クラウドに学ぶ~課題に対する最適解が、市場を制覇する~

村井 愛子

同じ課題でも、解答はそれぞれ違う

最近日本のスタートアップから、どんどん新しいサービスが生まれています。顧客が抱えている課題を解決するサービスが多いようですが、同じ課題に対しても色々な解答があります。


例えば、「学習したい」というユーザーの課題について、様々な学習系サービスがありますが、3つほど取り上げてみます。

schoo(スクー)は、講師の先生が動画で授業をしてくれるオンラインサービス。ユーザーは生徒と呼ばれ、授業中の動画横に「着席」ボタンが設置されていています。このボタンをクリックすると着席が皆に通知されたり、コメントを書きこむことが出来たりと、参加型になっているのが特徴です。
ShareWis(シェアウィズ)は、schoo(スクー)と同様に動画で授業をしてくれるサービスですが、コミュニティ的な機能はなく、淡々とステップをクリアしていくような作りになっています。
street academyは、オンラインで授業をする機能はありません。生徒と講師をマッチングさせて、実際の授業は場所を借りてリアルの場で行われます。

このように一つの課題について、様々な解答でサービスが展開されています。歴史を振り返って思うのが、目立った課題に対して様々な解答が用意されても、最も市場を制覇出来るのは最適解を用意したサービスだということです。

複数デバイスという課題への2つの異なる答え

2000年代半ば以降、デスクトップPCやノートPCなど複数台のデバイスを使い分けるシチュエーションが増え、デバイスの複数代持ちが普及した結果、「様々なデバイスでデータを共有したい」という課題が生まれました。スマートフォンの登場以降は、そのニーズはさらに加速しています。その課題の解決方法として、とある2つの会社が出したそれぞれの解決方法が以下の2つです。

A.自宅のパソコンを、携帯デバイスから閲覧できるようにする。
B.様々なデバイスから、サーバーに上げた情報にアクセスできるようにする。

もちろんBは、DropBox等に代表されるクラウドです。Aは、NTTドコモが2008年5月に開始して4年で終了してしまった「ポケットU」というサービスです。

「様々なデバイスでデータを共有したい」という課題に対して、Aの解答だと、常にデータは、1台のデスクトップに集約させなくてはなりません。(ついでに言うと、ガラケーからしか見られません。)
Bの解答であれば、どんなデバイスでも登録しておけば同じデータを共有できるうえに、デバイスの数が増えても対応することが出来ます。くしくも、クラウド系の代表サービスであるDropboxは、ポケットUと同じ年の2008年9月にサービスを開始しており、現在では利用者が1億7500万人に達しています。(ついでに言うと、ポケットUの利用者は最盛期でも3000人足らずでした・・・。)
さらに付け足すと、機能的に劣るAの「ポケットU」は、525円の月額利用料がかかるのに対してBの「DropBox」は基本無料です

ということで、課題に対しての解決策を1つ考えただけで満足してすぐサービスモデルを考えてしまいがちなのですが、その前に課題に対しての最適解を考えることに時間を使った方が良いかと思います。

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