日本の現在の大きな問題は、貿易赤字でその理由は、産業構造の変化という話を書いた(「貿易赤字の根本は産業構造の変化だけどね」)。
産業構造の変化に合わせて日本が強みとするのは、すり合わせというか、調整が必要な総合的な組み立て、運用をする商品を輸出産業にしないと単純な商品では勝ち目がないということで、ロボット・人工衛星・発電から送電・省エネまで含めたエネルギーネットワーク・鉄道インフラと都市開発というような産業が輸出産業となるということである。その中でロボット産業を強くするために配慮しないといけない点を提言したい。
まずロボット産業は現在、金額ベースで直近5年間に約60%成長。2011年の市場規模は 6628 億円であり、うち日本企業のシェアは 50.2%。なお、電子部品実装機を含む広義の世界市場は約10428億円で、日本企業のシェアは 57.3%。(経済産業省調べ)丸めて話すと1兆円で50%のシェアを獲得していて、世界の最大の供給地位であることは確かである。市場的には中国市場で日本市場に迫る勢いになっている。この勢いにより日本からの産業用ロボット輸出額は、直近 5 年間で約 80%増加している。最大のライバル国家は、ドイツと韓国で中国の市場で競争激化している。
ただ需要先は、自動車・電機産業の工場なので、産業用ロボットの輸出が増えるほど相手先の国家での自国生産が多くなることは考慮しなければならない。まだまだ自動車などは、乗り心地、耐久性などから日本車に優位があるが、徐々にその差が無くなっていくことは考えておく必要がある。
ロボット産業がものすごい勢いで発展するのは、人口増だけど高齢化と賃金上昇が背景にあることは誰が見ても理解出来るが、ロボットが人の仕事を取るようなイメージならないような配慮が必要になってくる。あくまでサポートする道具であることを設計思想に入れておかないといけない。
日本人はどうも2足歩行、人工知能などでアトムを作りたいと思うみたいで、研究者もどうしてもそのようなデザインになってしまう。ヒューマノイド的なロボットと研究者は総称として呼ぶのだが、この研究者の数も欧米と比較しても圧倒的に多い。この領域でトップを走っているのは研究者の人数違いであり、日本人の独自発想やその他でトップにあると判断してしまっては政策を大きく取り違える。
この違いは、宗教観からくるもので、欧米では、人型のロボットを作ることに非常に違和感を覚える方も多く、考えてみればつい最近までのハリウッドの映画の未来の対戦相手はヒューマノイドロボットと戦争をするというものが多かった。別件で若いドイツ人研究者と話しても彼の意見は、「神への冒とく」とか言うのである。それだけ宗教観が異なることを理解する必要はある。昔コンピューターがチェス等で人を負かしたときもあれはインチキだと騒ぐくらいだから本当にこの宗教観の違いは理解しないといけない。
この問題はデザイン的なセンスで問題解決をするので、研究者がロボットのデザインを少しR-2D2型にすることを考慮することが大切だ、間違ってもC-3POにしてはいけない。すいませんホンダさん少しデザインをやぼったいかもしれませんか、R-2D2型にしてもらえませんかね。また人工知能などを駆使してアトムを作るのではなく、人が操縦するガンダムなどのような考え方をメインにおいておく必要がある。パワードスーツ、モビルスーツ的な考えである。研究者の方には悪いが国家的にはこのような配慮をした広報戦略も必要である。研究者も方もパワードスーツから仮面ライダースーツのようなヒューマノイドとバイオを掛け合わせるような開発はもう少しアングラでやるべきである。
それともう一点の考え方は、OSの統一といのか運用まで含めた統一が必要である。これはロボットが兵器であるという観点をしっかり理解する必要がある。この件に関しても日本企業の理解は非常に薄い。例えば日本企業では、コンテナに太陽光やバッテリーなどの仕組みを取り付けて電源がない地域に売り込もうなどの考えをもっている企業もあるが、この件に関してもアメリカペンタゴンなどは非常にご立腹な商品である。電源がない地域は治安的にも不安定な地域でテロリストに武器を渡すような行為であるとの判断である。安全管理まで含めた運用設計をして販売する配慮が必要であるということだ。管理されていないものは動かないなどの保安回路がついたものが必要であるということである。コマツはこのような運営が出来ているので日本企業で出来ない訳はないので、本当にこの手の商品を世界に供給する企業は考えておく必要がある。
日本がロボット産業を大きく育てるには、宗教観の違いの理解と軍事利用される危険性をしっかり理解して育成していく配慮が必要である。そうでないと日本のいい産業をつぶされる可能性があるので注意が必要だ。
かわにし のりひろ
会社員 コラムニスト
マルハビ日記