失業って何?

池田 信夫

失業というのは、仕事がなくなることです。こどものみなさんには経験がないでしょうが、お父さんが会社をクビになった人はいるでしょう。自分でやめるのはいいのですが、クビになるのはつらいものです。普通は「不況」というのは失業率(労働者の中で失業している人の割合)が高いときのことをいいます。


世界各国の失業率の推移(社会実情データベースより)

図のように、フランスやイタリアは10%を超え、アメリカやイギリスも8%ですが、日本は4%前後と主要国で最低です。安倍内閣は「危機突破内閣」とか大げさなスローガンを掲げていますが、日本の失業率は「史上最長の景気拡大」といわれていた前の安倍政権のころと変わりません。

では、なぜ日本だけこんなに失業率が低いのでしょうか? その第一の原因は、以前のこども版でも見たように、給料(名目賃金)が下がっているからです。
ものの需要と供給は、価格で調節されます。労働サービスの価格は給料ですから、給料が下がると労働需要が増えて失業(労働の超過供給)が減るわけです。

つまり欧米では給料が上がったのでインフレになり、労働需要が減って失業が増えたのに対して、日本では労働者が我慢して給料を下げたので失業が増えず、デフレになったわけです。失業よりはデフレのほうがましですよね。でも安倍さんは、なぜか財界に「賃上げしろ」と要求して失業を増やそうとしています。

しかし春闘で賃上げできるのは、連合(労働組合の団体)に入っている大企業の組合員だけです。彼らの給料が上がったら、その分の賃金コストを節約するためにパートやアルバイトが切られるでしょう。でもこういう人たち(非正社員)は、ほとんど失業者にカウントされません。パートをクビになった主婦は専業主婦に戻るので、職安(ハローワーク)で求職活動をしないからです。これが日本で失業率の低い第二の原因です。

第三の原因は、雇用調整助成金という制度です。これは社内失業している労働者に企業が払う休業手当の最大9割を国が払うもので、受給者は70万人。これは労働人口の1%以上ですから、日本の「潜在失業率」は5%以上ということになります。1000億円もの国費を、会社を休んでブラブラしているおじさんに払う制度っておかしいと思いませんか?

つまり日本の失業率は、見た目には低いのですが、仕事のない人はその何倍もいると思われます。こうして社内で人が余っているので新規採用が絞られ、学校を出てもフリーターにしかなれない格差がひどくなっています。しかし、かつて「小泉改革で格差が拡大する」などと騒いだ労働組合は、この格差には何もいいません。自分が得する側だからです。

大事なことは「デフレ脱却」ではなく、こうして若者や女性に職場がない一方で、中高年が会社や国からお金をもらってブラブラしている状況をなくすことです。でも、その会社もいつまでもつかわかりません。よい子は、会社に頼らないで自由に働けるように今から勉強しましょう。


図のように、フランスやイタリアは10%を超え、アメリカやイギリスも8%ですが、日本は4%前後と主要国で最低です。安倍内閣は「危機突破内閣」とか大げさなスローガンを掲げていますが、日本の失業率は「史上最長の景気拡大」といわれていた前の安倍政権のころと変わりません。

では、なぜ日本だけこんなに失業率が低いのでしょうか? その第一の原因は、以前のこども版でも見たように、給料(名目賃金)が下がっているからです。
ものの需要と供給は、価格で調節されます。労働サービスの価格は給料ですから、給料が下がると労働需要が増えて失業(労働の超過供給)が減るわけです。

つまり欧米では給料が上がったのでインフレになり、労働需要が減って失業が増えたのに対して、日本では労働者が我慢して給料を下げたので失業が増えず、デフレになったわけです。失業よりはデフレのほうがましですよね。でも安倍さんは、なぜか財界に「賃上げしろ」と要求して失業を増やそうとしています。

しかし春闘で賃上げできるのは、連合(労働組合の団体)に入っている大企業の組合員だけです。彼らの給料が上がったら、その分の賃金コストを節約するためにパートやアルバイトが切られるでしょう。でもこういう人たち(非正社員)は、ほとんど失業者にカウントされません。パートをクビになった主婦は専業主婦に戻るので、職安(ハローワーク)で求職活動をしないからです。これが日本で失業率の低い第二の原因です。

第三の原因は、雇用調整助成金という制度です。これは社内失業している労働者に企業が払う休業手当の最大9割を国が払うもので、受給者は70万人。これは労働人口の1%以上ですから、日本の「潜在失業率」は5%以上ということになります。1000億円もの国費を、会社を休んでブラブラしているおじさんに払う制度っておかしいと思いませんか?

つまり日本の失業率は、見た目には低いのですが、仕事のない人はその何倍もいると思われます。こうして社内で人が余っているので新規採用が絞られ、学校を出てもフリーターにしかなれない格差がひどくなっています。しかし、かつて「小泉改革で格差が拡大する」などと騒いだ労働組合は、この格差には何もいいません。自分が得する側だからです。

大事なことは「デフレ脱却」ではなく、こうして若者や女性に職場がない一方で、中高年が会社や国からお金をもらってブラブラしている状況をなくすことです。でも、その会社もいつまでもつかわかりません。よい子は、会社に頼らないで自由に働けるように今から勉強しましょう。