スマートシティーという言葉は、小生の周りでは、はやり始めて、もう5年はたつ、このお陰でお仕事をしているのだと思うと非常にありがたい言葉である。「環境配慮型都市」とも呼ばれ、街全体の電力の有効利用や再生可能エネルギーの活用などを、都市の交通システムや住民のライフスタイル変革まで、複合的に組み合わせた社会システムを考えた街のことをいう。公害などの環境問題への配慮と快適な生活を両立するために、ITや省エネなど多岐にわたる最先端の技術を組み合わせた「システムとしての社会インフラ」であると解説はするのですが、漠然とした言葉でしかない。登場してくる企業も電力会社と東芝・日立・IBMなどのベンダーである。
都市開発なのでやり始めて5~20年はかかるのでまだまだ成果は先であるというのも理解出来るというのか、小生も仕事をする言い訳にうまく利用させてもらっている。
スマートシティーは考え方・アプローチの違いから欧米日型などがあると考えられているが、大きくは2つである。環境未来都市的な都市開発から考える手法とスマートグリッドからくるスマートシティーの2方向である。米日は電力需要が逼迫しているので、グリッドからくるシティーになっている感が強い。共通する指標は、低炭素街づくりであることが一緒であるがアプローチが異なることが理解出来る。
欧州の事例を見ると、エコロジー、エネルギー、持続可能な街づくりを支援するための指標(雛形)を提供して、それを実行する予算措置をどうするかを解説してあるどちらかというとマニュアル型である。マニュアル型の面白いのは読み方によって環境未来都市はゴミ分別みたいな話になり、ドイツから過激な分別方法を輸入してしまうおかしな日本みたいな国家も現れる。
<ドイツ型田園環境都市を目指すには……>
米日は、簡単な理屈であり、電力需要が逼迫する時があり、そのコントロールをうまくしたいが大きな理由で電力網をIT利用で賢くコントロールしたいのである。スマートメーター整備が大きなキーになっている。
日本のスマートシティーはこのままでいいのだろうか。実際、日本は省エネ国家としては、最先端を走っている。しかもスマートシティーの予算額も横浜は740億円程度、北九州でも160億円程度あり、世界最大級なのである。実際たくさんある中国は都市開発をエコと言ってごまかしたスマートシティーであり、まったくそのようなものではない。欧州もたくさん投資しているというが最大でも100億を超えるプロジェクトはない。米国はスマートメーターを電力網につけるプロジェクトで200億円を投資するが都市開発ではないのである。そう考えると最先端を走っている国家は日本である。どうも欧米先行にとらわれているのではないかと思ってしまう。
欧米先行に思われている、原因は2つあり、①統一化された動きでないこと②情報発信が非常に少ないことである。
統一化されないのは、国土交通省、経済産業省、総務省、内閣府と環境省まで入り組んでの色々な補助金、法整備の縦割り行政である。建築・電気・通信・環境・行政などの縦割りがなせる業で、基準値を考える委員会やフォーラムもJ-CORD、JSCA、CASBEEなどと色々な制定委員会がある。バラバラの活動である。唯一全てに入っているには、日立、東芝といった企業ではないかと思ってしまう。これらの基準統一をかけて、国土交通省マターにして国土強靭化計画などとのリンクをすべきである。環境で優しい街の基準や運営を統一させ、早期に法整備させるには、国土交通省でしかないと思う。権限、予算をこちらに集中させるべきである。最終的にコントロールできるのは建築基準法などの建設基準を変更すれば国家全体としてスマートシティーになるのである。建物すべてに太陽光などの設置義務付けとか法律で可能なものはたくさんある。
情報発信に関しては例えば、電力運営においても停電の少ない国家であるのは誰でも認めることである、鉄道も定時運転されている。これらの運用がすばらしいことをしっかりとPRすべきであるし、情報発信すべきである。クールジャパン戦略でアニメやオタク文化を出そうとしているよりも発信することは、こちらの産業情報である。しかも北九州や水俣市などは公害から立ち直った経験や見識がある。すばらしい事例である。また東急をはじめとする私鉄郊外開発は、結果的には、スマートシティーを大きな国家予算なしで出来た事例でもある。安全で安心な国家が形成されたので、アニメやオタクという文化も生まれたのである。
予算もたくさんあり、実績もたくさんある、日本のスマートグリッドが世界標準にならないのは、統一化された動きにすること、情報発信の強化である。