今夕の毎日新聞ネット記事では、会計検査院による2012年度決算検査報告について報じている。
<記事要旨>
・税金の無駄遣いなどの指摘は630件、4907億円。
・ワースト1位は経済産業省1153億円。信用保証協会の財務基盤強化のために交付した700億円のうち1.6%しか使われていなかった。
・国が事実上立て替えている原発事故賠償費用の回収に最長31年かかるとの試算。
12年度の歳出は474兆0989億円(一般会計97兆0871億円、特別会計377兆0117億円(会計間の繰入れによる歳入歳出の重複額等を控除したものではない))に上る。これとの見合いで考えれば、無駄遣いとされる4907億円は0.1%程度でしかない。
しかし、絶対額としての4907億円は巨額で看過し得るものではない。今後とも、無駄遣いを限りなくゼロに近付ける努力は必須だ。会計検査院と各省庁の間では、無駄遣いの判定を巡って丁々発止のやり取りが生ずるが、一般常識的に照らして明らかに無駄遣いと思われるものもあれば、価値観によっては必ずしも無駄遣いとは言い切れないものもある。前民主党政権時の事業仕分けでは未決着のものばかりが百出したが、会計検査院による検査は必ず決着がつく。
省庁別でのワースト1が経済産業省であるというのは、同省の予算規模からすると意外な感じがする。社会保障関係費や公共事業関係費の方が遥かに大きく、別の価値観で検査されたとしたら、そちらはそちらで相当規模に上ると思われる。今回の会計検査院の指摘では目立っていないというだけのことだろう。
詳細は2012年度決算検査報告を参照されたい。これでも全部の情報が開示されているわけではないが、無駄遣いの典型例の概要を知ることはできる。文面は堅苦しい言葉遣いではあるが、内容的には興味深いものがある。国の予算の実態の一端を垣間見ることができる。
編集部より:この記事は石川和男氏のブログ「霞が関政策総研ブログ by 石川和男」2013年11月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった石川氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は霞が関政策総研ブログ by 石川和男をご覧ください。