新興メディアの資金調達~堀潤さんの挑戦を応援する

新田 哲史

先日、堀潤さんのお招きで、東大キャンパス近くに出来た新しいシェアハウス「本郷よるヒルズ」のオープニングパーティーに参加した。民主党幹事長を辞めたばかりの細野さんも来場し、私もお話する機会を得たのだが、政治やメディア、IT、社会起業などの各分野で新しいことを志す方々の「梁山泊」が誕生したようで大いに刺激を受けた。


さてパーティーでは、堀さんがフリージャーナリストの支援プログラムのためにクラウドファンディングを通じて行った資金調達の最終報告もあった。目標額(300万円)を超える362万円の調達に成功。今後はスマホを使った新たな動画報道サイトづくりなどの活動費として生かされるそうだ。メディアイノベーションへの取り組みを着実に進めている堀さんの背中を追いかけつつ、今後もベンチマークしたい。※写真はクラウドファンディングサイト「SHOOTING STAR」の堀さんプロジェクトのページ

さて筆者は、堀さんほどの知名度(参院選に出馬していれば高確率で当選していた!?)のある方で、どこまで「投げ銭」を集められるのか注目もしていた。広告費に寄らずに報道サイトを作るとなると、いかに読者・視聴者から個人のお金を集めるかが最大の経営課題。ジャーナリストの渡邉正裕氏が主宰する「My News Japan」のように会員制の有料課金はオーソドックスだが、今回のようにクラウドファンディングで草の根で調達する手法も新たな選択肢として興味深い。なお、「My News Japan」は会員1949人(5月末)で、月額1,890円。あくまで単純計算すると月商368万円、年商で約4,400万円。一方、仮に堀さんが毎月今回の額を集めることが出来たとすると、年換算では近い金額だ。つまり、個人のジャーナリストが新たなネットメディアとニュースコンテンツを作ろうとする際に調達できる現在の「相場」は、最大で3,000~4,000万円なのかもしれない(なお渡邉氏は5月のブログで今期の売上げ見通しを5,000万円超としている)。

その一方で、キュレーションアプリなどのプラットフォームづくりに血道をあげている企業側のお金周りは凄いことになっている。BLOGOSで梅木雄平さんの記事を読んだが、何十億という額が動いていて梅木さんは「ニュースアプリ市場がソーシャルゲームの次の大波になる」とまで予言。まるで“別世界”のようにすら感じる。私も「Gunosy」は使っているが、しかし、所詮それらのアプリに流れているコンテンツは既存メディアからの配信だったり、あるいはネットメディアが独自視点で制作した記事だったりする。堀さんたちが作る新興メディアも今後、後者のラインナップに入ってくると思うが、コンテンツを運ぶコンテナの周辺に富の偏在が起きている現状は、どうにかならないものか。

やっぱり、ある程度、個人ジャーナリストの取り組みが組織化・企業化してファイナンス力を付けていく筋道を付けられるかが焦点に思える。ビジネス経験の浅いジャーナリスト個人の技量に任せるのはどうしても限界があるので、企業経営の経験者、あるいはそれに匹敵する経営戦略、ファイナンスの知見のある人間がバックアップしたいところだ。その点、「Antenna」の資金調達で今回名前の出てきた堀江さんには期待している。出所直後の記者会見ではメディア事業への意欲を表明。筆者も先月初めてお会いする機会があり、そのあたりのことも少し伺うことが出来た。堀さんと堀江さんは既にニコ生で同じ番組をやっているが、東洋経済オンラインの佐々木編集長が言うところの「紙メディア族」×「ビジネス族」のタッグがどんどん誕生することを期待したい。ていうか俺も、いい人いないかなぁ~(泣)

それでは、本日はお盆なのでお墓参りに出かけます。ちゃおー(^-^ゞ

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ