渋谷のDJポリスがサポーターに支持されたのは「同じ側に立ったから」 --- 内藤 忍

アゴラ

昨日はこちらのセミナーで投資に関する講座を2時間担当しました。1回目の開催が満席になり、好評頂いたということで追加開催だったのですが、今回も会場は満席。資産運用に対する関心の高さを感じました。


昨日も終了後にアンケートを提出していただいたのですが、前回と同様ほとんどの方が5段階の5の評価。たくさんの方に満足頂けたのが、とてもうれしかったです。

講演する時は、いつも受講している方の反応が気になるのですが、昨日多くの人が身を乗り出して反応が変わったなと感じたのは、

「今日お話する投資法は絶対成功するとは言いませんが、少なくとも私自身が自分のお金で投資をして良いと思った方法だけをご紹介します」

と言ったときでした。この発言から会場の雰囲気がグッと盛り上がり、一体感が生まれてきたように感じたのです。
人に話を聞いてもらう時に、効果的なのは「同じ側に立っていることを認知してもらうこと」です。講師と受講生という対立した関係から、同じ投資家という対等な関係に変わっていくことで、話に共感してもらえるようになり、仲間の言うことのように思えて、心に届きやすくなるのです。

先生に言われたことは言うこと聞きたくないけど、友達に言われたことは何だか聞かなければいけないと思ってしまう。そんな感情に近いかもしれません。

2週間ほど前、サッカー日本代表のW杯ブラジル大会出場が決まった日の夜、東京・渋谷駅前のスクランブル交差点で歩行者の誘導をユニークなコメントで誘導していた「DJポリス」が話題になりました。

その時の誘導アナウンスにこんなのがあったそうです。

「おまわりさんも心の中ではW杯出場を喜んでいるんです。おまわりさんもこんな夜におこりたくはありません。さあ皆さん手を上げて横断歩道わたれますか?」

このコメントも「同じ側に立つ」という点が、心を動かしたのだと思います。警察官というのが歩行者を取り締まるサポーターの敵ではなく、サポーターと同じサッカーのファンであるということを表現する。それによって対立している警察官が、一緒に応援している仲間に変わってしまったのです。

制服を着て、強面の警察官たちが、自分たちを「おまわりさん」と称し、「心の中ではW杯出場を喜んでいる」と発言する意外性とユーモア。サポーターが同じ側にいる人と認め、高圧的な交通誘導するよりも圧倒的な効果を生み出したのです。

同じ側に立つということは、相手が何を求めているのかを知ることです。DJポリスさんと比較するのは僭越ですが、資産運用セミナーには、参加者の方が本当に信用できる投資の方法を求めて、お金と時間をかけてわざわざやってきてくれます。他人事のように投資の方法を説明するより、自分事としてコミットしてくれる講師の方が、仲間として信頼できるのです。

今回のセミナーは、今後も開催していくことになりました。次回は、東京以外の場所でもやってみたいと思っています。

ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年6月19日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。