ウィーン市14区の北朝鮮大使館で9月4日午後、第65回建国記念日の祝賀会が開催された。建国記念日は今月9日だが、欧州の北朝鮮大使館ではその数日前にゲストを招いて祝賀会を開催するのが通例となっている。特に、9日から国際原子力機関(IAEA)の定例理事会、そして年次総会が開催されるため、多くの外交官は多忙であり、北の祝賀会に出席できなくなることが予想された。そこで今回、かなり早めに開くことになったという事情があったのだろう。
▲第65回建国記念日の祝賀会が開催された北大使館(2013年9月4日、撮影)
北大使館の主、金光燮大使(金正恩第1書記の義理の叔父)は6月末から平壌に夏季休暇中で、ウィーンに帰任するのは9月末か10月初めの予定だ。祝賀会は大使不在のもとで開かれた。
ゲスト数は約50人。オーストリア・北朝鮮友好協会(エデュアルト・クナップ会長)メンバーのほか、ウィーン大学東アジア研究所のルーディガー・フランク教授ら親北知識人、実業家たち。それに国連関係者、約10カ国から外交官も参加した。ゲスト数では最近としては多い。故金正日総書記の誕生日祝賀会とは違い、建国記念日ということから西側外交官も参加に抵抗が少なかったものと考えられる。
北外交官たちは中庭に待機し、ゲストが到着すると挨拶をかわし、大使館内に招いていた。ゲストの中で注目されたのは北朝鮮労働党の名誉党員の資格を有するK女史が金日成主席・金正日労働党総書記の肖像画バッチを胸につけて参加したことだ。オーストリア人で北朝鮮指導者バッチを胸につけることができる人物がいるとは昔は考えられなかったことだ。
ところで、北大使館側は、ゲストの面々を知るために大使館前で取材していた当方をうるさく思ったのか警察に連絡。当方がぼちぼち帰ろうとしていた時、2人の私服警察官がかけつけてきた。北側は、当方が大使館に入ろうとしたK女史に声をかけたことを不快に思って、警察に通報したのだろう。
当方はK女史を個人的にも知っているが、詳細には紹介できない。K女史はメディアに自分の名前が出ることを嫌っているからだ。いずれにしても、北大使館前でバッチをつけたK女史を目撃できたことは当方にとって最大の収穫だ。K女史は、当方が考えていた以上に北と深くかかわっていることが分かった。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2013年9月6日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。