世の中には自分の才能を多くの人のために使っている人がいます。音楽の才能を持って生まれた人が、それを歌手として周りの人に元気を与える。あるいは、頭脳明晰な人が、それを科学技術の発展に使って世の中を進歩させていく。
神様から「ギフト」が与えられている人には。それを、そのまま埋もれさせるのではなく、きちんと活用して社会に還元する義務があります。
お金の世界も同じです。「お金持ち」には、そのお金を社会の成長のために活用する義務があるのです。
「お金持ち」といっても、金融資産1億円以上の富裕層といった人たちを指すのではありません。例え10万円でも100万円でも、金融資産を保有する人には、その資産を社会に還元させることで、世の中のお金の流れを良くする義務があると思うのです。
日本の個人金融資産は1600兆円とされています。もし、この金融資産がすべてタンス預金になっていて、国民全員が自分の資産を自宅の床の下に隠していたらどうなるでしょうか。蓄積された資金は、金融機関から企業の設備投資や営業活動に使われることはなく、経済活動は停滞してしまいます。
企業活動は、株式市場や債券市場、あるいは銀行からの貸出による資金調達によって成立するものだからです。
自分の持っている金融資産は私有財産ですから、どのように活用しようと個人の自由と言えばそれまでです。しかし、金融資産は社会の一部であるのも事実です。資産を持っている人全員が、自分の資産を自分のためだけに使うようになれば、資本主義の仕組みは成り立たなくなります。
投資をするということは自分の保有する金融資産を社会に還元させるということでもあります。投資された資金が企業の活動に使われ、新しい価値を生み出す。それが投資のリターンという形で戻ってくる。このようなサイクルが経済を拡大再成長させていくのです。
このように考えると、せっかく神様が与えてくれたお金という「ギフト」を自分の為だけに使うのは、半分は正しくでも半分は間違っているのです。
自分の持っている資産や才能は自分のものですが、それだけでもありません。どうやってそれを活用していくかを考えてみれば、これからやるべきことが見えてくるはずです。
今日はこれから丸の内朝大学のマネークラスの講義です。「お金持ち」の責務について話をしようと思います。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年11月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。