薬剤師教育はすでに詰んでいる

井上 晃宏

今回は、写真で薬剤師教育の実態を見てみよう。


以下は、従来型の薬学実習だ。私は、かつて、こういう教育を受けた。

http://ghp01.matsuyama-u.ac.jp/~yakugaku/curriculum/practice_up/practice10.html
この実習は、医薬品の製造や開発と関係があるが、薬剤師の仕事とは無関係だ。

こちらは、最近、増えてきた、医療薬学実習だ。

http://fuccds.fucc.fukuyama-u.ac.jp/pharm/htmls/humanisum/tutorial.html
マネキンを相手に、血圧測定や聴診なんかをやっている。バイタルサインをとっているのだそうだ。

これも、何の意味があるんだかわからない。バイタルサインなんて、看護師が毎日測定して記録をつけていて、問題があったら、すぐに報告してくれる。薬剤師が出る幕はない。

従来型の薬学実習も、最近になって導入された医療薬学実習も、薬剤師実務とは何の関係もない。

薬剤師教育など、薬科大学が学費を徴収するための口実でしかないのだ。

もともと薬局は、医薬品製造業だった。100年前は、動植物から抽出するぐらいしか、医薬品の製造方法がなかったので、家内制手工業でも何とかなった。しかし、20世紀に入ってから、医薬品は化学合成されたり、遺伝子工学的に製造されたりするようになり、薬局では製造ができなくなった。そのため、薬剤師は単に医薬品を小分けするだけの仕事になったのだ。

もちろん、医薬品を小分けすること(ピッキング)は、機械化が難しいので、薬剤師は必要だ。しかし、薬科大学など全く必要ではない。

薬学が薬剤師実務とほぼ無関係な学問であることを、薬学関係者はみんな知っている。しかし、彼らは、薬剤師教育によってポストを得ているので、言わないのだ。

井上晃宏(医師、薬剤師)