ハーバードやエールが多額の寄付を集めるワケ~ 税制やキリスト教精神や大学のブランドでは集まらない

田村 耕太郎

Yaleの総長を退任したリック・レビン前総長から連絡があった。新しい連絡
先と今後の活動についての内容だ。ちょっと驚くタイミング。実は、その日は
ある方からYaleやHarvardの基金集めのやり方について伺っていたからだ。特
にレビン前総長は、Yaleの基金集めの土台を作った人物。その日お会いした方
も、たまたまレビン氏から基金集めのやり方を教えてもらっていたらしい。

 


YaleもHarvardも、二兆円を超える基金を持つ。その過半はプレッジといわ
れる遺言状で、基金に寄付をいただくスタイルのものだ。日本ではアメリカの
大学が寄付を集めているのは、キリスト教精神だとか、税制だとかいうが、悪
いが浅はかな議論だと思う。そうやって他の成功例を特殊事情としてしまい、
学ぶことをやめ、できない理由ばかりあげて、やらないという悪循環に陥って
いる。

 実際、あれだけの寄付を集めている名門大学が、どれだけの人員や予算を使
っているか知っている人は少ない。調べてみると、Harvardでは、500人の部隊
で全世界を回り、寄付集めをしているという。そのうち350名が営業担当。そ
のうち250名がエグイ美人の女性だという。お金を出す高齢富裕層の心情を知
り尽くした戦略だ。彼女がお金持ちのおじいちゃんにしつこくアタックし、平
均で5年かかってなんとかお金を出してもらっているという。

 何事も相当な投資をして、しつこくやらないと成功しないのだ。日本で寄付
集めに苦戦している財団や大学は、アメリカで寄付を集めている組織がどうい
う部隊を持っているかをもっと知るべきだろう。洋の東西を問わず、金持ちは
ケチ。ケチだから金持ちなのだ。単なる節税や宗教心や愛校心や名誉欲で簡単
にお金出さない。

 地道にコツコツなのだ。何事も! 安易なテクニックに走ってはいけない!
 地道な努力を積み重ねることだ。いつの時代も、そしてこの21世紀は地道な
人間の時代だと思う。