腕時計型の端末は本当にヒットするか? --- 岡本 裕明

アゴラ

これから今年の後半にかけて新しモノ好きにはたまらないことが起きるかもしれません。

まず、アップルが9月10日にiPhone5Sと廉価版のiPhoneCの発表をするのではないかと見られています。ソニーはスマホとデジカメが融合したようなエクスペリアZ1を発表しました。これはスマホのカメラ部分の性能を大きく引き出し、着脱式の一眼レンズのようにもなるようです。そして最新のニュースがサムソンとクァルコムがそれぞれ発表した時計型ウェアラブル端末でしょうか。


サムスンの時計型端末、ギャラクシーギアの場合、299ドルでメールやテキストメッセージがチェックできたり、スマホとリンク(ブルートゥースだと思います。)して着信を知らせたりカメラなどの機能を持たせているようです。スクリーンは1.6インチですからかなり小さく、はっきり言って字が読めるのかどうかという気もいたします。またサムスンのギャラクシーギアの場合、現時点ではサムスンギャラクシーノートとしか連動しないようですのでアップルなど他のスマホをお持ちの方には意味がない商品のようです。

クァルコムはトック(Toq)という商品名でやはり時計型の端末で機能も価格もサムスンのものに近いものとなりそうです。

アップルもさほど遠くないうちに時計型のウェアラブル端末を発表すると思いますが、そちらは多分、有機ELディスプレイが腕を巻きこむようなものを発売するような気がいたします。ただ、今のところ、腕時計型はスマホの端末で付随的商品という気がしてなりません。例えばソニーのスマートウォッチもその延長だったと思います。

今のところ、サムスンのギャラクシーギアを含めたスマートウォッチの市場反応は今ひとつの感じがします。もしも時計型のウェアラブル端末の評判が盛り上がらないとなれば今後予想されるアップルの同様の製品、ないし、グーグルやソニーの開発するめがね型の端末にも影響を及ぼすかもしれません。

私はITガジェットのオタクではなくあくまでも標準ユーザーとしての目線でありますが、正直、ここまで来ると顧客がどこまでついて来るのか不思議な気がしないでもありません。つまり、心では最新のクールでかっこいいものに飛びつきたいと思う一方で支出も増える一方となってきます。これらの最新機器が人々をどこまで幸せにするかといえばふと立ち止まって考える必要も出てきたような気がします。

また、時計型の場合、ファッション性が重視されるわけで日本で高級スイス時計の売り上げが大幅に上昇しているのは一つの裏づけです。時計を二つする人もいないわけで、メールやテキストが来るたびに光ったりするのもウザイ気もします。

テクノロジーは未来のライフをよりハッピーにするというコンセプトであろうと思いますが、次から次へと発表されるガジェットやソフトウェアがあまりにも早いスピードで世の中に浸透していき人間がそれを吸収するスピードを凌駕しているような気もします。

つまり、徐々にテクノロジーから脱落する人が出てくるということではないでしょうか? 日本でスマホの普及率が何故急速に上がらないのか、それは価格もあるのでしょうけれどそれがなくても済む人々の割合が増えてきているとも言えなくはありません。あるいはタブレットの普及率は確かに上がってきていますが、持ち歩かなくてはいけない人もいる一方で家にあるPCで十分という人も多いのだろうと思います。

アップルやグーグルがなぜ、そこまでして開発競争をするのかといえば企業としての期待と存続が前提にあります。それに人々が乗るか乗らないかと考えたとき、あるきっかけで大きなトレンドの変化が訪れるような気がしてなりません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年9月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。