金利上昇、米株相場にとって耐えられる軽さなのか --- 安田 佐和子

アゴラ

米金利が上昇すると、米株高に警鐘を鳴らすマーケット関係者が現れがちです。米10月雇用統計が予想外に強く、9月20日以来の水準へ急伸するなかダウ平均が過去最高値を更新し過熱感が意識されれば、なおさらです。

米金利上昇は経済回復の兆しとも解釈でき、必ずしも株式相場にマイナスというわではありません。

ただしCNBCによると、ソシエテ・ジェネラルのアラン・ボコブザ氏率いる資産配分ストラテジー・チームは「業績モメンタムが弱く、利益予想が鈍化するとみられるケースでは、米債利回り上昇は調整を招く」と注意を喚起しています。

ソクジェンは、2014年12月末に米10年債利回りが4%を超えると予想。ただし4%以前、3.0~3.5%へレンジが切り上がるだけで「12~22%」の下落を見込んでいるんです。

米10月雇用統計が予想外に強く量的緩和(QE)縮小があらためて視野に入るなかでは、余計ですね。

野村インターナショナルでクロスアセット・アロケーション・ストラテジー共同責任者を務めるボブ・ジャンジュア氏は、弱気派の雄たる大胆なシナリオを描いています。2014年の第2四半期~第4四半期にかけ、「25~50%」もの急落を予想しているんですから。

確かに米金利上昇は、マーケットにとって無視できないポイント。QE縮小を見送った9月FOMC声明文では「ここ数ヵ月間で確認された金融引き締めの状況が仮に続けば、経済と労働市場の改善ペースを鈍らせかねない」との文言を挟み込んだことが、思い起こされます。米金利が低下した10月のFOMC声明文は、削除されました。

奇しくもブルームバーグによると、グッゲンハイムのジャレット・サイバーグ氏は「米上院はイエレン連邦準備制度理事会(FRB)副議長の議長指名を2014年1月1日より前に承認する公算が大きい」と予想しています。また「バーナンキFRB議長がスムーズな体制移行を目指し退任を前倒しするか1月のFOMC運営をイエレン氏に任せる可能性がある」と指摘していました。イエレン新FRB議長は市場が予想するほどハト派寄りではなく、「QE縮小およびインフレ抑制に傾いている」とも分析しています。

CNBCが10月に実施したFedサーベイをみると、ウォールストリートではイエレン副議長に”ハト派”のレッテルを貼っていることが分かります。「バーナンキ議長よりハト派寄りな金融運営になる」との回答が6割近くに及んでました。内訳をみると44%が「いく分ハト派寄り」とし、15%が「さらにハト派寄り」になると回答していたんです。反対に「いく分タカ派寄りとなる」との回答は3%、「さらにタカ派寄りとなる」との回答は0%だったことを踏まえると、サイバーグ氏の予想が的中すれば市場に動揺が走り米債利回りの急伸を招きかねません。

ウォール・ストリートの予想を覆し、ハト派のマスクを外しタカ派スタンスへ舵を切る?

奇しくもイエレン新議長体制では輪番で投票権を得る地区連銀総裁はクリーブランド連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁、ダラス連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁。このうちフィラデルフィア連銀とダラス連銀の2名の総裁がタカ派となり、現時点の1人(カンザスシティ連銀)から増加するんですよね。地区連銀総裁の面子で金融政策が変わるなんてありえませんけど、反対票がこれまでの1票から2票に増加した場合の米債利回りへのファースト・リアクションが小幅にとどまるかは不透明です。

もちろん、弱気がいれば強気も存在しておりますよ。

バークレイズは米10月雇用統計を受け8日、S&P500の2014年末予想を1900pへ引き上げました。

シティグループも同じく8日、2014年末に世界の株式相場が13%上昇すると予想しています。

シティは「世界の株式相場は2011年ほど割安ではない」と指摘しつつ、「だからといって割高を意味しない」と主張します。

S&P500終値ベースでの最高値更新回数、10月29日時点では95年と比べるとまだ余裕との声も。

(出所:Marketwatch

米債利回りの上昇だけでなく米議会で予算協議を開始する今週、米株はさらに飛躍できるかお手並み拝見ですね。13日のバーナンキFRB議長の講演は金融政策に触れない見通しであり、14日に米上院銀行委員会で行われるイエレンFRB副議長の指名公聴会での発言が待たれます。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年11月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。