女子の「カワイイ」ツボを押さえる、4つのポイント

村井 愛子

カワイイは、世界に通じる日本のカルチャーなんて言いますよね。最近たくさんの可愛いサービスが増えてきたので、女子のツボを刺激する4つのポイントをまとめてみました。


1.なんでカワイイかを分析するのを止めよう
こういう原稿書いておいて、1つめがこれかいという話ですが、カワイイは日本古来より伝わる「いとをかし」と同義だと思うので、分析するとその在り様が崩れてしまいます。でも、分析したいのがビジネスマンの常らしく、先日も「CocoPPa(1000万ダウンロード超えのアイコン着せ替えサービス)が何故流行っているのか分析して」というコメントが聞こえてきました。

カワイイは、分析しちゃいけないと思うのですが、あえて言えばそれを人に見せた時に「うわー、可愛い!やってみたい」って第3者がなるかどうかだと思います。例えば先ほどのCocoPPaさんも、LINEとかFacebookのアイコンを自分好みにカスタマイズできるって聞いただけで、女子は「うわー、やってみたい」を喚起されてしまうわけです。それ以下でもそれ以上でもないのです。さらに分析しようとすると、何故アイコンを着せ替えることが可愛いのか?と、形而上学的な話に発展します。


筆者が設定してみたCocoPPaのカスタマイズアイコン(正味2時間)


2.カワイイから、口コミする

カワイイのツボにはまれば、「これ、可愛くない?」という風に一気に口コミが広がります。CocoPPaのように、ユーザーが頑張って自分で選んだり時間をかけたものであれば、なおさら口コミしたくなります。筆者は「ギャルは一生ギャル」という自説を持っていますが、十代でギャル的要素を持っている女性は年月を経てもアンテナが敏感です。かつてギャルであった友達とメッセージを交わしていたら、明らかに機種依存文字が入っている顔文字が入ってきたのですが、会った時に聞いてみると、特殊文字を使った顔文字アプリがあることを教えてくれました。自分が手をかけて作ったり、使っているものは他人に知らせたくなるものです。


機種依存文字を使った「特殊顔文字帳」アプリ

3.ユーザは、カワイイに対する苦労を惜しまない
今出てきた顔文字ですが、都度都度アプリから顏文字をコピーするのは手間です。どうするかといえば、辞書登録してしまい、「かお」と打つと顔文字が表示されるようにします。ひとつひとつ辞書登録するのは手間ですが、女子はこの時間を労苦ととらえず、むしろ楽しみます。
先ほどの「CocoPPa」を私も試してみましたのですが、試しにFacebookのアイコンを変えてみると「わー、おもしろーい。」が喚起されました。しかも、1個だけだと変なので1画面は揃えようと次々アイコンを探してはダウンロードしていき、ざっと1画面カスタマイズするのに2時間くらいかかりました。真剣にやっている人はもっと時間がかかると思います。でもその時間自体が楽しいわけです。
ちなみに、「なんで初期設定ですでに存在しているアイコンを変えられるんだ」と疑問にお思いの方がいらっしゃると思いますが、これはURLスキームを使った仕組みです。

分かりやすく解説すると、「CocoPPa」で作ったアイコンは、ただのショートカットアイコンにすぎません。例えば、「CocoPPa」で作ったFacebookアイコンをタップすると、一度safariが立ち上がります。そして、safariブラウザから本体の「Facebook」アプリを起動するわけです。ということで、元のアプリアイコンも残さなければならないため、以下のような現象が発生します。

・元のアイコンを目に見えないところにまとめておく必要がある
・アプリを立ち上げるたびに一瞬safariが立ち上がるようになる
・「CocoPPa」で作ったアイコンには通知がつかない

しかし、このへんの手間というかちょっとした不便さは、カワイイの前にはそれほど苦にならないのです。
毎月3万点ものコーディネイトがアップされるファッションコラージュサービスの「iQON」は、月3万点ものコーディネイトがアップされると言います。コーディネイトを作るUIは本当によく出来ていますが、スマートフォンの小さい画面で操作するのはやはり時間がかかります。「CocoPPa」でアイコンを設定するよりも比較にならないくらいの時間がかかりますが、それでも月3万点ものコーディネイトがアップされており、ユーザーは自分の作品を作る時間に没頭しているのです。

4.ユーザーのニーズを間違えない

その昔、プリクラ機が登場して大流行しましたが、客足が途絶えた瞬間がありました。プリ機が高性能になりすぎて解像度があがり、より現実に近い高画質が実現してしまったのです。それの何が悪いかと言えば、それ以前のプリ機は解像度が低かったので顔のおうとつがあまり出ず、実物よりもきれいに映っていたのです。高機能化することがユーザーのニーズを満たすことではないという好例のような気がします。ちなみにプリ機はその後、ライトを当てて鼻の高さや陰影を飛ばすなど、美白系のプリ機が登場しました。

また、アジアでも人気のデコレーションカメラアプリ「DECOPIC」は、写真にかけるエフェクトの一番先頭に「ガーリー」というエフェクトがあります。これをかけると写真の明度が全体的にあがって少し輪郭が飛びます。(ふつう写真を加工するときは、明るいところと暗いところの差をつけてコントラストをあげ、輪郭を強調するのがセオリーなので真逆です。)初期プリ期みたいに、実物に比べて良い感じに映るわけです。これは、女性の心理をよく分かっている故だと思います。


DECOPICでエフェクトをかけた例

というわけで、よくユーザーファーストと言いますが、女子向けのカワイイを喚起するサービスっていかに当事者性で考えられるかって思うのとともに、カワイイそのもの自体の分析は止めた方が・・・という話でした。

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