朝日新聞によれば「学者の会」の3181人が「与党の政治姿勢は、思想の自由と報道の自由を奪って戦争へと突き進んだ戦前の政府をほうふつとさせます」という声明(前と同じ)を出したそうだが、これは電子集計なので、署名した人が本当に学者かどうかはわからない。
他方、朝日新聞のアンケートによると、上のように「日本の安全が脅かされている」と感じて「法案に賛成」の人は4959人で、法案に反対の1236人の4倍だ。これは2ちゃんねるなどでおもしろがって投票した人が多いためと思われるが、少なくとも朝日新聞ばかり読んでいる老人とは違う意見の人がネットには多いことを示している。またBLOGOSでは、私の「強行採決は民主主義の機能する第一歩」という記事が、きのうの「最も支持された記事」だった。
条文を普通に読む限り、秘密保護法が「戦争へと突き進む」原因になるとは思われない。今後、尖閣で軍事衝突が起こったとき、もっとも懸念されるのは軍事機密が守られることではなく、マスコミが大きな声で報復を叫ぶことだ。それを煽動するおそれがもっとも強いのは、朝日新聞である。2010年11月6日の朝日社説は、尖閣諸島の衝突事件のビデオが流出した事件についてこう書いている。
流出したビデオを単なる捜査資料と考えるのは誤りだ。その取り扱いは、日中外交や内政の行方を左右しかねない高度に政治的な案件である。それが政府の意に反し、誰でも容易に視聴できる形でネットに流れたことには、驚くほかない。[…]仮に非公開の方針に批判的な捜査機関の何者かが流出させたのだとしたら、政府や国会の意思に反する行為であり、許されない。
この映像は「特定管理秘密」に指定されていなかったにもかかわらず、朝日新聞は機密を漏洩した者(当時は不明)の処罰を求めている。それは当時の菅政権がこれを激しく非難したからだ。このビデオは彼らの政治決着の誤りを暴露し、民主党政権の(すでに落ちていた)支持率はさらに落ちた。民主党を支持する朝日新聞は、ビデオを隠蔽したかったのだろう。
要するに、朝日新聞には一貫した原則も論理もないのだ。一貫しているのは、感情的な世論に迎合しようという商業主義である。このように部数を増やすために戦争をあおった新聞が、日本を戦争に導いたのだ。彼らが次の戦争の火付け役になるおそれが強い。占領軍が(ドイツのように)新聞社を解体しなかったのは、大きな間違いだった。