都知事選のニュースが増えてきました。東京都に住んでいない方にとってはどちらでもよいのかもしれませんが、東京都は韓国のGDPと肩を並べる規模、1330万人の人口も抱えており、その行方はやはり注目せざるを得ません。
その中で、今回の選挙に向けての顔ぶれが見え始めてきましたので現段階での状況を考えてみたいと思います。
まず、候補者の顔ぶれですが、
前日弁連会長 宇都宮健児 =共産党、社民党推薦
元航空幕僚長・空将、軍事評論家 田母神俊雄氏 =石原慎太郎が支援
他4名が立候補しています。
ここにあと二名の名前が取りざたされています。
元厚生労働相 舛添要一 = 自民党推薦の方向
元首相 細川護熙 = 小泉純一郎バックアップ
メディアの注目は当然ながら舛添対細川という構図を中心に捉えていくことになりますが、細川元首相の擁立は安倍政権の原発容認に対して小泉元首相の脱原発の構図をそのまま都知事選に反映させようとしているもので都知事選を「郵政民営化選挙」ならぬ「原発選挙」に仕立て上げる戦略にみえます。
細川ー小泉ラインとなれば確かに認知度も高く、都民にとっては「顔で選ぶ」面からすれば当然、有利な展開が想定されます。ただ、立候補を正式表明されていないうちにいろいろ書くのははばかれますが、細川元首相を担ぎ出し、反原発を主たるマニフェストとすることにどうしても違和感を感じないわけにはいきません。
まず、第一にこれは東京都の知事選であります。東京都には原発はありません。また、原発政策は国策であり、都道府県レベルではボイスとしての意味はありますが、それ以上のものがあるのか、私には理解できません。
次に細川氏は政界から1998年という遥か昔に引退しており、今は陶芸家であります。猪瀬前知事に欠けていた部分がプロの政治家ともいわれた中で、いくら首相経験者といえども15年以上もその世界から遠ざかっていた人が担ぎ出される意味が分かりません。
最後に細川氏が首相を辞めたのは佐川急便からの1億円借り入れ問題であります。猪瀬前知事の辞職要因となった5000万円の二倍に当たります。
こう考えてみると細川氏の立候補の意向そのものがさっぱりわからないし、ご本人は「落選してもいい。それを覚悟でやる。」と述べているのですが、これは発言そのものが意味を成しません。立候補するなら当選し、命を賭けてもらわねばなりません。落選してよいのなら覚悟はいりません。
では、この細川氏は何なのか、といえば、小泉劇場のあやつり人形であり、安倍政権をかき回す材料にしていると私はみています。つまり、実際には安倍対小泉の代理戦争であるということではないでしょうか?
では、対する安倍政権側ですが、正直、ここにきて向かい風が吹いているのも事実です。昨年はアベノミクスと株価、為替で一気に突っ走ったのですが、世の中、良いことばかりが続くものではありません。中国、韓国とは全くうまくいかない中、靖国問題は多分、首相が考えている以上の向かい風になっていると思います。
小泉元首相はこのあたりを捉えているとみています。つまり、若干の隙間ができた今、一気に切り崩しにかかる戦法ではないかと思います。つまり、逆説的ですが、細川-小泉ラインは都知事当選には本当は興味がなく、国政のゆさぶり戦法に見えるのです。都知事選はそれを利用しているだけではないかと思います。
では、都知事本命は誰なのでしょう。正直、票が割れそうな気がします。宇都宮氏は前回、次点を取る実力でした。田母神氏には石原氏のスピリットがついています。そして最近の都知事選では政党からの推薦の人は誰も当選していないという事実も考えなくてはいけません。
よって、案外、大混戦すら予想される都知事選になる可能性はあります。舛添氏がどのような政策を打ち出すか次第ですが、いわゆる実務的で東京都の成長を担保できるような人が本命になり得るのではないかと思います。
この選挙は個人的にはかなり楽しみにしております。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年1月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。