きょうの橋下徹氏の外国特派員協会の会見は、彼の準備不足と海外プレスの無知があいまって、ほとんど内容がなかった。前からいっているように、争点は慰安婦の存在ではない。それは自明であり、日本特有でもないのだから、70年もたって議論するような話ではない(戦時中はもっと悲惨な話がたくさんあった)。それなのに会見の大半は、これについての儀礼的な謝罪に費やされた。
橋下氏が今やるべきなのは「女性の人権」について外交辞令を並べることではなく、河野談話に代表される日本政府の曖昧な態度を改め、「強制連行」がなかったという事実を確認することだ。特に河野談話の中の「官憲等が直接これに加担したこともあった」という根拠のない記述を修正する必要がある。ところが彼は、これについての質問に
この談話を否定するつもりはありません。ここに書いてあることは概ね事実だと僕は考えています。しかし、この河野談話は、肝心な論点については、曖昧不明確にしています。[・・・]国家が組織的に、国家の意思として、女性を拉致した、人身売買した、そういう事実はないというのが、日本の多くの歴史学者の見解であり、河野談話の後に出された2007年の閣議決定でも、日本政府の見解として出ております。
韓国の皆さんが、もっとも関心を寄せている、この核心的な論点について河野談話は逃げているのです。これが日韓関係が改善しない最大の理由だと思っています。ですから私は河野談話を否定する、修正するというつもりはなく、明確化すべきだと考えています。
ここがわからない。河野談話の最大の問題は、軍が強制連行した証拠はないのに「官憲の加担」を認める矛盾した記述なので、2007年の閣議決定に従うなら、この部分は削除するしかない。どう「明確化」するのか。
この問題を韓国と議論するのは無駄なので、重要なのは欧米の政府やメディアを説得することだ。その意味で今回の会見には期待したが、何も出てこなかった。6月2日(日)の17時からニコ生で、ケビン・メア氏(元米国務省日本部長)、片山さつき氏(参議院議員)、田原総一朗氏(ジャーナリスト)と私で、「もう日韓の歴史問題にケリをつけよう」という番組を放送する予定である。