都知事選挙の結果が出て、様々な論説も出ている。肯定的な意見もあれば、否定的な意見もある。今回は“中の人”と呼ばれる、選挙対策事務所の内部の人々が各々の感想を吐露していたりもする。“選挙”が終われば、大体こんな感じの、評論が行われるわけである。
確かに、評論家と言われる人々は、問題点を指摘して批判的に論評を加えるのが仕事であったりするから致し方がない。それはそれとして……。
私はそうした風潮が少し物悲しい。というのも、“選挙”とは将来のリーダーに“未来を託す”ものであるはずだからだ。ネガティブに考えるのではなく、何らかのポジティブな点を考えてみたい。でないとすると、私たちが暮らす社会って、ちょっと暗くないですか?
そこで今回の都知事選挙である(実は私は都民ではないのだが……)。
私が考える、「今回の都知事選の良かった点」は、多種多様な人材が出馬したことだ。政治思想的には右から左まで(このような表現は不本意であるが)、後期高齢者から30代まで、元総理もいれば元派遣社員もいる。
これって、“本当は幸せなこと”なのではないでしょうか? 特に、今回は、猪瀬都知事の急な辞職に伴うもので、各陣営準備不足な面もあっただろう。それでも、出馬をした16名は、都民に多種多様な選択肢を与えたわけである。
もちろん、それを選ぶも選ばないも都民の自由。その結果は結果として、それでも出馬をした候補者には称賛を贈るべきではないだろうか。それが民主主義のスタートラインになるはずだ。
そういう意味では、女性の出馬がなかったことが一点残念なのである。
江鳩 竜也(えばと たつや)
政治アナリスト