家入一真氏が選挙運動にもたらしたもの --- 坂田 航

アゴラ

東京都知事選挙が終わった。

マスメディアは舛添要一氏、宇都宮健児氏、細川護煕氏、田母神俊雄氏の主要4候補と呼ばれる候補に注目をした。その一方、「泡沫候補」と呼ばれながらも、新たな選挙戦略を行った人物がいた。

それは家入一真氏だ。


インターネット世代より上の世代にはあまり親しみが持てないかもしれないが、起業家として知られる彼は「インターネッ党」を立ちあげ、街頭演説よりもインターネットでの選挙運動を展開した。

それはTwitterのハッシュタグを用いて自らの政策を応募したり、自らの意見をTwitCastingを用いて発信するなどしていた。

もちろん、他の候補もTwitterや自身のウェブサイトを用いて発信するなどする「ネット選挙運動」は盛んに行っていた。しかし他の候補と家入氏が根本的に違うところがある。

それは、Twitterを自らの「声」としていたところだ。

他の候補はTwitterを選挙演説の写真の投稿や街頭演説の告知のために使うといったものが主流で、政策や思いをTwitterに中心的に書くことはしなかった。あくまで運動の舞台は道端だった。

しかし家入氏は「渋谷ハック」などを除いてほとんど街頭演説らしいものは行わず、インターネットでの運動に徹していた。自らの政策や社会にかける思いをTwitterに書き、まさに街頭演説のマイクの代わりにTwitterを使い、知名度と影響力をインターネットの力で高めることに成功した。

その結果、泡沫候補と呼ばれながらも、主要候補に続く5位の得票という結果となった。

このように、選挙運動のやり方から家入一真氏は他の候補と全く違っていた。しかしここまでは前回の参議院選挙での山本太郎氏や三宅洋平氏の戦術とそこまで大差はない。

一番大きいのは、政策をTwitterを用いて集めた点だ。

驚く事なかれ、家入氏は政策をネット市民から募っていたのだ。

#ぼくらの政策」を付けてTwitterでTweetすると、家入氏の政策の参考にされ、実際に政策として取り入れられることもある。取り入れられたものは自身のウェブサイトに掲載され、拡散されやすいようにされていた。

一般的な選挙であれば事前に政策を提示し運動に望むが、彼は政策を公募するという形で民主主義を実現しようとした。「本当に市民が望んでいるものを汲み取る」という形がインターネットを用いることによって行われたのだ。

これについては是非があるだろうが、これによってひとつ明らかになったものがある。

それはネット市民が都政に何を求めているのかが可視化されたことだ。

ネット市民はニュースにコメントしたり、TwitterやFacebookで共有しそこにコメントを加える事で政治に対して意見を述べることができる。しかしそれはあくまで現実に行われていることに対しての賛成・反対でしかなく、それ以上のものはない。

それに対して、「#ぼくらの政策」のやり方は、政策を練るという性質上、ゼロから政策を練り上げていく必要性が出てくる。その結果、これまでなかった新しい視点で政治が語られるようになり、賛成・反対といった「反応」を超えた意見が出るようになった。

もちろん、立候補してから政策を練るようでは準備不足だしそれ以前にどのようなことを目指している候補なのか有権者は判断がつかない。

しかし一立候補者という立場以上に、若者を中心とするネット市民が政治に何を望んでいるのか、わかるようになったという意味で彼の行った選挙運動は現実の政治にとっても大きなものだったのではないだろうか。

坂田 航
大学生ブロガー
y-monkey
ツイッター:@MgWataru