成長戦略に新味がないのは、今に始まったことではありません。
時の政権は常に成長を目標にしますから、特別に変わったことが突然でてくることは少ないわけです。
今回も、政府自民党はあらかじめ「実行力が違う」と伏線を張っていました。
ところで、そもそも論として高成長が必要なのか? 何を成長の尺度にするのか?
という基本的な議論が抜けているような気がしてならないのです。
成長すれば、それはみんなハッピーには違いありません。痛みを伴う負担は先送りができ、うまくすれば何もせず解消できるかもしれません。
政治家的には、成長を政策の大目標に掲げ、目先の自分の政治生命が守れれば安泰です。
官僚も政治家が腹を決めない限り低成長を前提にした政策案を考えることはできません。
低成長だと何がまずいのでしょうか?
少なくともこれまでの借金は返せません。みんなで分担するしかありません。急激に生活が良くなることはありません。
あとほかに、まずいことは何かあるのでしょうか? そしてそれは、本当にまずいことなのでしょうか?
逆説的ですが、高成長をあきらめ低成長に合わせた仕組みを作ることが、高成長へのスタート台になるような気がしてならないのです。
少なくとも、低成長を政策に打ち出す政党が現れその是非を真剣に議論することが今こそ必要な気がしています。
アベノミクスの是非をめぐる議論の前にすべきことではないかと思います。
前回の選挙では、民主党政権の全否定に紛れてその辺がなんとなくあいまいになっているような気がします。国民も危うさを伴う成長戦略には必ずしも手放しで賛成ではないと思います。
九条 清隆
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