米国政府機関の閉鎖が決定、マーケットはどこへ行く? --- 安田 佐和子

アゴラ

17年ぶりに、政府機関が閉鎖されてしまいます。

シャットダウンを目前に控え、9月半ばから下落を演じた米株相場。サマーズ元米財務長官のFRB議長候補辞退、FOMCがまさかのQE縮小で最高値を更新した分を完全に打ち消し、9月30日にダウ平均とS&P500は9月9日以来の安値で引けました。とはいえ月足でダウ平均、S&P500、NASDAQは反発。四半期足でダウ平均、S&P500、NASDAQはそろって3期続伸してたんですねぇ。

それも、明日で様相は一変するでしょう。

VIX指数は前営業日比7.4%の16.60へ急伸しました。すでに、混乱への序曲が奏でられたも同然です。

UBSの金融サービスの取引責任者であるアート・ケイシン氏は、政府機関の閉鎖が決定すれば「明日の寄り付きは見るも無残なものになるだろう」と警告してましたね。では、今回はどうなるのか。過去の例はこちらですが、ウォールストリートの間では今回5~10%の下落を見込む声が優勢です。

CNBCによると、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの米株ストラテジストであるダン・スズキ氏も、5~10%の下落を予想する1人。ただ彼は、強気スタンスを崩しません。同ストラテジストは「バリュエーションを考えると、押し目買いで臨みたい」といいます。オバマ米大統領率いる民主党と共和党のチキンレース、債務上限に到達する10月17日まで幕を閉じデフォルトへのリスクを回避する公算が大きいと考えているんですね。

今回の勝負、どちらが先に折れるのか。

PNCウェルス・マネジメントのビル・ストーン主席投資ストラテジストも、楽観派の1人。政府機関が閉鎖に追い込まれた過去17回の相場を振り返り、S&P500の平均下落率は0.2%と指摘しています。ただし17回のうち6回は5営業日以上も続き、S&P500は中央値で2%下落しました。1995~96年当時はパターンを変え、21日間の閉鎖期間中に下落を免れたものの、再開後の10営業日で2.7%落ち込んだんです。

下落率も大事ですが、反発するポイントも重要ですよね。ストーン氏によると、下落を打ち消すのは政府機関が再開してから平均で10営業日と弾き出しています。

米債相場はといいますと。ジャニー・モントゴメリーのガイ・ルバス主席フィクスト・インカム・ストラテジストは、1995~96年のように21日間の閉鎖に陥った場合は、10~12月期国内総生産(GDP)を0.9%?1.4%ポイント押し下げると予想しています。その上で、米10年債利回りを9月30日の終値2.61%付近から2.50%へ低下すると見込んでいるんですね。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの主席通貨ストラテジストのマーク・チャンドラー氏も、2.5%への低下を想定する一人。利回り低下を背景に、ドル安基調の継続シナリオを描いているんです。

ひとまず、10月1日の相場がどんな答えを出してくれるか注目です。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年10月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。