米8月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)、失業率が出ました!
「米8月雇用統計・NFPは前月比16.9万人増となり、市場予想の18.0万人増より弱い結果となった。2012年6月以来の低水準となった前月の10.4万人増(16.2万人増から下方修正)こそ、上回っている。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が失業率低下の基準とする『15万人増』も超えた。2010年10月から続く増加トレンドも、維持。過去2ヵ月分の修正は、7.4万人減だった。
失業率は、市場予想および前月の7.4%より強い7.3%。2008年12月以来の水準へ改善している。もっとも、労働参加率が前月の63.4%から63.2%へ下振れし1979年以来の低水準を示現したことが大きい。また失業者数も前月比19.8万人減と2ヵ月連続で大幅減となった。就業者数は逆に11.5万人減と、5ヵ月ぶりに減少した。雇用率は前月まで2ヵ月連続で58.7%を経て、58.6%へ低下。平均失業期間は、前月の36.6日から37.7日と5ヵ月ぶりの水準へ延びた。一方で、経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている失業率は前月の14.0%から13.7%へ低下した。」
以上の結果を踏まえ、エコノミストの評価はといいますと。
JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコミストは、今回の結果を受け「過去分が下方修正されたとはいえ8月分のNFPは16.9万人増とこれまでのレンジに沿い、時間当たり賃金や平均労働時間は前月から上向いた」と指摘。全体的には「良くも悪くもない数字ながら、失業率を低下させる水準であり、今月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和(QE)を150億ドル減額する決定を下すだろう」と予想した。ただし「100億ドルの減額にとどまるリスクもくすぶる」と付け加えた。
以上をみると、バーナンキFRB議長が発言していた「失業率7%付近でのQE終了」も気になりますよね。
フェローリ氏はこうした疑問に対し、足元の失業率の低下が労働参加率に基づく都合上バーナンキFRB議長が言及していた「失業率7%でQE終了」という見通しに裁量を与えると予想。ハト派の代表格であるサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が5日に足元の低下につき団塊世代の引退に伴う「構造的要因」と分析した点を挙げ、QE終了のメドを7.0%から低金利維持の数値目標水準にあたる6.5%付近へ引き下げる余地があると予想していました。
WSJ紙が示すように、労働市場は改善基調は生ぬるいんです。
バークレイズも、、「今回の雇用統計は全体的に低調な内容と受け止められたものの、これは7月分の下方修正による部分が大きかった。実際、8月雇用者数および労働所得は7月から改善したほか、失業率もFRBの10~12月期予測(7.2~7.3%)に到達していることから、9月FOMCでのQE3 減額開始というシナリオを変えるほどのものではない」と予想。同社は「引き続き9月FOMCで150億ドルの買取額減額が決定されると予想している」とまとめています。
とりあえず、9月QE縮小開始という市場の見方はそのまま、というのが現時点での評価のようでございます。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年9月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。