかから持ってこなければなりません。

その方法は、

  • 内部留保を切り崩す(株主・過去・未来からの搾取で1回限り)
  • 生産性を上げる(自分ががんばる)
  • 経費を削る(通信費・光熱費などの効率化)
  • 固定費を削る(家賃の見直しなど)
  • 売上(価格)を上げる(顧客からの搾取)
  • 誰かの報酬を削る(社員同士での搾取)
  • 利益を削る(株主からの搾取)
  • 下請を叩く(下請からの搾取)
  • 仕入れ先を叩く(仕入れ先からの搾取)

のいずれかになります。

中小企業では決算書は公開されてないことが多いですが、中小企業なら一般社員でも全体を見渡せるので指摘ができるでしょう。大企業では他部門のことはなかなか見えませんが、決算書(有価証券報告書)というのが必ず公開されていますのでそれを読んで、どこから搾取してあなたの報酬を上げるべきか提案すれば良い。

あなたが報酬に納得がいかないなら、あなた自身がどこかのバランスが悪いと感じているハズですから、それを指摘するのは簡単なハズです。

もちろん、「誰かの報酬を削る(社員同士での搾取)」というのは、前述の通り、あなたが2割側の人ならば、報酬が上がるか、「やりがい」を与えられることになりますが、8割側の人が言うのは単なる愚痴であり、むしろやぶ蛇ですよ。

具体的に指摘できれば立派な提案です。
しかし、「生活が苦しい」というのは愚痴ですから、お互いに何のメリットもありません。
「搾取されている」と思ってストレスを溜めるより、「やりがい」を感じてストレスを減らす方が健康的です。

搾取されていようが、やりがいを感じていようが、正しい指摘(提案)ならいつでもすれば良い。
正しければ、多くの経営者は聞き入れるし、聞き入れないような経営者なら見限れば良いのです。

あなたに正しい指摘(提案)をできる能力があるならば、聞き入れない経営者の元でやらなくても、行く先はいくらでもあります。

「やりがい搾取」こんな言葉に惑わされないで欲しい……。

海外からの搾取について書こうと思ったのですが、長くなったので次に……。

■ 追記
2割側の人に与える「やりがい」というのは、もちろん、金銭的な報酬ではなく
「君のお陰で会社は成り立っている」
「みんなが君に感謝している」
「将来の幹部と見てる」
とういうような声掛けなどです。

8割側の人に与える「やりがい」というのは、全体集会や日々の訓話、社内セミナーなどで行う類いのものでしょう。

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