売上1千億円は偶然ではない --- 岩瀬 大輔

アゴラ

札幌で開催されたIT系ベンチャー経営者の大型会議、 IVS (Inifinity Ventures Summit) IVSでもうひとつ印象に残ったのが、グリー、サイバーエージェント、ミクシィ各社の経営幹部が揃ったパネルディスカッション。


詳細はこちらの記事(『「すすきのには行かず深夜まで話してました」─ グリー、サイバーエージェント、ミクシィが語る強い経営チームの作り方』)を読んで頂きたい。最前列でぼーっとして聞いていたら、モデレーターの岡島さんに、「では、会場から質問を受けましょう。岩瀬さん、どうですか」とふられてびっくりしたが、その他の質問者もヤフーCOO川邊さん、グリーCFO青柳さん、DeNA 取締役コバケンさんという現在のネット業界を代表する顔ぶれで、さながら会場も巻き込んだパネルディスカッションだった。

グリーだけは社長の田中さんも登壇していたが、その他は社長を支える経営幹部(グリー山岸副社長、CA日高副社長+曽山取締役、ミクシィ荻野取締役と川崎さん)がずらっと並んだのが印象的。

「企業は社長の器以上にはならない」

よく聞く言葉だが、苦労と高成長を支えた副社長や経営幹部の口から出ると、その言葉はなおさら重い。

各社の創業から成長をグラフ化したものを目の当たりにすると、改めて自分と同世代の起業家たちが売上1千億円を超える事業を創ってきたことに大いなる感銘を受ける。その過程では社会と軋轢を起こしたこともあり、手放しに礼讃するつもりはないが、20代の若者たちがリスクを取って挑戦し、壁にぶつかりつつも果敢に走り続けたことで、1千億円の事業を創ってきた、そのことには敬意を払わずにはいられない。

サイバーエージェント藤田社長の新著「起業家」を読むと分かるが、Ameba事業は決して「芸能人を上手に巻き込んでブログサービスを流行らせた」という安易な話ではなく、誰にも無理と言われ、先が見えないなか、トップが率先して飛び込み、様々なバッシングを受けながらも結果を出してきたのだ。「将来が見えないときに意思決定を行い、成果を出すのが真のトップの役割」と同氏を支えた日高副社長が語っていた。


起業家

彼らの話を聞いていると、成果を上げるための組織経営を行うべく、徹底して努力してきたことが分かる。あたかも商品・サービスを作り上げるのと同様の創意工夫を持って、経営体制や人事システムを創ってきたわけだ。詳しい話を聞くまでは「インターネットの成長という時流に乗ったんだな」と漠然と思っていたが、経営実態を知れば知るほど、彼らがここまで成長したのが決して偶然ではなく、どんな事業をやらせても従業員の創意工夫とやる気を最大限引き出し、結果を出せる力があるような気がしてくる。

手放しに礼讃する気はないが、成長しているベンチャー企業には、リーダーシップと企業経営力のヒントが詰まっている。私も彼らから多くのことを学びながら、経営者として成長していきたいと思っている。


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2013年5月25日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。